iPhone X レビュー
Touch ID から Face ID へ "スマホの未来" の第1歩
ホームボタン廃止と新しいジェスチャー
ホームボタンが廃止されたことによって、ホームボタンが担っていた機能が新しいジェスチャーとサイドボタンに分散した。
今のところ把握している新しい操作方法は下記記事にまとめているが、個人的に最も衝撃的だったのは、電源オフがサイドボタンの長押しでできなくなったこと。
電池残量のパーセント表示が常時表示できなくなったことを不満に思っている人は多いようだ。確かに、使っていると知らないうちに電池残量が半分以下だったりするので、不便といえば不便。
「iPhone X」からは「ホームボタンを押す」という動作が画面下部から上方向のスワイプになり、今までとは異なる指の動きが基本となった。(参考:解説記事)
アプリの切り替えは、画面下部を左右にスワイプするだけで済むように!(参考:解説記事)これはハッキリ言ってめちゃくちゃ便利だ。指の動きも少ないので助かる。
マルチタスク画面を表示してアプリを強制終了する方法(参考:解説記事)も変わり、これには不満を抱いている人も一定数いるようだが、そもそもアプリの強制終了はほとんど使う必要がないはず。不満に思っているということは、そもそもiPhoneの使い方が間違っているということを認識するべきだ。
コントロールセンターが画面上から下方向に引っ張り出すようにして表示する(参考:解説記事)のは、なかなか慣れず、未だに従来のスワイプでホーム画面を表示してしまうことがしばしばある。
他にスクリーンショットを撮る方法や画面を下げる「簡易アクセス」を使う方法が変わったが、これらも慣れてしまえば済む話なので、それほど困っていない。
意外と便利なのは「タップしてスリープ解除」という、「iPhone X」独自の新機能。
「手前に傾けてスリープ解除」とは別に用意され、画面をタップするだけで画面を点灯させることができるため、すこぶる便利!いちいちサイドボタンを押すことなく、画面を「トンッ」と叩くだけで点灯してくれるので、重宝している。
Face ID:まだまだ改善の余地ありだが、”スマホの未来” 感はある
「iPhone X」の注目機能である新しい顔認証機能「Face ID」。「Touch ID」を捨ててまで搭載した新しい生体認証機能は、現段階ではまだ未熟、と言わざるを得ない。
「Face ID」を登録するための手順は「Touch ID」と比べて圧倒的に楽になった。顔をぐるっと回し、写真の周りが緑色のラインで埋まれば登録完了。「Touch ID」と同様にこの作業を2回繰り返すのだが、認証スピードが恐ろしく早く、カジュアルにぐるっと首を回すだけで大抵は成功する。
「Face ID」のアイコンは地味に好きだ。可愛い。
「Face ID」は画面を見ている時は「認証したことに気づかない」
ここ数日間、「Face ID」で色々と試してみた。コンビニの決済は楽勝。「Touch ID」でもそうだが、予め認証した状態で待機しておけば後はかざすだけなので、特に変化はない。
自販機はコンビニと同じ理屈なので認証を先に行うことを忘れなければ問題なし。モバイルSuicaでの乗り降りはそもそも「Face ID」を使わないので変化なし。
特に便利だと思ったのは、アプリ内の認証。「1Password」や「Dropbox」など「Touch ID」から「Face ID」に移行しているアプリは画面を見ているだけで自動的に認証が完了するため、パスコードが掛かっていたことさえも忘れてしまう。
指紋認証をするために指をホームボタンに置く手間がなくなった。これは革命だ。濡れた手でも覗き込むだけでロック解除を行うことができる。
「Face ID」は「Touch ID」を超えているとは思えない
ただ、良いことばかりではない。僕のこれまでの使い方では「iPhone X」は使えなくなってしまった。
その原因となっているのは、「iPhone X」の位置・角度にによって認証できない、ということ。また、認証が失敗した時に認証し直す手間が掛かる、ということ。
「iPhone X」の位置や角度によて認証しないことは致命的だ。近すぎても、遠すぎても、左右どちらかに逸れていても、逆さまでも、横向きでも、ダメだ。認識してもらうためには、真っ直ぐ正面を向いていなければならない。
スマホを机の上に置いている時。寝起きで通知を確認したい時。横たわっている時。顔に手を置いている時。歯を磨いている時。これらの場合は全く使い物にならない。
机の上に置いたまま通知を開くことができていたiPhone 8 Plusとは違い、「iPhone X」は身を乗り出して覗き込まなければロック画面を突破できない。
パスコードロックを使えばいいのでは、と思う人もいるかもしれないが、パスコードロックが面倒だからこそ「Touch ID」を重宝していた。通知が来たら「iPhone X」を持ち上げるか、Apple Watchで通知を確認しろ、ということなのだろうか。
また、「iPhone X」では所有者が注視している時にのみ通知内容を表示する機能が備わっているのだが、これを有効化しているとストレスで爆発する。
「Face ID」は画面に対して真っ直ぐ向いていなければ認識してくれない。そのため、逆さまに持っていたり、横たわって認証しようとしても認証してくれない。先ほど紹介した「タップしてスリープ解除」が台無しだ。
毎回スパッと認証してくれるのであればプライバシーを強化してくれる便利な機能ではあると思うが、現状のクオリティでは有効化している方がかえってストレスが溜まると判断し、無効化。特に困っていない。
まだまだ「Face ID」には不満がある。この限られた位置や角度でしか認証できない上に、認証を失敗した時に認証し直す手間が掛かるのだ。
「Touch ID」の場合、認証を失敗すれば再度指をホームボタンの上に置いて位置を調整すれば済む話だった。「Face ID」の場合、そもそも何をすれば認証し直しになるのか、分からない。
サイドボタンを押して一度画面を消灯し、画面をタップして点灯してから再度チャレンジ。失敗するとまたこの繰り返しとなり、3回失敗するとパスコード入力に切り替わる。パスコードの入力画面が表示されると負けた気分になる。
まだまだ未熟な「Face ID」は、今後の進化に期待
不満が爆発している「Face ID」だが、解決方法は非常にシンプルだ。「Face ID」の認証精度および認証速度が改善されることに期待するしかない。
「Touch ID」も初期の頃よりも第1世代よりも第2世代の方が圧倒的に認証精度が改善されているため、数年後にはこれらの不満点はきっと解消されていると予想している。
ただ、現状は「Touch ID を置き換える存在」とはなっていない。
「Face ID」に対する執拗なコメントを述べたところで、最後のページでは、「iPhone X」でしか利用することができない魅力として、両レンズに光学手ブレ補正が搭載された外向きカメラ、ポートレートモードが利用可能になった内向きカメラについて紹介する!