「Macで動画編集するならRAMは多ければ多い方が良い」とは限らない
動画編集するならスペックは高ければ高い方が良いーー僕はそう思っていた。同様のことを思っている人も多いのではないだろうか。
とは言え、我々には予算と言うものがある。CPU、GPU、RAM、SSDといろいろスペックアップできる項目がある中で、少なくともRAM(メモリ)に限っては積めるだけ積んだ方が良いと思っていた。特に根拠はなかったが、RAMが多い方が”余裕が生まれる”と信じ込んでいた。
どうやらこの考えは間違っているようだ。RAMを積めば積むほど動画編集が快適になるとは限らないということをMax Yuryevさんが解説していたので、紹介する!
Macの場合、メモリは16GBでも十分、24GBだとベター
YuryevさんはiMac Retina 5Kディスプレイモデルに8GB/16GB/24GB/32GBのRAMを差し替え、それぞれで「Final Cut Pro X」と「Adobe Premiere Pro」を「OS X El Capitan」で、「Adobe Premiere Pro」を「Windows 8.1」で試している。
まず実施したのが「Bruce X」というベンチマークテスト。これは「Final Cut Pro X」の性能差を測定するXMLファイル。複数のジェネレーターやタイトル、トランジションに加えて複数のレイヤーを使い、アプリケーションとして対応する最高解像度5,120×2,700ピクセル、23.975fpsのファイルを書き出すのに掛かる時間で測定する仕組み。この場合、8GBだろうと32GBだろうと書き出し時間に差はなかったようだ。
続いて、20秒の4K動画を手ぶれ補正するのに掛かる時間を測定。「Final Cut Pro X」の場合はRAMの量に関わらず変化無しという結果に。「Premiere Pro」ではmacOSもWindowsも24GBが最短。32GBではmacOSは変わらず、Windowsはかえって遅くなっていた。
次は5分間の4K動画を編集した場合。編集と書き出しまでを含めた時間を測定した結果、「Final Cut Pro X」では16GBのRAMを搭載した時が最短という結果に。「Premiere Pro」の場合、macOSは24GB、Windowsは32GBの時に最も速かった。
上記実験を行った時に補足として書き出し中の様子にもYuryevさんは言及。8GBの時はRAM不足を解消するためにOSが使用していないメモリを圧縮してSSDに逃がすため、システム全体が重くなるとのこと。この問題は16GBのRAMで解消されると解説されている。
次は20秒間の4K動画で実験。4K画質を1080pに圧縮した動画を4つ並べ、各種編集が施されているため、ファイルの再生時間こそは短いがコンピューターに対する負荷は非常に高いとされる。その結果、「Final Cut Pro X」では16GB以降、ほとんど変化なし。「Premiere Pro」の場合、macOSでは24GBと32GBは変わらず、Windowsでは24GBが最短という結果になった。
これらの結果から、Yuryevさんは動画編集するなら最低でも16GBのRAMが必要であると結論付け、可能であればmacOSなら24GB、Windowsであれば32GBあるとより快適になる場合もあると解説している。
もちろん、これはあくまでも動画編集のみを行った場合における必要とされるRAMの分析となっていて、同時にフォトショやイラレなどを動作させた場合はまた話が変わってくると思われる。
とは言え、少なくとも「Macで動画編集するならRAMは多ければ多い方が良い」は必ずしも正しくないということは言えるだろう。Yuryevさんは「予算の都合上、RAMとCPUどちらかにしかお金を掛けられないのであればCPUに金を掛けた方が良い」と勧めている。
なお、基本的にMacのパフォーマンスを最大限引き出したい時は、多くの場合においてApple純正のアプリケーションを使用することをオススメする。ソフトウェア自体がハードウェアに最適化されているため、一般的には「スペック不足」と言われるようなマシーンでもサクサク動作する場合も多い。
今回の例だと「Final Cut Pro X」がその典型例。どの実験結果においても数分の差をつけて作業を完了している。
プロにとってツールを乗り換えるのは至難の業かもしれないが、乗り換える余地があるもしくはこれからツールを選ぶという人は「Premiere Pro」ではなく「Final Cut Pro X」という選択肢も検討してみてはいかがだろうか。
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