MacBook ProのCPU(プロセッサ)の選び方【購入ガイド】

MacBook Pro Which CPU to Choose

MacBook Pro」には13インチモデルと15インチモデルがある。もちろん、ディスプレイサイズが異ることから本体のサイズや重さの違いもあるが、両モデルにはそれなりの性能差がある。

特に差があるのはCPU(プロセッサ)13インチモデルは2コアとなっているが、15インチモデルは4コア。さらに各モデルの中でも「2.9GHz」「3.1GHz」など、CPUのクロック数で分かれている。

どのモデルが自分の用途に合うのか。本記事では、MacBook Pro」を購入する際に自分に合ったCPUを選ぶ方法を解説する!

前提:CPUは作業している人、コア数は人数と覚える

さて、「購入ガイド」シリーズでお馴染みの画像をまたしても使うが、今回のCPUは、作業机で例えると実際に作業する人のこと。

CPU RAM SSD Image

CPU 作業している人。コア数は作業している人数、つまり多ければ多いほど作業が早くなる。クロック数は頭の回転の早さ、つまり大きければ大きいほど処理能力が上がる。
RAM 机の広さ。広ければ広いほど、同時に行える作業量が増える。
SSD/HDD/Fusion Drive 机の引き出し。大きければ大きいほど、色々保存して置くことができる。
SSDの場合は引き出しの開け閉めが圧倒的にスムーズで、HDDよりも滑らか。Fusion DriveはSSDとHDDを組み合わせているので、一部の引き出しがスムーズ、残りは普通という状態。
※現行のノート型Macは全モデルSSDを採用されているが、今回は参考情報としてHDDやFusion Driveも記している

冒頭で紹介したコア数は実際に作業する人数、と考えてもらって問題ない。つまり、13インチモデルは2人だが、15インチモデルは4人なのでよりハードな作業もこなすことができる。

GeekBenchによるベンチマークスコア比較

まずは純粋に「MacBook Pro」の各モデル別にCPUのベンチマークスコアを紹介する。

ベンチマークスコアとは、MacのCPUパフォーマンスを数値化したもの。数値が高ければ高いほど高性能であることを示している。

これらのスコアはRedditにまとめられたGeekbenchの測定値を参考に2016年・2017年モデルの13インチ・15インチモデルごとに掲載している。一部モデルが掲載されていなかったため、Geekbench 4 CPU Search」で検索し、上位10件のベンチマークスコアの平均値を測定結果とした。

MacBook Pro」は「Touch Bar」非搭載の13インチモデル、「Touch Bar」搭載の13インチモデル、15インチモデルの3モデルが用意され、その中でAppleが決めた構成で販売される「標準モデル」がそれぞれ2モデル(下位モデルと上位モデル)ずつある。

より性能の良いCPUにしたい場合、自分でカスタムすることができる。2017年モデルのみ、下位モデルに対して必要な追加費用も載せてある。

以下、数値ばかりではあるが、参考情報としてどうぞ。機種によってはどちらもCPUが同じという場合もあるため、標準モデルをカスタマイズする必要がある場合は「カスタムモデル」として記している。

15インチ型「MacBook Pro 2017」

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル(+33,000円)
Intel Core i7-7920HQ @ 3.1 GHz (4 cores)
4630 15564
上位モデル
Intel Core i7-7820HQ @ 2.9 GHz (4 cores)
4461 15198
下位モデル
Intel Core i7-7700HQ @ 2.8 GHz (4 cores)
4338 14438

※上位モデルから上位カスタムモデルにアップグレードする場合の費用は+22,000円。上記表にある+33,000円は下位モデルからアップグレードした場合。

15インチ型「MacBook Pro 2016」

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル
Intel Core i7-6920HQ @ 2.9 GHz (4 cores)
4302 14035
上位モデル
Intel Core i7-6820HQ @ 2.7 GHz (4 cores)
4121 13593
下位モデル
Intel Core i7-6700HQ @ 2.6 GHz (4 cores)
3998 12896

13インチ「MacBook Pro 2017」(Touch Bar搭載モデル)

