単焦点レンズ3本で熊本旅行したら「レンズ交換地獄」に陥った話
RF20mm・35mm・135mmという攻めた構成で挑んだ結果、意外と良い写真が撮れていた
先日、高校時代の友達と熊本へ旅行に行ってきた。全員の共通の趣味がカメラということで、せっかくだから写真を撮ろうと向かったのだが、みんなは1泊する予定だったのに対し、僕は家族の都合で日帰りになってしまった。それでもすごく楽しい時間を過ごすことができた。
単焦点レンズ3本だけで挑んだ暴挙
今回の旅行では、ボディはEOS R5 Mark IIのみ。持っていくレンズを色々と考えた結果、RF35mm F1.4 L VCM、RF20mm F1.4 L VCM、RF135mm F1.8 L IS USMという単焦点レンズ3本だけを持っていくことにした。はっきり言ってこれは暴挙だと思う。
ズームレンズは一切なし。毎回各所でゆっくり立ち止まって撮影するわけでもなく、それなりに時間は取れるものの、基本的には観光地を巡るスタイルなので、単焦点レンズだけでは取れ高に不安があるなと頭の片隅では思っていた。それでもやはりここは単焦点レンズで勝負に出るという、そういう楽しみ方もいいかなと思い、今回は単焦点レンズだけを持っていった。
レンズ交換地獄で爆死した
結果から言うと爆死だったと思う。何が爆死だったかというと、レンズ交換の頻繁さだ。
「ここは……20mmで撮るか……(レンズ交換ガチャン)」→「あれ、でも35mmのほうがいいな?(レンズ交換ガチャン)」→「いややっぱり望遠で切り取りたいな……(ガチャン)……だぁぁぁ近すぎる!違う!」というようなやり取りを撮影するたびに頻繁に行っていた。観光地を巡るスタイルだったので、ゆっくりレンズ交換している余裕もそれほどなく、シャッターチャンスを逃すこともしばしば。やはりこれはもうちょっと焦点距離の長いレンズが欲しい、いやこれはちょっと近すぎる、という微妙な隙間を埋めたくなるような撮影シーンが多かった。
それでもやはり35mm、20mm、135mmという3つの焦点距離はとても気に入っている。割と多くの人は50mm周辺を好む傾向にあるような印象があるが、僕はどうしても50mmとは相性がイマイチで、さらにRFの50mm F1.2のレンズは重くオートフォーカスが遅く、何か撮りたいと思ったものが撮れなかったという印象があまりにも強いので売り払ってしまっている。
35mmは僕の相棒レンズ
その代わり僕は35mmがとっても気に入っている。35mmのF1.4が出てからはすぐに飛びついて以来、あらゆるところで愛用している。
実は、取材先でも手持ちで何か持ちながら撮影しないといけない時は、この35mm F1.4が大活躍している。近すぎず、遠すぎず、被写体をしっかりと浮き立たせながら周辺も撮ることができるという撮り方がとても気に入っている。
しかし今回の旅行では意識的に20mmを使っていたからなのか、ほとんど活躍しなかった。現像した写真の中でも1枚だけ……!あれれ。レンズに申し訳ない。
20mmは予想以上に使える広角
20mm F1.4は最近仲間入りした新しいレンズだ。35mmと結構近いということや、それほど広角ではないというところで、なんとなく範囲が被ってしまうのではないかという心配も僕の中ではちょっとあった。
しかしやはり35mmだと若干狭い、でも16mmまで広くなくてもいい、ずっと付けっぱなしでもそれなりに広角寄りの広さを撮れるというような、そんな写真を撮りたいときに20mmというのはやはりすごく活躍する。
また子供を撮影するときにすごく近くに寄って表情や煽るような撮影など、そういった角度で撮影したいときに35mmだとやはりとてもタイトなのだが、20mmだと意外と良い感じに撮れて程良い感じでパースもあって、個人的にはものすごく好きだ。先日サークルの同窓会があった際に、唐突に集合写真を撮ることになったのだけど、たまたまこの日は20mmのレンズだけを付けて行っていたので、無事集合写真を撮ることができた。これは思わぬ誤算だったし、結果オーライだったのだが、これが35mmだったらおそらく収まらなかっただろうと思われる。
135mmの不思議な魅力
