MacBook/MacBook Proと比較するとMacBook Airの魅力がよく分かる
MacBook Airというブランドは消えゆく運命だと思っていたが、まさかのリバイバル。
登場したとしてもMacBook程度のスペックになると思いきや、蓋を開けてみたらMacBook Proに迫る構成が用意され、学業でもビジネスユースでも大活躍してくれる予感しかない。一言で言うと素晴らしいマシーンだ。
そしてこの新しいMacBook Airが登場したことによって、これからノート型Macを買う人はMacBookとMacBook Proを加えた3モデルの中からどれを選ぶべきか、という悩ましい問題が出てきてしまった。特にTouch Barを搭載していないMacBook ProはMacBook Air(2018)に似たスペックを持つため、非常に分かりづらい。
そこで、現行のMacBookシリーズの選び方について解説しつつ、MacBook Airがどのようなニーズを満たし、どのような魅力があるのかについて考えてみたので、参考にどうぞ!
MacBookとMacBook Proの隙間を埋めるMacBook Airという存在
MacBook Airが人気だった理由は、シンプルに言えばコストパフォーマンスの高さだろう。最新モデルもその期待を裏切ることはない。それどころかMacBookとTouch Barを搭載しないMacBook Proのいいとこ取りをしているモデルだと考えている。
まず、MacBookとMacBook Proの位置づけについて考えてみよう。MacBookは物理的な軽さを重視したユーザー向け、MacBook Proはパフォーマンスを重視した名前の通りプロ向けのマシーン。
実際、MacBookはiMacとセットで使うユーザーも多く、サブマシーンや外出する時のマシーンとして使っている人は多い。920gという軽さは他のノート型Macにはない強みであり、サイズも非常にコンパクト。
一方、MacBook Proは13インチモデルでも4コア、15インチモデルは6コアとなり、”持ち運べるデスクトップマシーン”と言っても遜色がないパワーを2018年モデルで手に入れた。
さらに、15インチモデルは2018年11月下旬からiMac Proと同じGPUが選択可能になる。正真正銘のプロマシーンとして持ち運ぶことができるようになる。
それを踏まえた上で、MacBook Airはどのようなユーザーのための存在なのか。結論から言うと、以下のようなMacを求めている人をターゲットととした端末であると考えている。
- 可能な限り本体が軽い方が良い
- それなりにコンパクトな方が良いが、ディスプレイはそれなりの広さが欲しい
- 基本的に電池持ちは長い方が良い
- それなりの作業をこなすことができるスペックの方が良い
- 拡張しようと思えば拡張できる方が良い
要は、MacBookでは物足りないが、MacBook Proではオーバースペックすぎる、という人が手を出すべきマシーンなのだ。以下に解説する。
目次
1番小さい、持ち運びやすいサイズはどれだ
まずは物理的なサイズで比較すると。本体が最も小さく、最も薄いのは言うまでもなく12インチ型MacBook。MacBook Air(2018)は軽くなったと言われているが、それでもMacBookとの重量差は330gある。
一方、MacBook Proとの重量差はわずか120gとなっていて、”エアー”と言っている割には大して軽くない。本体サイズもMacBook AirとMacBook Proは同じ。MacBookのみ、一回り小さい。
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
|
---|---|---|---|
高さ | 0.35〜1.31 cm | 0.41~1.56 cm | 1.49 cm |
幅 | 28.05 cm | 30.41 cm | 30.41 cm |
奥行き | 19.65 cm | 21.24 cm | 21.24 cm |
重さ | 0.92 kg | 1.25 kg | 1.37 kg |
本体のデザインに関してもMacBookとMacBook Airは同じウェッジ型を採用。キーボード手前に向けて本体が薄くなる筐体を採用している。一方、MacBook Proは厚みが一定のボディとなっている。
好みが分かれるところではあるが、個人的にはウェッジ型の方が手首への負担が少なく文字が打ちやすい印象を受ける。
パフォーマンス(CPU・GPU・RAM)が高いのはどれだ
MacBook Air(2018)のベンチマークスコアが正しいとした場合、MacBook Air(2018)のCPUは12インチ型MacBookの最上位モデルと同等のパフォーマンスが得られるということになる。
一方、MacBook Proに関してはよりパワフルなCPUを搭載し、3モデルの中で唯一CPUが4コアまたは6コアから選択可能。ただし、Touch Barを搭載していないモデルは2コア。
