Canon RF45mm F1.2 STM、先行レビューは「価格破壊」と大絶賛
66,000円でF1.2の大口径を実現、346gの軽量設計で「最も手頃な価格のF1.2レンズ」
キヤノンが2025年11月下旬に発売予定のRF45mm F1.2 STMは、開放F値1.2という大口径ながら66,000円という衝撃的な価格設定で注目を集めている。プラスチックモールド非球面レンズの効果的な配置により、RF/EFレンズシリーズのF1.2開放レンズの中で最軽量となる346gを実現した。
海外の主要カメラメディアが先行レビューを公開しており、その評価をまとめた。
この価格でF1.2は革命的
CameralabsのGordon Laingは、「F1.2の大口径を手頃な価格で実現した点が画期的」と評価している。Wilkinson CamerasとPark Camerasも、この価格帯でF1.2を実現したことに驚きを示しており、特にWilkinson Camerasは「エントリー層でも大口径レンズの世界に入れる」と強調している。
B&H Photo Videoは、RF50mm F1.8 STM(約30,000円)とRF50mm F1.2L USM(約30万円)の中間に位置しながら、価格は前者に近い点が革命的だと指摘。プロフェッショナルのサブ機としても、初心者のファーストプライムレンズとしても最適だとしている。
予想以上に高い画質
複数のレビュアーが「この価格帯としては驚くほどシャープ」と高く評価している。Wilkinson Camerasは、クラシックなEF50mm F1.2Lと比較して「シャープネスが驚くほど近い」と述べ、85mm F1.4 VCMには及ばないものの、価格が3分の1以下であることを考えれば十分だと結論づけた。
Park Camerasも「F1.2開放でもタックシャープ」と評価。ボケの描写については「少しスワールがあってキャラクターがある」点を好意的に捉えており、単にクリーンなだけでなく、レンズの個性が感じられる描写だという。
注意するべき弱点も
一方で、いくつかの弱点も指摘されている。最も多く言及されたのが色収差だ。
CameralabsのGordon Laingは、プリプロダクションサンプルでの検証という前提で、開放時に色フリンジが目立つと指摘。特に高コントラストの部分で紫やグリーンのフリンジが見られ、F2.8以降に絞れば改善するが、RAW現像時にDe-fringe処理が必要になる場合があるという。Wilkinson Camerasも「微妙だが存在する」と認めており、「探せば見つかる程度だが、完全にないわけではない」としている。
コーナーの画質については、F1.2開放時にコマ収差や非点収差によるアーティファクトが見られ、これを完全に消すにはF8まで絞る必要があるとCameralabsは指摘した。ただしプロファイル補正が効くため、実用上の問題は少ないという。
AF性能は実用十分だが最速ではない
AF性能については、賛否が分かれた。Wilkinson CamerasとB&H Photo Videoは「スムーズで静かで正確」と高評価し、特にWilkinson CamerasはR6 Mark IIIでのバースト撮影や動画撮影で「すべてのコマがシャープで、フォーカスの移行が滑らか」と述べている。
一方、CameralabsのGordon Laingは「かなりゆっくりとしたAF速度」と評価し、STMモーターの限界を指摘。フォーカスブリージングも目立つとしているが、対応ボディでは補正機能が使えるため動画撮影時の問題は軽減されるという。また、AF音については「ほとんど聞こえないが、内蔵マイクで静かな部屋で録音すると拾う可能性がある」としている。
B&H Photo Videoは「VCMやUSMのハイエンドレンズほど静かではないが、この価格なら十分許容できる」という現実的な評価を下している。
携帯性の高さは全員一致で絶賛
346gという軽量設計は、すべてのレビュアーが絶賛している。B&H Photo Videoは「手首で違いが分かる」と表現し、旅行や街歩きに最適だとした。
Wilkinson Camerasも「R8やRPのような小型ボディと組み合わせると完璧なバランス」と評価。Park Camerasは「F1.2としては信じられない小ささ」と驚きを示し、R6 Mark IIIとの組み合わせでも「理想的なサイズ感」だとしている。プラスチックモールド非球面レンズの採用により、RF/EFレンズシリーズのF1.2開放レンズの中で最軽量を実現している。
45mmという焦点距離の意味
50mmではなく45mmを選んだ理由について、Wilkinson Camerasは「サイズ、重量、価格のバランスを取るため」とキヤノンの説明を紹介した。50mm F1.2だとレンズが大きく重く高価になるため、45mmに抑えることで500ポンド以下の価格を実現したという。
複数のレビュアーが「人間の視野に近い自然な画角」と評価しており、Park CamerasとB&H Photo Videoは「50mmよりわずかに広い画角の方が好み」としている。ポートレート、ストリート、風景、ドキュメンタリーなど幅広い用途に対応できる汎用性の高さが魅力だ。
装備と仕様
レンズの操作系はシンプルで、フォーカスリング、コントロールリング、AF/MFスイッチを搭載。Park Camerasは「これ以上複雑にする必要はない。操作しやすく、完璧なサイズ」と評価している。
67mmフィルター径を採用しており、キヤノンのVCMプライムレンズと共通なのでフィルターを使い回せる。最短撮影距離は45cmで、マクロレンズほど寄れないが、クリエイティブな構図には十分な距離だという。
弱点として、非Lレンズのため防塵防滴非対応で、レンズフードも別売り(EF73B)となっている。ただし前玉のデザインが少しフードのような役割を果たしているとWilkinson Camerasは指摘している。
どんな人におすすめか
B&H Photo VideoとWilkinson Camerasは具体的な使用シーンを提示している。RF50mm F1.8を持っていて、より滑らかなボケと低照度性能、画質の向上を求める人には「絶対に検討する価値がある」としている。
EF50mm F1.2Lをアダプター経由で使っている人には、より軽量でAFが速い現代的な選択肢になるという。EOS R8やRPのような小型ボディのユーザー、ウェディングのセカンドシューター、旅行写真家、フードコンテンツクリエイター、ハイブリッドシューター(写真と動画の両方)に最適だとしている。
CameralabsのGordon Laingは「ボケ好きにとっては、キヤノンがこれまで提供してきた中で最も手頃な価格のF1.2レンズ」と評価した。
総評
すべてのレビュアーが「この価格でF1.2を実現したことは革命的」という点で一致している。光学性能はLレンズには及ばないものの、価格を考えれば驚異的なコストパフォーマンスだという評価だ。
CameralabsのGordon Laingは「キヤノンのRFカタログで最も売れるレンズの1つになる可能性がある」と予測し、「写真を始めたときには夢のようだったエキゾチックなレンズが、今は手の届く価格になった」と感慨深げに締めくくっている。
色収差や開放時のコーナー画質、AF速度などの妥協点はあるものの、66,000円という価格で大口径F1.2の世界に入れることは画期的だ。完璧なレンズを求める人には向かないが、F1.2のボケ表現を手軽に楽しみたい人にとっては最高の選択肢となりそうだ。
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