App Store、テンプレートを使用して制作されたアプリを排除へ
Appleは「WWDC 2017」の終了後、「App Store Review Guidelines」を更新し、テンプレートを使用して制作されたアプリをApp Storeから除外する方針を明らかにした。
4.2.6 Apps created from a commercialized template or app generation service will be rejected.
当時は “App Storeの清掃作業” の一環として、クオリティの低い、スパムと認定されるアプリを除外するための施策として実施されていたと見られていたが、状況が変わりつつあることが判明。影響範囲が拡大し、多数の企業がApp Store Review Teamから2018年1月1日を締め切りとして新しいアプリの再提出を求める警告を受けていると報じられている。
中小企業に大打撃!ローカルビジネスを潰しかねない
飲食店や地元に特化したローカルビジネスなどは、自身でアプリを開発するノウハウや人材がないことからテンプレートを使用し、必要なパーツを揃えて申請できるサービスを利用していることも多い。今回の方針変更はそのようなサービスも対象になり、実際にサービスを利用しているビジネスも、テンプレートサービスを提供している企業も大ダメージを受けることになる。
これはウェブ業界で言えば、WordPressの既存テンプレートやWIXやJIMDOなどを利用したウェブサイトはネットに公開できないのと同等。アプリの品質よりも制作過程が重視されるという謎の状態が起き、大部分がWebViewで書かれている大手アプリよりもネイティブで書かれているテンプレートアプリがリジェクトされる、という状況になっている。
TechCrunchには実例が添えられているが、テンプレートで作られたアプリは大手のアプリと見ても遜色なく、ユーザー体験の面から考えてもネイティブで作られているテンプレートアプリの方が優秀と言えるが、ユーザー体験を重要視すると謳っているAppleは真逆の方針を取っている。
飲食店向けにテンプレート利用したアプリ制作会社ChowNowのCEOは「そもそも飲食店のアプリの目的は、料理を注文すること。差別化するための要因は限られている」と指摘する。その通りすぎる。
なお、パートナーシップ提携をしているIBMだが、同社の提供するテンプレートアプリは今回の影響を受けていない。謎。
アメリカでは「ネットの中立性」が撤廃されることで大きな話題となっているが、Appleのこの方針も様々な観点からネットの中立性に欠けると言える。この方針で強行突破するのか、一部方針を改めるのか、要注目だ。
【追記】Appleはこの件について、規制の緩和を発表。詳細は下記からどうぞ。