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル(+33,000円)
Intel Core i7-7567U @ 3.5 GHz (2 cores)
4593 9629
上位カスタムモデル(+11,000円)
Intel Core i5-7287U @ 3.3 GHz (2 cores)
4419 9447
下位モデル
Intel Core i5-7267U @ 3.1 GHz (2 cores)
4215 8915

13インチ「MacBook Pro 2017」(Touch Bar非搭載モデル)

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル(+33,000円)
Intel Core i7-7660U @ 2.5 GHz (2 cores)
4653 9572
下位モデル
Intel Core i5-7360U @ 2.3 GHz (2 cores)
4306 9129

13インチ「MacBook Pro 2016」(Touch Bar搭載モデル)

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル
Intel Core i7-6567U @ 3.3 GHz (2 cores)
4035 8095
上位カスタムモデル
Intel Core i5-6287U @ 3.1 GHz (2 cores)
3952 7931
下位モデル
Intel Core i5-6267U @ 2.9 GHz (2 cores)
3759 7723

13インチ「MacBook Pro 2016」(Touch Bar非搭載モデル)

機種 シングルコアスコア マルチコアスコア
上位カスタムモデル
Intel Core i5-6660U @ 2.4 GHz (2 cores)
3899 7754
下位モデル
Intel Core i5-6360U 2.0 GHz (2 cores)
3899 7754

これらのデータを一通り並べてみると、純粋な疑問が湧いてくる。下位モデルと上位モデルの差は大きくても10%程度。1割の性能差のために数万円払う価値があるのかどうか、というところだ。

ただ、実はこのCPUには見落としがちな「L3キャッシュ」と呼ばれる重要なメモリが存在する。どの程度の量を搭載しているかはCPUによって異なるが、ここは大きければ大きいほど、複数の作業を同時進行する人にとって重要になってくる。

見落としがちな「L3キャッシュ」の偉大さ

そもそも「L3キャッシュ」とは何か。これは「3次キャッシュメモリ」とも呼ばれ、プロセッサーに配置された高速メモリー領域。同じ「メモリ」という名称で少々ややこしいが、メモリ(RAM)を「メインメモリ」とした場合、「L3キャッシュ」は「CPUとメインメモリの間にいるメモリ」という位置付け。

メインメモリと比較してCPUに近く、より高速に処理する能力を持ち合わせている。その代わり、保存できる領域は限られている。

「L3キャッシュ」があるということは、「L1キャッシュ」「L2キャッシュ」も存在する。数字が小さければ小さいほどCPUとの距離が近く、処理速度が速いが、容量が小さくなる。

CPUが命令を出し、それに対してまずは「L1キャッシュ」が反応し、応えることができなかったら「L2キャッシュ」が反応し、それでもダメであれば「L3キャッシュ」が反応。すべてダメだったらメインメモリが、最終的にはSSDがなんとかしてくれるだ。

図でまとめると、以下のような関係性になる。

CPU and L3 Cache

さて、以前、メモリを8GBのままにするか16GBまで増やすべきかの解説をした際に、メモリが作業机の広さであると紹介した。「L3キャッシュ」もやはり「メモリ」の一種であるため、数値が大きければ大きいほど、保存できる(キャッシュできる)データが増えるのだ。

15インチモデルの「L3キャッシュ」は、下位モデルのみ6MB

ここで、15インチ型「MacBook Pro 2017」のモデル別「L3キャッシュ」を見てみよう。実は、下位モデルのみ、6MB搭載されている。

機種 L3キャッシュ
上位カスタムモデル(+33,000円)
Intel Core i7-7920HQ @ 3.1 GHz (4 cores)
8MB
上位モデル
Intel Core i7-7820HQ @ 2.9 GHz (4 cores)
8MB
下位モデル
Intel Core i7-7700HQ @ 2.8 GHz (4 cores)
6MB

この2MBがどの程度パフォーマンスに影響するのかは確認できていないが、よりハードに使えば使うほど、多少なりとも差はあるはず。参考に、下位モデルに対し、上位モデルのGeekbenchスコアはシングルコアスコアで2.8%、マルチコアスコアで5.2%高い。

