「ネットで生きる」ことの夢と現実についてSFCで講義してきた
「慶應大学で授業をしてきた」、と言うと聞こえが良い。
間違ってはいないのだが、それだけだと大袈裟にも聞こえるので正確に説明すると、自分の母校である慶応大学湘南藤沢キャンパス(通称SFC)にて4月25日、所属していたゼミ(SFCでは研究室と呼ぶ)の教授が担当している授業「ネットワーク文化」で講義を担当させてもらった。
テーマは「『ネットで生きる』ということ〜夢と現実〜」。研究室の先輩や同期、そして同期の旦那さんまでわざわざ仕事を調整して応援しにきてくれた。中にはSFC志望という高校生が、”突然体調不良になった”という漫画でも見ないようなベタな言い訳で学校を早退し、聞きにきてくれた。大丈夫だったのかな。
登壇したという記録を残すと同時に、話した内容の一部を抜粋して紹介する。
ネットで生きることは大変だし、会社員は素晴らしい
僕の講義では、実際に僕がどのように生計を立てているか、ネットで生きるメリット・デメリット、そして独立した理由や会社員の素晴らしさについて語った。
学生以外でも「gori.meで生計を立てている」と言われても「どうやって?何をやってるの?」と聞かれることも多いので、具体的に僕がどのような流れで”給料”をもらっているかを説明。過去に別のセミナーで登壇していた時、寝ていた人が「お金の話です」と言った途端に目を覚ましたのを見て思わず笑ってしまったが、今回も例に漏れず、お金の話の時だけ顔を見上げる学生もいた。みんな、分かりやすい。
僕は基本的にその分野で成功するには、継続力が重要だと思っている。広く言われている「成功する」ことは「小さい成功を積み重ねることによって得られる大きな成功」だと理解しているため、僕の中では「成功 = 成功し続けること」なのだ。よって、継続す継続力は重要。コツコツと続けることが重要なのだ。
メリットばかりが注目されがちな「ネットで生きる」という生き方だが、デメリットもある。一言でまとめると、すべてが自己責任、ということ。高校の校長先生は「自由と責任は表裏一体」と何度も言っていたが、あの時ピンとこなかったその言葉は今なら身をもって真実だと断言できる。
ネットで生きる人たちの代表例としてYouTuberがいる。彼らは趣味を仕事にした人も多く自由に生きているように見えるかもしれないが、実際過酷で孤独な生活であることをHIKAKINさんが紹介していた。
「すべてが自己責任」以外にも色々とデメリットはある。インターネットは誹謗中傷や炎上、謎の正義感を振りかざす老害や嫉妬丸出しのコメントを連発する妬みマシーン人間など、危険物だらけなのだ。
幸いにも僕は良心的かつ協力的な読者やファンに恵まれ、日々楽しく仕事をすることができているが、最近公開した動画のコメントで「去年のアップルウォッチ2の紹介で凄くウザい喋り方とか上から目線とか言われて晒され問題になりました」ということを今日、初めて知った。顔も名前も知らない人に否定されるのもインターネット。
特定の生き方にメリットとデメリットが存在するのはごく当たり前のこと。今後チャレンジしたい人はデメリットを知った上でメリットを最大限得られるように自分の可能性を追求してもらいたいと思ったが、その上で僕がSFCで講義するにあたって僕が最も伝えたかったのは会社員の素晴らしさ。
これは完全に主観だが、SFC生は「クリエイティブ」という言葉が好きで、内から溢れ出す謎の自信を持つ個性派の人が多い、と思っている。当然ながら能力も高く、学生時代にそれなりの実績を残しているため、社会人になると正当に評価されていないと不満を爆発させていた人が多い。僕とか。
ただ、僕は会社員として5年間勤めたお陰で今の自分があり、会社員として過ごした5年間がなければ今の自分は無いと断言できる。会社という組織に所属していたことを通じて最初から独立していたら得られなかった知識や経験を身につけることができ、素晴らしい同期、上司、部下、先輩、後輩に恵まれた。
だからこそ、僕は独立を考えていても一度は会社員を経験するべきだと力強く語った。その時の経験は確実に将来、役に立つ。
こんな話を90分超早口で語り飛ばしていたところ、授業は終わってしまった。学生の皆さんには、「ネットで生きる」ということがどういうことなのか、そして会社員という仕組みの素晴らしさを知ってもらえることができたのであれば幸い。
それにしてもSFCは良い大学だなあ。ここに通わせてくれた親に感謝!