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ダイソン初の水拭きロボット掃除機「Spot+Scrub™ Ai」を体験して分かった、期待と物足りなさ

Aiカメラで約200種類の汚れを検知し最大15回繰り返し掃除。技術は詰まっているが、後発プレミアム機としての説得力には疑問が残った

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ダイソンが、同社初の水拭き機能搭載ロボット掃除機「Dyson Spot+Scrub™ Aiを発表した。2026年3月18日より、ダイソン公式オンラインストアおよび家電量販店にて順次販売を開始する。価格はオープン価格。

AiカメラとグリーンLEDで約200種類の汚れや障害物を識別し、きれいになるまで最大15回繰り返し掃除する。60°Cの温水で自動洗浄されるウェットローラーによる水拭き、紙パック不要のサイクロン式自動ゴミ収集ドック、LiDARによる3Dマッピングなど、ダイソンの技術を詰め込んだロボット掃除機だ。

記者発表会に参加し、実機のデモや開発担当者への質疑応答を通じて得た情報を交えながら、本製品の特徴と率直な感想をまとめた。

ダイソンのロボット掃除機、30年の歴史の集大成

ダイソンのロボット掃除機開発は1990年代にさかのぼる。2001年に約80個のセンサーを搭載した初代「DC06」を発表し、26個のセンサーと360度カメラを採用した「360 Eye」、当時世界最強の吸引力を誇った「360 Vis Nav」と進化を重ねてきた。

創業者のジェームズ・ダイソン氏は「高度なAiを用いて、汚れや液体、ゴミを検知・分析・除去できるロボットを完成させた」とコメントしている。掃除機がけと水拭きの両方に対応するモデルはダイソンとして初めてだ。

「見えない汚れ」もカメラが見逃さない

Dyson Spot+Scrub™ Aiの最大の特徴は、前面に搭載されたAiカメラとグリーンLEDの組み合わせだ。もともとダイソンのスティック掃除機でお馴染みのグリーンLEDだが、本製品では「人が見るため」ではなく「ロボットが見るため」に使われている。

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グリーンLEDが床面を照射することで、人の目では見つけられない薄いコーヒーのシミのような汚れもカメラで検出できるようになる。識別可能な物体は約200種類。コードや靴下、ペットのおもちゃなどの障害物を回避しつつ、乾いたゴミと液体の汚れを区別し、それぞれに最適な掃除方法を自動で選択する。

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レーザーが玩具に当たり、認識している様子

汚れが除去されたことをHDカメラで確認するまで、最大15回の集中掃除を繰り返す。発表会のデモでは、床にこぼしたブラックコーヒーに対して水量を自動で増やしながら何度も往復する様子が実演された。従来のロボット掃除機は1回のパスで次のエリアに移動してしまうが、Dyson Spot+Scrub™ Aiはしつこいぐらいに粘る。この「粘り強さ」がダイソンとしての明確な差別化ポイントだ。

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掃除途中にコーヒーをこぼす

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しっかりと汚れを認識し、同じ場所を繰り返し掃除する

なお掃除の途中で新たに汚れが発生した場合、カメラが見える範囲であれば掃除完了前に検知して対応するとのこと。ただし、すでに掃除を終えたエリアで発生した汚れには気づけないため、新たに掃除を開始する必要がある。

60°Cの温水で常にきれいなローラーを維持

ロボット本体にはマイクロファイバー製のウェットローラーを搭載。12個の給水ポイントから60°Cの温水が供給され、ローラーは回転のたびに自動洗浄される仕組みだ。12個に分けている理由は、ローラー全体に均一に水を行き渡らせるため。開発担当者が実機を裏返して1つずつ給水ポイントを見せてくれた。

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本体裏側(ウェットローラーなし)

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ここに本来ウェットローラーがある(説明のため外してくれている)

ウェットローラーは壁際を検知すると自動で横方向に最大40mm伸長する「サイドライター機構」を備えている。片方にしか伸びないモップだと、壁際を拭くために回転するなど無駄な動きが増えるが、本製品は左右どちらにも伸長できるため、回転せずに必要に応じて左右に伸ばせる。合理的な仕組みだと感じた。

頑固な汚れを検知した場合は、ロボットが自動でドックに戻り、ウェットローラーのセルフクリーニングを実施してから掃除を再開する。コーヒー程度であれば本体内の仕組みでも対処できるが、ソースのような頑固な汚れの場合、汚れたローラーで家中を拭き広げてしまうリスクがある。ドックに戻って完全にきれいな状態に戻してから再開するという設計は、衛生面を重視するダイソンらしいこだわりだ。

紙パック不要、最大100日分のゴミを自動収集

自動ゴミ収集ドックは、10個のルートサイクロンでゴミと空気を分離するサイクロン式を採用。紙パック不要で最大100日分のゴミを溜められる。日本の住居で毎日使うにはかなり長い期間だ。

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ダストビンは、ダイソンの掃除機でお馴染みのレバーを引いて開くスタイル。上部が開き、ゴミ箱の上からゴミを落とすタイプのゴミ箱であれば快適に使えるだろう。ただし我が家のように側面に扉があるタイプのゴミ箱だと、かなり捨てづらい。レバーを引っ掛けてガバッと開く仕組みで開き方の調整もできないため、ゴミ箱の種類によっては注意が必要だ。

