15インチ型MacBook Proの動画編集性能を2016/2015モデルで比較ーーFinal CutとPremiere Pro
確かにMacBook Pro(2016)のスペックは2015年モデルより良くなっているように見受けられるが、動画編集マシーンとしての性能はどうなのか。2015年モデルから乗り換えるほどの魅力はあるのだろうか。
以前、「Macで動画編集するならRAMは多ければ多い方が良い」とは限らないことを解説していたMax Yuryevさんが15インチ型MacBook Proの動画編集性能を2016/2015モデルで比較する動画を公開していたので、紹介する!「Final Cut Pro X」だけではなく、「Adobe Premiere Pro」によるレンダリングや書き出しに掛かる時間も測定しているので、購入を検討している人は参考にどうぞ!
「Geekbench 4」のスコアが旧モデルの方が高い理由
まずは「Geekbench 4」のスコアから。この測定結果を見て「新モデルの性能はイマイチだ」と断言する人もいるが、CPUはすべてではない。とは言え、シングルコアスコアは旧モデルから微増、マルチコアスコアに至っては劣っているという結果が明らかになった。
なぜか。実は新モデルは旧モデルよりもTurbo Boostするクロック数が低いことが判明。この仕様はAppleが決めたのではなく、Skylakeプロセッサの性能上そのようになっているのだ。
2015年モデルは2.5GHzから3.7GHzまで動作するが、2016年モデルは2.6GHzから3.5GHzだという。
動画のトランスコード作業だけでも2016年モデルが優位
Yuryevさんの測定結果によると、30秒・5分・15分の動画のトランスコード作業を行った際にCPUの動画クロック数、Mac本体の温度、ファンスピードを比較した結果が以下。さらにトランスコード作業を行いながらWordドキュメントを編集した際の動作やYouTube動画を見ながらの動作も測定している。
2016年モデルは2015年モデルと比較して最大動作クロック数は低いが、実際に動作している時の動作クロック数は2016年モデルの方が高い。
さらに注目すべきポイントとしてファンの回転数が抑えられていること。今回の測定内容では2015年モデルはほとんどの場合でファンスピードが100%を記録していたが、2016年モデルは最大でも80%。Mac本体の温度も10度程度低い。
これは実際に僕も日頃の作業で使用していて実感している部分でもある。大量のPNG画像を同時に圧縮する場合、2015年モデルはすぐにファンが回りだしていたが2016年モデルでは数枚程度では何事もなかったかのように静か。これには正直驚いた。
Mac本体の温度に関しては4Kディスプレイに繋いだ時にも差が体感できる。2015年モデルは58度まで上がり、ファンスピードは40%程度を記録。動作音が聞こえるので静かな部屋で使用していると耳障り。
一方、2016年モデルはMac本体の温度は48度に留まり、ファンの音は聞こえてこない。
この測定結果に補足するとしたら、4Kディスプレイを2枚繋いでいてもある程度は静かに動作してくれるが、やはり本体はそこそこ熱くなる。特に、記事執筆時点では冬ということもあり熱さはあまり気にならないが、夏場になるとさすがに熱すぎて触っていられないかもしれない。
Final CutでもPremiere Proでも2016年モデルが優位
さて、いよいよ本題である動画編集における性能比較を紹介する。
まずは「Final Cut」のベンチマークツール「Bruce X」を使用した測定結果を公開。書き出しテストにおいては2016年モデルが23%早く完了。
単なるベンチマークツールではなく、実際にエフェクトや多数のレイヤーなどを使って編集した23分間の4K動画のレンダリングスピードにおいても2016年モデルは23%早く完了。時間にして7分以上の差を付けている。
続いて20秒の4K動画に手ぶれ補正を「Final Cut」で実施した場合、2016年モデルは22%早く完了。
一方、「Premiere Pro」では新旧モデルで2%の性能差しか見受けられなかった。これは「Premiere Pro」がCPUの性能の2割程度しか活かすことができず、GPUを全く使用していないため、性能差が現れにくいとのこと。
続いて、フィルムグレインとLUTを2種類適用した5分間のフルHD動画をレンダリング・書き出しした測定結果が以下。「Final Cut」は52%も高速化され、「Premiere Pro」でも16%高速化されている。
一方、これがフィルムグレインとLUTを2種類適用した5分間の4K動画になると突然「Premiere Pro」の性能が落ち着いてしまう。Yuryevさんは「そもそもPremiere ProはWindowsやMacに関わらず、コンピューターのパフォーマンスを活かすことができていない」と解説し、CPUのボトルネックやGPUが上手く使えていない可能性を指摘していた。
ところが興味深いのは、非常に負荷の高い動画のレンダリングおよび書き出しを行った際の測定結果。なんと「Final Cut」は93%も高速化、「Premiere Pro」は24%も高速化している。
これらのことから、ライトな動画編集よりも高負荷な動画編集の方が2016年モデルは力を発揮することが分かる。そういう意味では”プロ”が使う上では2015年モデルより進化していると言えるだろう。
なお、プレビューの滑らかに関しては、「Premiere Pro」で4K動画を編集した際に2015年モデルでは8分の1の解像度にしなければならなかったが、2016年モデルでは4分の1の解像度で快適に使うことができたという。4分の1の解像度となるとフルHD画質になるので、編集する上では概ね問題無いと言う。
動画と言う観点における電池持ちについても明らかにしている。YouTubeで4K動画を視聴した場合、2015年モデルは5時間19分もったのに対し、2016年モデルは4時間24分で電池切れ。「Final Cut」で編集した際は両モデルとも変わらず3時間半程度しか持たなかったと言う。電池持ちは期待しない方が良い。
結論としてYuryevさんは動画編集するのであれば2016年モデルを勧めている。動画の編集に掛かる時間が短縮できるだけではなく、新しいRetinaディスプレイやTouch Bar、静かなファンと熱くならないMac本体によって快適に動画編集をすることができるだろう。特に「Final Cut」ユーザーは恩恵を受けることができると思われる。
非常に専門的な内容が多く、僕自身も理解しきれなかった内容も多々あるので、動画編集をする人でMacBook Pro(2016)に興味がある人は下記動画をチェックしてみるべし!
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