サイドローディングや代替アプリストアの隠れたリスク:なぜAppleが警告するのか
「選択肢が増えて良いこと」に見える機能が実はユーザーに深刻なセキュリティリスクをもたらす可能性
サイドローディングや代替アプリストア、代替決済システムは、一見すると「選択肢が増えて良いこと」のように思える。しかし、Appleが公正取引委員会に提出した26ページにわたる意見書を読むと、これらの機能には僕らユーザーにとって深刻なリスクが潜んでいることが分かってくる。
マルウェアと悪意あるアプリの増加リスク
現在のApp Storeでは、厳格な審査プロセスが実施されている。Appleの実績を見ると、2024年だけで安全上のリスクが懸念される116,105件のアプリを世界中で却下し、App Storeから38,315件の不正アプリと、425件の知的財産権を侵害するアプリを削除している。
代替アプリストアでは、このような厳格な審査が期待できない。実際に、既存の非公式iOSアプリストアでは約5%のアプリにマルウェアが発見されているという調査結果もある。
個人情報漏洩の深刻なリスク
特に深刻なのは、OS機能への無制限アクセスによる個人情報漏洩のリスクだ。Appleは意見書で以下のような具体的な危険性を警告している。
「サードパーティがユーザーのすべてのメッセージやEメールを閲覧し、ユーザーのすべての通話履歴を確認し、ユーザーが使用するすべてのアプリを追跡し、ユーザーのすべての写真を閲覧し、ファイルやカレンダーのイベントを確認し、ユーザーのすべてのパスワードを記録すること等を可能にするおそれがあります」
想像してみてほしい。あなたの個人情報が、Appleと同じレベルのプライバシー保護をしない企業に筒抜けになる可能性があるのだ。
青少年保護機能の弱体化
現在、App Reviewでは「ギャンブルやポルノのアプリ、そして暴力を助長するコンテンツなど、日本のユーザーの皆様を有害なコンテンツから保護しています」が、代替アプリストアではこの保護機能が損なわれる可能性がある。
現在のiPhoneでは、どのブラウザアプリを使ってもWebKitエンジンで統一されているため、フィルタリング機能が確実に動作する。しかし、代替ブラウザエンジンが許可されると、これらの保護機能が機能しなくなる恐れがある。
決済システムの安全性への懸念
Apple Pay内課金(IAP)は「実店舗のレジのようなもの」として、安全で透明性の高い決済を提供している。しかし、代替決済システムでは以下のリスクが生じる可能性がある。
- サブスクリプショントラップ:意図しない継続課金への誘導
- 誤解を招く支払い要求:不明瞭な料金体系
- ダークパターン:解約を困難にする仕組み
現在、iPhoneユーザーはワンタップでのキャンセルや払い戻し、一元化されたサブスクリプション管理、Appleによる不正取引の監視といった保護を受けている。代替決済システムでは、これらの保護が受けられなくなり、「ユーザーの皆様には、アプリごとに、どのようなメリットや保護が受けられるか、また取引に問題が生じたときに誰に問い合わせればよいかを判断するという負担が生じます」とAppleは指摘している。
欧州で既に現実化している問題
欧州のデジタル市場法(DMA)により、EU域内では既に以下の問題が発生している。
- Apple Intelligenceなどの最新AI機能が利用不可
- iPhoneミラーリング機能の制限
- SharePlay画面共有機能の制限
- 開発・リリースの遅延
Appleは「日本におけるAppleの新しくエキサイティングな製品や機能のリリース日を、法律への準拠を確保するために延期する必要が生じるおそれがあります」と警告している。
実際のユーザー体験への影響
代替システムの導入により、購入履歴の分散化、サブスクリプション管理の複雑化、セキュリティ設定の不統一、サポート体制の不明確化といった問題が生じる可能性がある。
特に高齢者や技術に詳しくないユーザーへの影響は深刻だ。Appleは「高齢者を含めiPhoneユーザーのリテラシーレベルが様々であることを考えると、これらをアンインストールすることはむしろユーザーの皆様の不安や不満の引き金になることが想定されます」と指摘している。
競争促進と利用者保護のバランス
競争促進自体は確かに重要であり、より良いサービスが提供されるのであれば選択肢があった方が良いだろう。しかし、現在議論されている「競争促進」には以下のような問題がある。
実際にはユーザーが求めていない点だ。Appleの調査によると、iPhoneユーザーの大多数はサイドローディングを求めていない。また、この法律を推進しているのは主にアプリ開発事業者や競合企業であり、一般ユーザーではない。
さらに、安全性とのトレードオフが大きすぎる。選択肢の拡大と引き換えに、セキュリティ、プライバシー、青少年保護が犠牲になる可能性がある。加えて、規制対応により、日本のユーザーが世界最先端の技術から取り残される恐れもある。
「競争促進」という建前でユーザーが結果的に不利益を被るのは本末転倒だ。真の競争促進とは、ユーザーの安全性と利便性を向上させながら、より良いサービスを提供することであるべきだろう。
現在のスマホ新法は、その本来の目的から逸脱し、一部の企業の利益のためにユーザーがリスクを負わされる構造になっていると言わざるを得ない。僕らユーザーが求めるのは、安全で使いやすく、最新技術を享受できる環境なのだから。
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いつも思うのだが、キーとなる技術開発は、複数の企業が競争して開発費の分散が行われ、セキュリティリスクが増えるぐらいなら、政府が認定した技術を全事業者に使わせ、その技術の上で利用方法やUIを競わせればいいと思う。技術が陳腐化しないよう、現行認定技術に関する改善コンペでは常時行い、その機能が認定されれば政府の予算で開発させ、提案者も含め、全事業者から利用料を集めればいい。みんなで提案して、みんなで払い、みんなで利用する。開発者は少数の方がコスパも安全性も良いと思う。
アップルの機能は基本機能を他が開発するのではなく、利用を促進する。個人データは利用に制限があるべきだし、毎回ユーザーに許可を求めるべき。住所録の全データなどは、アプリが要求している件数を表示したうえでユーザーに許可を求めれば、むしろ今より堅牢。iPhoneなのだから、データの管理はappleで良いよね。法律で全公開なんてする必要がないと思う。今みたいに、インストール時に1回の許可だけで無制限アクセスできるなんて信じられない。
私がハッカーなら、代替アプリストアのインストール方法を懇切丁寧にお伝えしますね…
>代替システムの導入により、購入履歴の分散化、サブスクリプション管理の複雑化、セキュリティ設定の不統一、サポート体制の不明確化といった問題が生じる可能性がある。
>特に高齢者や技術に詳しくないユーザーへの影響は深刻だ。Appleは「高齢者を含めiPhoneユーザーのリテラシーレベルが様々であることを考えると、これらをアンインストールすることはむしろユーザーの皆様の不安や不満の引き金になることが想定されます」と指摘している。
でも欧州での代替システムの導入方法同様であれば、代替アプリストアのアプリをダウンロードしない限りは、今まで通りのはずでは?そこまで高齢者や技術に詳しくないユーザーに深刻な変化はないように思うのですが。
離れて暮らしている母親にiPhoneを使わせているのもマルウェアと意味不明なサブスクリプションを購読するのを防ぐため。それでもインスタグラムの広告をクリックして、高額なエクササイズアプリを買いかけたので
>特に高齢者や技術に詳しくないユーザーへの影響は深刻だ。
これは本当にそうなんです。