それを踏まえた上で高性能順に並べると「MacBook Pro > MacBook Air > MacBook」となる。Touch Barを搭載していないMacBook ProでもMacBook Air(2018)より高いパフォーマンスを発揮できると考えられる。
他にもグラフィック性能を左右するGPUも考える必要があるが、性能順はCPUと同じと考えて差し支えなさそうだ。操作全般のパフォーマンスを左右するRAM(メモリ)に関してはMacBook AirとMacBook Proの方がMacBookよりも性能が良い。
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
---|---|---|
|
|
|
これらの細かいパフォーマンスに関しては各Macでも選ぶスペックによって差が出るので本記事では細かく追求しないが、基本的には上記の順番通りと理解してもらって良いだろう。
用意されている外部ポートが便利なのはどれだ
MacBookとMacBook Airは似たような外観を持つが、用意されているポートが異なる。
MacBookは「USB-C」ポートが1つのみ。MacBook Airは「Thunderbolt 3」ポートが2つある。MacBook ProもTouch Barを搭載しないモデルであれば2つ、Touch Barを搭載するモデルは4つ用意されている。
USB-C周りの話は非常に分かりづらいので非常に簡潔に説明すると、MacBookはポート数が1つしかないだけではなく、搭載されているポートが非力(USB 3.1 Gen 1、最大5Gbps)である。
一方、MacBook AirとMacBook Proに搭載されている2つ以上の「Thunderbolt 3」ポートは非常にパワフル(Thunderbolt、最大40Gbps / USB-C 3.1 Gen 2、最大10Gbps)となっているため、利用できる周辺機器の種類に雲泥の差がある。
例えば、「Blackmagic eGPU」や「Blackmagic eGPU Pro」と組み合わせることによって、自宅や仕事場ではGPU性能を大幅に強化することができる。
外部ポートの性能に関しては「MacBook Air ≧ MacBook Pro > MacBook」ということになる。なお、MacBook、MacBook Air、MacBook Proは全モデル共通して従来の「USB-A」ポートやSDカードスロットなどは廃止されている。
「Touch ID」があるのはどれだ
MacBook Airの特徴は「Touch ID」のみ搭載し、Touch Barではなく通常の物理ファンクションキーを採用していること。この構成は最高だ。
パスワードの入力作業を指紋認証に置き換えることができる便利機能「Touch ID」を採用しているのは、他はMacBook ProのTouch Barを搭載しているモデルのみ。MacBook Airが加わったことによって初めてMacBook Pro以外で利用できるようになった。
ディスプレイ性能が良いのはどれだ
ディスプレイサイズはMacBookが12インチ、MacBook AirとMacBook Proが13インチとなっているが、それぞれに性能差があることは一応知っておいた方が良いかもしれない。
いずれもRetinaディスプレイを搭載し、ピクセル密度も同程度。ただしディスプレイの品質はMacBookとMacBook Airは近いが、MacBook Proは広色域(P3)に対応し、500ニトの輝度に対応。また、Touch Bar搭載モデルであれば「True Tone」にも対応している。
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
---|---|---|
|
|
|
この差は大きいように感じる人もいるかもしれないが、MacBookを使ってきて劇的な差を感じたことは今までにない。ただし、性能順としては「MacBook Pro > MacBook Air = MacBook」という認識で間違いない。
電池持ちが良いのはどれだ
MacBookとMacBook Airにはいずれも低消費電力を特徴とするIntelのYシリーズと呼ばれるチップを採用しているため、電池持ちが良い。その点、MacBook Proはパフォーマンスが発揮できる代わりに電池持ちは他の2モデルほど期待できない。
公称値で3モデルを比較すると下記の通り:
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
|
---|---|---|---|
ワイヤレスインターネット閲覧 | 最大10時間 | 最大12時間 | 最大10時間 |
iTunesムービー再生 | 最大12時間 | 最大13時間 | 最大10時間 |
スタンバイ時間 | 最大30日 | 最大30日 | 最大30日 |
