Tim Cook、CEO退任後も”居残り”。会長就任で次の10年もAppleを率いる可能性
現会長が年齢制限に到達、2026年株主総会で交代か。「意図的リーク」で市場の反応を測る戦略も
Tim Cook氏のApple CEO退任が報じられたばかりだが、退任後は会長職に就く可能性が浮上している。現会長のArthur D. Levinson氏が年齢制限に達することから、Cook氏が後任会長として取締役会を率いるシナリオが現実味を帯びてきた。
Financial Timesが報じたこの情報は、複数の関係者から寄せられたもので、記事には4人の記者が署名している。著名ブロガーのJohn Gruber氏や9to5Macは、これが意図的なリークである可能性を指摘している。
「試験気球」で市場の反応を測る戦略か
Gruber氏は、Cook氏の退任計画を知り得るのは取締役会やAppleの最高経営陣など限られた人物のみであり、「複数の関係者」が情報源として名乗り出ていることから、Cook氏の了承を得た上でのリークと分析している。これは投資家や市場の反応を事前に測る「試験気球」である可能性が高い。
Cook氏は2011年8月のCEO就任以来、Appleの企業価値を3,500億ドルから4兆ドルへと押し上げた実績を持つ。取締役会が退任発表時の市場の動揺を懸念し、投資家に心の準備をさせるために段階的に情報を公開している可能性は十分にある。
CEOから会長へ、”完全引退”ではない道筋
Appleの企業統治ガイドラインでは、取締役は原則として75歳を超えての再選を認めないと定めている。Levinson氏は2025年3月に75歳を迎えたばかりで、次回の株主総会で再選の対象外となる見込みだ。
この年齢制限により、2026年の株主総会でLevinson氏が退任すれば、Cook氏が会長に就任する道が開かれる。Cook氏は現在65歳で、年齢制限の75歳まで最大10年間会長を務められる計算だ。
「会長」か「執行会長」か、その違いは大きい
Cook氏が就任するのが単なる「会長」なのか、それとも「執行会長」なのかは大きな違いだ。前者の場合、取締役会の管理や企業統治に注力することになる。一方、後者であれば日常業務や意思決定により深く関与し続けることができ、新CEOへの円滑な移行を支援する役割を果たすことになる。
Appleは伝統的にCEOと会長の役職を分離してきたが、Cook氏のような長期在任CEOが執行会長として残るケースは、テック業界では珍しくない。MicrosoftのSatya Nadella氏やMetaのMark Zuckerberg氏も会長職を兼任しており、AmazonのJeff Bezos氏もCEO退任後に執行会長として残留した実績がある。
年齢制限には「例外」も存在する
ただし、Appleは過去に年齢制限の例外を認めたケースもある。元Northrop GrummanのCEOだったRonald Sugar氏は76歳で、Cook氏が「会社に対する深い洞察」を理由に2024年3月に特別措置として1年間の延長が認められた。
Levinson氏についても同様の例外措置が検討される可能性はゼロではない。しかし、Cook氏が65歳という引退の節目を迎え、Levinson氏が年齢制限に達したタイミングが重なることを考えると、世代交代のベストタイミングと判断される可能性が高い。
発表は株主総会のタイミングか
新CEOの発表時期について、Financial Timesは1月下旬の決算発表前ではなく、2026年初頭になる可能性が高いと報じている。具体的には、例年2月下旬から3月上旬に開催される株主総会のタイミングが有力視されている。
この株主総会でLevinson氏の退任とCook氏の会長就任、そして新CEOの任命が同時に発表されれば、長期計画された事業承継プランの完成形として市場に受け入れられやすくなる。John Ternus氏がCEOに就任した場合、彼は50歳でちょうどCook氏が2011年にCEOに就任したときと同じ年齢となる。

John Ternus氏
Cook氏は「消えない」、次の10年も影響力を保持
もし会長職に就くことになれば、Cook氏は完全引退ではなく「次の10年」もAppleに影響力を持ち続けることになる。AI時代への対応、Vision Proの拡大、Apple Silicon戦略の推進など、Appleが直面する課題は山積みだ。
今回の一連の報道が意図的なリークであれば、Appleは投資家や業界関係者に対し、CEO交代という重大なイベントを段階的に受け入れさせる戦略を取っていることになる。正式な発表までの数カ月間が、市場にとっての「慣らし期間」となり、新CEOを支える「重し」としてCook氏が会長に就くシナリオは、合理的な選択と言えるだろう。
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