ストレージが256GBで十分と判断した場合、下位モデル(2.8GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ)に33,000円を追加すれば3.1GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサに変更することができる。

MacBook Pro Customize 02

その価格、291,800円。上位モデル(2.9GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ)よりも11,000円安いが、ストレージ容量が約半分しかないということと、独立GPUが「Radeon Pro 560」を4GB(下位モデルは「Radeon Pro 555」を2GB)となっている点は注意が必要だ。

CPU性能は下位モデルで十分だが、それ以外を上位モデルと同等のスペックにしたい、という人は下位モデルからカスタマイズした方が上位モデルを選ぶより11,000円安い。ちなみに、これはCPUのみアップグレードした価格と同じ。

MacBook Pro Customize 03

つまり、「下位モデルのCPUをアップグレードした価格 = 下位モデルのストレージ(512GB)とGPUをアップグレードした価格 < 上位モデルの価格」ということだ。

下位モデル(CPUアップグレード) 下位モデル(SSD/GPUアップグレード)
第7世代の3.1GHzクアッドコア
Intel Core i7プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大4.1GHz)
第7世代の2.8GHzクアッドコア
Intel Core i7プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大3.8GHz)
16GB 2,133MHz LPDDR3メモリ 16GB 2,133MHz LPDDR3メモリ
256GB SSDストレージ 512GB SSDストレージ
Radeon Pro 555(2GBメモリ搭載) Radeon Pro 560(4GBメモリ搭載)
291,800円(税別)

13インチモデルは全モデル共通して「64MB eDRAM」を搭載

一方、13インチモデルは全モデル共通して「L3キャッシュ」の代わりに「64MB eDRAM」を搭載MacFanによると、これは「L4キャッシュ」として動作し、CPUの演算能力の向上に効果があるとのこと。

よって、Geekbenchのベンチマークスコアによると、CPU性能はアップグレードすればするほどパフォーマンスが向上するということになる。

注意点としては、「Core i5」から「Core i7」に変更するためには33,000円の追加費用が必要、ということ。「Touch Bar」を搭載していないモデルは、CPUのアップグレードは「Core i7」へのアップグレードしかないので選択の余地がないが、「Touch Bar」を搭載しているモデルは11,000円の追加で「Core i5」のままクロック数が上がる、というオプションが用意されている。

MacBook Pro Customize 01

参考として、「Touch Bar」非搭載モデルの最上位モデルはクロック数が2.5GHzだが、「Touch Bar」搭載モデルは3.5GHz。ただし、シングルコアスコアで-1.2%、マルチコアスコアで0.5%差となっている。あれ、意外と変わらない。

気になったので、「Touch Bar」非搭載/搭載モデルをストレージを256GBに統一し、どちらもCPUを「Core i7」にアップグレードしてみた結果、その価格差は34,000円。ただし、GPUはランクが1つ低い。

Touch Bar非搭載(CPUアップグレード) Touch Bar搭載(CPUアップグレード)
第7世代の2.5GHzデュアルコア
Intel Core i7プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大4.0GHz)
第7世代の3.5GHzデュアルコア
Intel Core i7プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大4.0GHz)
8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ 8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ
256GB SSDストレージ 256GB SSDストレージ
Intel Iris Plus Graphics 640 Intel Iris Plus Graphics 650
197,800円(税別) 231,800円(税別)

今度は「Touch Bar」非搭載モデルのCPUを最上位にアップグレードし、ストレージを256GBにしてモデルを、「Touch Bar」搭載モデルの下位モデルと比較してみた結果がこちら。価格が1,000円安い上に、ベンチマークスコアを見るとシングルコアスコアで10.3%、マルチコアスコアで7.3%も高い。ただし、GPUはランクが1つ低い。

Touch Bar非搭載(CPUアップグレード) Touch Bar搭載
第7世代の2.5GHzデュアルコア
Intel Core i7プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大4.0GHz)
第7世代の3.1GHzデュアルコア
Intel Core i5プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大3.5GHz)
8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ 8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ
256GB SSDストレージ 256GB SSDストレージ
Intel Iris Plus Graphics 640 Intel Iris Plus Graphics 650
197,800円(税別) 198,800円(税別)