とにかく電池持ちが最重要なのであれば、「MacBook Air」が最も長い。電源アダプタを持ち運ばなくても電池が1日持つ、という旧モデルの評判をそのまま引き継げるように設計されているようだ。
コストパフォーマンスが高いのはどれだ
ここからやや複雑になってくる。単純に下位モデルだけを比較すると、MacBookは142,800円、MacBook Airは134,800円、MacBook Proは142,800円となっている。それぞれのスペックを比較すると下記の通り:
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
---|---|---|
|
|
|
142,800円 | 134,800円 | 142,800円 |
下位モデルで最も価格が安いのはMacBook Airだが、ストレージ容量は128GBとなっていて、数年使うことを考えると現実的なストレージ容量とは言い難い。
「クラウドストレージがあるからローカルストレージは不要」と主張する人もたまにいるが、常にWi-Fiがビンビン飛んでいる場所にいるとは限らないため、個人的には最低でも256GB、可能であれば512GBはあったほうが良いと考えている。iPhoneのバックアップを取る時のことも考えるとローカルストレージは多いことに越したことはないと思う。
下位モデルにおいて、唯一256GBのストレージが用意されているのはMacBookのみ。同じストレージ容量に揃えると下記のような価格になる。
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
---|---|---|
|
|
|
142,800円 | 156,800円 | 164,800円 |
ここからメモリを8GBから16GBに変更するにはどのモデルも+22,000円。MacBookはCPUを最上位にアップグレードすると+27,500円、MacBook AirはCPUのカスタマイズはないがSSDを256GB(+22,000円)、1.5TB(+110,000円)に変更することが可能。
MacBook Proは最上位のCPUが+33,000円、SSDを512GBにすると+22,000円、1TBにすると+66,000円となっている。
コストパフォーマンスは人によって求めるスペックや仕様によって異なるため結論は出さないが、MacBookの最上位モデルがMacBook Air(2018)と同程度のCPUパフォーマンスであることを考慮すると、個人的にはMacBook Airが最もバランスが取れていると思っている。
Macが欲しい人におすすめできる、”ちょうど良いMac”
MacBook Airは純粋な価格に対して得られるマシーンパワーと言う観点では改悪された。旧モデルは10万円以下で手に入ったが、2018年モデルは約13万円に引き上げられてしまった。
その代わり時代にマッチしたスペックになり、ようやくこの先数年使えるマシーンになったと言える。もちろんまた数年アップデートされない、なんていうことにはならないと思いたいが……。
振り返ってみると、MacBook Air(2018)はMacBookよりは重いがMacBook Proよりは軽い。パフォーマンスはMacBookと同等またはそれ以上となっていて、ポートはMacBook Proと同等。
ディスプレイはMacBookと同程度だが、「Touch ID」を搭載し、電池持ちはMacBook以上。拡張性はMacBookよりも余裕があり、ストレージも最大1.5TBまで引き上げることができる。
MacBook | MacBook Air | MacBook Pro (13インチモデル/TBなし) |
|
---|---|---|---|
サイズ | ◎ | ◯ | ◯ |
パフォーマンス | ◯ | ◯ | ◎ |
ポート | △ | ◎ | ◎ |
Touch ID | ☓ | ◯ | ◯ |
ディスプレイ性能 | ◯ | ◯ | ◎ |
電池持ち | ◯ | ◎ | △ |
性能よりもサイズと軽さを重要視するのであればMacBook一択だが、それなりに性能がほしいが価格は極力抑えたいのであればMacBook Air、性能を重視するのであればMacBook Proという棲み分けで考えればいいのではないだろうか。
冒頭でも触れた通り、MacBookは物理的な軽さを重視したユーザー向け、MacBook Proはパフォーマンスを重視した名前の通りプロ向けのマシーン。MacBook Airはそれ以外のユーザーを対象としたノート型Macだ。よって、僕はMacBook Air(2018)はMacが欲しい人におすすめできる、”ちょうど良いMac”だと思っている。
ノート型Macは頻繁に買い換えるものではないのである程度予算に余裕を持ったほうが良いと思うが、とは言え予算は無限にあるわけではない。必要以上のスペックを持つマシーンを買って持て余すより、数年活躍してくれる自分に合ったマシーンを選ぶ際の参考になれば幸い!