公取委、Googleに排除措置命令。検索サービスの強制搭載で独禁法違反認定
Android端末での自社サービス優先を是正、巨大IT企業への初の命令で競争環境整備へ
公正取引委員会は2025年4月15日、米Googleに対して排除措置命令を発令した。同社がスマートフォンの初期画面に自社の検索サービスを搭載するよう要求していた行為が、独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たると認定したものだ。巨大IT企業への命令は初めてのケースとなる。
どんな仕組みが問題だったの?
公取委が違反認定したのは、Googleが開発したOS「Android」を搭載したスマホに関する端末メーカーや通信事業者との2つの取引だ。
まず1つ目は、Googleが「Play ストア」のライセンス契約を結ぶ際、メーカー6社に対して「Google検索」や「Chrome」ブラウザをスマホの初期画面に配置するよう求めていた点。日本経済新聞によると、国内で販売されたAndroidスマホの約8割がこの契約の対象だったという。
2つ目は、検索から得た広告収益の一部をメーカーに分配する際、「他社の検索サービスは入れないでね」という条件を付けていた点だ。つまり、「うちのサービスだけを目立つところに置いて、競合は置かないでね。そうしたらお金をあげるよ」という取引をしていたわけだ。
Googleはこれからどうなるの?
今回の命令では、自社サービスをスマホ初期画面に搭載するよう強いる行為や他社サービスの実装を妨げる行為の取りやめを求めている。また、広告収益の分配契約についても適用条件を緩和し、メーカーの選択肢を広げることを命じた。
Googleは独立した第三者を選定し、公取委に排除措置の履行状況を5年間報告する義務を負うことになる。
検索分野では近年、生成AI技術の活用が急速に進んでいる。AIが人の意図をくんで文章の形で答える「対話型検索」は、Googleが強みとした従来の「キーワード型検索」に比べて利便性が高く、新興勢力も多くのユーザーを獲得している状況だ。
私たちの生活にはどんな影響があるの?
公取委は独禁法に加え、2025年12月までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)との両輪でGoogle側に対応を迫る見通しだ。
スマホ新法はスマホのOSやアプリ配信で企業の競争を促すことを目的とする。検索分野ではブラウザーなどをユーザーが選択できるよう複数サービスの表示を義務付けた。公取委は3月、GoogleのほかAppleとその子会社のiTunesを対象にすると発表した。
今後は、新しいスマホを買ったときに「どの検索サービスを使いますか?」と選択画面が表示されるようになるかもしれない。また、新しいAI検索サービスが登場しやすくなり、ユーザーの選択肢が広がることも期待できる。
僕たちユーザーにとっては、より多様な検索サービスから自分に合ったものを選べるようになる可能性が高まったと言えるだろう。
詳細や最新の展開については、日本経済新聞の報道を参照してほしい。