「AIでiPhoneホーム画面を変える新機能」の提案→みんな大好きフェデリギが却下
ChatGPT体験後に方針転換も、コスト重視でGoogle依存へ。AI人材のMeta流出も深刻化
AppleのソフトウェアトップであるCraig Federighi氏が、同社のAI(人工知能)戦略の舵取りを任され、外部企業のAIモデルに依存する方向へとAppleを導いている。長年の社内開発の遅れと組織的な摩擦を経て、Siriの大幅刷新を実現するため外部AIモデルの採用を加速させる方針だ。
The Informationの詳細レポートによると、この1年でAppleのAIへのアプローチは大きく変化した。ソフトウェア担当上級副社長のFederighi氏がその変化の中心にいるという。同氏はAI組織の直接的な監督を担当し、SiriをはじめとするApple Intelligence機能の将来を形作る意思決定を主導している。
進捗の遅れに不満、AI組織を再編
昨年秋、Federighi氏はAppleのソフトウェアチームとAIチームの合同会議に出席し、より緊密な協力への期待を表明する一方で、AI分野における同社の進捗ペースへの不満も示したという。基盤モデルチームの一部メンバーは、この発言を自分たちの仕事への批判と受け止めた。
2024年12月、AppleはFederighi氏の下にAIリーダーシップを統合し、年初から進めていた組織再編を完了させた。今年1月、AppleはGoogleの「Gemini」AIモデルを将来のAIアップグレードに採用する計画を発表。Siriの改良版を含むこの取り組みは、Federighi氏の意向によるものだ。同氏は、サードパーティモデルの統合により、2025年に延期されていたSiriの刷新を今年中に実現できると判断した。Appleはこの契約で複数年にわたって数十億ドル規模をGoogleに支払うとみられている。
コスト重視で慎重な投資姿勢
ただし、レポートではFederighi氏の下でAIを統括することの影響について、社内で懸念があることも指摘されている。同氏と仕事をしたことがある人物によると、Federighi氏は非常にコスト意識が高く、不確実なリターンを伴う投資には慎重だという。このアプローチは、データセンター、チップ、AI研究者に数百億ドル規模の投資を行うOpenAI、Meta Platforms、Googleなどのライバル企業とは対照的だ。
Federighi氏の話ではないが、実際、過去にAppleは2023年初頭にAI部門責任者がCEOに開発用AIチップの追加購入を求めた際、CFOが予算増額を半分以下に削減していた経緯がある。
Appleはオンデバイス処理とAppleシリコンを使用するPrivate Cloud Computeシステムを重視することで、インフラ投資の抑制を試みている。同社はAI計算コストと人材コストが低下するのを待っているとされ、ほとんどの消費者向けユースケースは最終的にデバイス上でローカル処理されるようになると見込んでいる。
報道によると、Federighi氏はAIを予測不能でコントロールが難しいものとみなし、設計レビュー時に明確に仕様を定義できる決定論的なソフトウェア動作を好むという。同氏は、AIを使ってiPhoneのホーム画面を動的に再編成する提案を却下した。そのような変更はユーザーを混乱させると主張したためだ。
ChatGPT体験後に方針転換
AI戦略を巡る緊張は以前から社内に存在していた。2019年頃、Vision Proヘッドセットの開発を主導していたMike Rockwell氏が、AI駆動のインターフェースを提案したという。同氏はFederighi氏のソフトウェアアプローチを保守的すぎると批判し、反発を招いた。Rockwell氏はその後2025年初頭にSiri担当に任命され、現在はFederighi氏に直属で報告している。
初期の懐疑的姿勢にもかかわらず、Federighi氏の立場は2022年末のChatGPTリリース後に変化した。同氏の近くにいる人物によると、このテクノロジーを試した後、大規模言語モデルの可能性を確信し、同様の機能をApple製品に統合する方法を探るようチームに指示したという。Tim Cook CEOも当時、ChatGPTについて「非常に興味深い」としながらも、慎重な姿勢を示していた。
Federighi氏は、Appleの社内モデルがデバイス上で十分に機能しないと結論付けたが、基盤モデルチーム側は、モデルの最適化がソフトウェア組織の責任範囲に含まれる課題であり、自分たちが責められるのは不当だと感じていた。一部のチームメンバーは、自分たちのモデルが最終的にどのように使われるか十分な指針を与えられておらず、外部の代替案と競争する能力が制限されていたと不満を漏らしている。
AppleがSiriの監督をJohn Giannandrea氏から外してRockwell氏に任せ、Federighi氏が全体的な取り組みを指揮するようになった頃、同氏はサードパーティモデルの深い統合を評価するようチームに指示した。AppleはChatGPTに対抗する「AKI」(Answers, Knowledge, Information)チームを立ち上げ、Siriにウェブ検索機能を統合する取り組みを進めているが、同チームの責任者が昇格直後にMetaへ転職するなど、人材流出も課題となっている。
こうした状況を受け、クックCEOは昨年8月、本社で異例の全社会議を開催し、「AppleはAIを掴まなければならない」と従業員に向けて強いメッセージを発信している。しかし、Appleは今年1月以降だけで約12名のAI研究者をMeta、OpenAIなどに引き抜かれており、AI人材獲得競争で苦戦を強いられている状況だ。
自社開発も継続、依存度低減を目指す
Googleとのパートナーシップにもかかわらず、Appleは独自のAIモデル開発を継続する計画だ。特にデバイス上で動作するよう設計されたモデルに注力する。外部パートナーから派生したモデルを縮小・適応させ、Appleハードウェア上でより完全に動作させることで、長期的な依存度を減らす狙いだという。
この目標を支援するため、Appleはモデル圧縮と最適化を専門とする小規模AI企業の買収を検討していると報じられている。
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