特に僕は何かと寄って撮りたいという思いが強く、35mmや20mmなどの広角寄りの単焦点を買う前に1番気に入っていた単焦点は、実は今回持っていっている135mmだった。135mmはなんだか不思議な焦点距離だと思っている。
背景ボケもあり背景圧縮効果もあり、だけど何かふわっとした雰囲気だとか独特のボケ感だとか、何か135mmで撮るといい写真が撮れたなと思うことが多い。使用頻度はそれほど高くないのだが、いまだに手放すことができず手放したいとも思えず、使用頻度が低くても残しておこうと思っているそんなレンズだ。
だからこそこの旅行では135mmを使っていろいろ撮ってみたいなと思い、確かに撮れるシーンや活躍したシーンもあったのだが、やはり135mmというのは非常に癖のある限定的な、非常に難しい画角だなと改めて思った。旅行に持っていくレンズとしては、まぁちょっと攻めすぎかなというような気がした。やっぱり70-200がほしかったな、何なら100-500で切り取った撮影をするべきだった。
爆死したと思ったけど、意外と良い写真が撮れていた
そんなわけで、撮影中は「やっぱり爆死だわ」と思っていたのだが、いざ家に帰って写真を現像してみると、結構好みの写真がそこそこあった。機内から撮影した富士山の写真はとても迫力があって、なんだか縁起が良さそうだし、たまたま上空に行った直後に見れた上空から見る虹という、すごくラッキーなタイミングも撮影することができた。爆死したと言っておきながら、この写真は現在自分のMacBook Proの壁紙なんかにしてしまっている。結構気に入ってしまっている自分がいる。まぁそれもよし。
車の中から移動中にパッと撮影した写真も、友達に三脚を貸していたからといって手持ちで夜景撮影した写真も、意外と思っていたよりよくできている。ちょっとフィルムっぽい感じの雰囲気のある現像をしてみたのだけれど、これはこれで結構ありかもしれない。なんか自分にとってはこういうノスタルジックみたいな雰囲気の写真はあんまり合わないなぁ、そんなに好みじゃないなぁと思っていた時代があったのだけれども、歳をとったせいなのか、こういう雰囲気の写真も意外と好きになってきたのかもしれない。
失敗を生かす写真の楽しみ方
先日、写真家の市川渚さんと登壇した渋谷テックフェスティバルのカメラトークイベントの中で、僕が以前撮影した写真の設定が文字通り爆死して思ったような写真が撮れなかったという話をしたときに、渚さんが「それならそれでその状態を生かした作品に仕上げると思う」という話をしてもらったことが印象的だった。今回もいい感じに手ブレしてしまった写真はそのまま採用したり、いい感じにピンボケの写真はそれっぽく現像したり、今までになかった写真の楽しみ方ができているような感じがして個人的にとても楽しい。
やっぱり写真は良い趣味だなぁと改めて思った。仕事として請け負うことの多い写真だけれども、趣味としての写真も自分の好みとしての写真も今後も追求していきたいなぁと思った。
共通の趣味があるって最高だ
それでもこのレンズ構成を持っていったことによって、色々と焦点距離を考えたり使うレンズを考えたり、普段だったらなかなかできないようなカメラ体験ができたので、さすがに攻めすぎだとは思うものの、良い経験になったなとは思う。
何せ一緒に行ったのが全員カメラ好きのメンバーということで、久しぶりに高校の友達との時間を過ごすことができたことももちろんだが、やはり共通の趣味があることで、こうして卒業してから何年も経っても同じ場所で旅行してゲラゲラ笑いながら「ああでもない、こうでもない」「どうやって撮った?」「どうやって撮るといいと思う?」「フィルター貸してよ」「三脚貸してよ」などといった会話をしながら時間を過ごすという、その体験こそが最高だったと思う。
現地ではあれこれカオスだったが、結果的に色々とチャレンジすることもできて何よりも楽しかったので、まぁ結果オーケー。ただ次回は24-105mmとか標準域のレンズを1本ぐらい、やっぱり入れといたほうがいいかな?
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