「Touch Bar」や「Touch ID」よりもパフォーマンスとコストパフォーマンスを追求するのであれば、「Touch Bar」非搭載モデルをカスタマイズした方がお買い得かもしれない。

CPU性能が高い方が良い作業、アップグレード不要な作業

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結局のところ、購入する時はどのCPUモデルを選ぶべきなのか。下位モデルを購入する場合、数万円追加してCPUの性能を高めた方が良いのだろうか。

理論的にはCPU性能は高ければ高い方がパフォーマンスを発揮してくれる。DTMや動画編集など、負荷の高い作業を行うのであればCPU性能は高い分だけ処理に掛かる時間が短縮される。

どの程度体感できるかは不明だが、15インチモデルの場合、「L3キャッシュ」の違いは高負荷ではない作業でも力を発揮してくれると考えられる。性能を追求しつつ、少しでも節約したいのであれば、上位モデルをベースにカスタマイズ(SSDとキーボード)を選択するのが良さそうだ。

ちなみに、僕の場合はマシーンスペックによる待ち時間を極限まで減らすために、フルスペックで2016年モデルを購入している。ただし、僕より遥かにハードな作業を下位モデルのCPUでバリバリこなしている先輩を見ていると、正直なところ、CPUは最上位まで上げなくても良かったかな、とは思っている。

13インチの場合は、全モデル共通して「64MB eDRAM」をキャッシュとして搭載しているが、モデルによって「Core i5」と「Core i7」という違いもある。CPUの選ぶ基準は15インチモデル同様に作業内容を踏まえた上でどの程度スペックを上げたいかというところに行き着いてしまうが、1つの判断基準として搭載するメモリの量とのバランス、という考え方もある。

作業机に例えよう。CPUは作業する人、メモリは机の広さとした場合、作業する人の能力が高ければ処理できることも多く、机を広く使い、次々と仕事をこなすことが可能に。

ところが、その机が非常に狭かった場合、作業する人が持つ能力を活かしきることができない。作業人数が4人(4コア)を持つ「MacBook Pro」の15インチのメモリは16GBに限定されていることも、これで説明がつく。

よって、13インチモデルを購入する人で最初からメモリを8GBにしようと思っている人は、CPUをあえて上げる必要はないはず。16GBにするのであれば上位モデルの「Core i5」、または最上位モデルの「Core i7」にするのはありだ。性能は体感できるかどうかは分からないが、高負荷な作業をこなすほど、CPU性能の差は処理時間などに現れるだろう。

僕の周りでは15インチモデルの処理能力に惹かれつつも、13インチモデルの携帯性の方が勝り、結果的に13インチモデルをフルスペックで購入した、という人は少なくない。

以上、「MacBook Pro」のCPUを選ぶ上で使える判断材料をまとめると:

  • 15インチモデル
    • 下位モデルでも十分だが、CPUの処理能力と価格のバランスを取るなら上位モデル
    • CPU能力よりもマシーン全体としてのバランスを取るなら下位モデルのSSDとGPUをアップグレード
  • 13インチモデル
    • メモリを8GBにするのであれば、必要以上にCPUを上げる必要はない
    • 「Touch Bar」非搭載モデルの上位モデルのCPUをアップグレードするとベンチマークスコア上では「Touch Bar」搭載モデルの下位モデルよりも高性能
    • パフォーマンスを求めるのであればCPUも「Core i7」、メモリも16GBに

ということが言える。

より簡潔にまとめると、負荷の高い作業をこなすつもりでいるのであれば、CPUをアップグレードした方が良いが、それほど気にならない場合はCPUは特にカスタマイズしなくても問題ないだろう。なお、高い買い物だからなるべく長い期間、快適に使いたい、という希望が最も強い場合、僕は予算をメモリ(RAM)に回した方が良い、と考えている。

なお、Apple Storeでも細かい変更はできないため、「MacBook Pro」を細かくカスタマイズする場合は、Apple公式サイトからどうぞ!

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