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結構力が必要だった

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下向きにガバッと開くタイプ

ドックにはウェットローラーの洗浄(60°C温水)と乾燥(45°C温風)機能も備わっている。乾燥時間はシンガポールのような高湿度地域では5時間、湿度の低い地域では3時間と環境に応じて調整可能。ドック内部のトレーやウェットローラーのユニットはまるごと取り外してシンクで丸洗いできるため、メンテナンスのしやすさにも配慮されている。

浄水・汚水の残量が視覚的に確認できる仕組みがあるのは良い。アプリでも通知してくれるとのことだったが、どのタイミングで通知が届くのかは発表会の場では確認できなかった。

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浄水タンク

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汚水タンクの中

LiDARナビゲーションとMyDysonアプリ

高速LiDARが毎秒7回部屋をスキャンし、3Dマッピングで正確なナビゲーションを実現する。MyDyson™アプリでは、エリアごとの掃除モード設定(水拭きのみ、掃除機がけのみなど)、バーチャルウォールの設置、掃除履歴の確認が可能だ。

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アプリの掃除マップでは、検出した汚れの場所と種類(乾いたゴミか液体の汚れか)が可視化される。デモではオーツ麦は「乾いた汚れ」、ブラックコーヒーは「液体の汚れ」として正しく識別・表示されていた。2D表示と3Dマップ表示を切り替えられるため、家のどこで汚れが検出されたかを立体的にも確認できる。

ロボットの動作状況(ローラー洗浄中、乾燥中など)もアプリ上でリアルタイムにアニメーション表示されるため、ドックに戻っているときに「今、何をしているのか」が一目で分かる。サイドブラシの回転速度も状況に応じて自動で変化し、汚れを検知した場合は速度を落として汚れを広げずにウェットローラーで拭き取れるよう調整する仕組みだ。

プロバイオティクス洗浄液にも対応

Dyson Spot+Scrub™ Aiに合わせて、プロバイオティクス配合の床用洗浄液も発売される。ドック内の専用投入口に注ぐだけで、掃除セッションごとに水と洗浄液の適量を自動配合する「オートドーシング機構」を採用しており、手動で混ぜる必要はない。

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刺激の強い化学物質を含まず、ローラーやドックのメンテナンスにも使用可能。ダイソンの既存スティック掃除機のウェットクリーナーにも対応している。

本体の高さは約11cm、段差の乗り越えは最大20mm

本体の高さは約11cmで、ソファやベッドの下にも潜り込める。段差の乗り越えは最大20mm。6.6kgと重量があるため、高い段差からの落下リスクを考慮して控えめに設定されているという。

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日本の住居事情を考えると、段差20mmという数値はやや心もとない。開発担当者からは「将来的にはアップデートを予定している」との示唆があったが、現時点では家の環境次第で使い勝手に差が出る部分だろう。

率直な感想:後発のプレミアム機として、パンチに欠ける

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技術的に見れば、Aiカメラによる汚れ検知と最大15回の繰り返し掃除、60°C温水によるセルフクリーニング、左右に伸長するウェットローラーなど、ダイソンの技術力が詰まった1台であることは間違いない。ゴツゴツとした見た目は僕好みだし、ベースステーションも比較的コンパクトにまとまっている。

ただ正直なところ、このタイミングで投入するロボット掃除機としては、パンチに欠けるという印象が拭えなかった。昨今のロボット掃除機市場は参入メーカーが急増し、進化が凄まじい。水拭き対応、Aiによる物体認識、セルフクリーニングドックなど、Dyson Spot+Scrub™ Aiが打ち出している機能の多くは、すでに競合他社が実現している領域だ。

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取材させてもらう立場でありながら恐縮だが、「ダイソンブランドのロボット掃除機」というだけでは魅力が不足していると感じた。もっと安い価格帯で、もっと優秀なロボット掃除機はいくらでもある。圧倒的な後発という立場でプレミアムな価格帯で提供するものとしては、疑問が残る。

実際の掃除精度や繰り返し掃除の仕組みは他社より優秀かもしれない。しかしデモでは「カメラで見えているから」と披露したゴミが吸いきれていないシーンもあり、うーんと感じずにはいられなかった。洗剤の自動投入も目新しくなく、メンテナンス性の説明も受けたが、劇的な新しさは感じづらい。

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これらはしっかりと吸い取っていたが……

開発担当者によると、日本向けの機能は特に用意しておらず、グローバル展開を前提に設計しているとのこと。日本でも十分に使える機種ではあると思うが、日本の住居環境とコストパフォーマンスを考えると、あえてこの新製品を選ぶ必要性は薄いと感じざるを得なかった。実際に自宅で使い込めば「おお、結構違うな」と思える部分もあるのかもしれないが、スペックと提供される機能だけを見て「これを選びたい」と思わせる要素は、正直少ない。

主なスペック

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  • 製品名:Dyson Spot+Scrub™ Ai
  • 価格:オープン価格
  • 発売日:2026年3月18日
  • カラー:マットブラック/ブルー
  • 本体サイズ:幅373mm × 奥行き370mm × 高さ110mm
  • 本体質量:6.6kg
  • 吸引力:18kPa
  • 運転時間:最長200分(静音モード)
  • 充電時間:約3時間
  • 識別可能な物体:約200種類
  • ドックサイズ:幅440mm × 奥行き508mm × 高さ455mm
  • ドック質量:9.0kg
  • タンク容量:給水2.3L/汚水2.1L
  • ゴミ収集:サイクロン式(最大100日分)
  • ローラー洗浄・乾燥温度:60°C/45°C
  • フィルター性能:0.1ミクロンの微細な粒子を除去

製品の詳細はダイソン公式ページを確認してもらいたい。

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執筆者g.O.R.i
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