「iOS 13/iPadOS 13」のマウス対応はアクセシビリティ機能である、ということの意味
身体的な不自由が理由でタッチ操作できないユーザーが、マウス操作によって同等の操作法を実現する機能
iPadOS 13がアクセシビリティ機能としてマウスをサポートすることが分かっているが、これをそのままストレートに「iPadがマウスで操作できるようになった」と捉えている人があまりにも多い。
もちろん利用できることは事実。iPadOS 13が動作するiPadだけではなくiOS 13が動作するiPhoneでも利用できるが、「アクセシビリティ機能として」サポートしていることについて十分な理解がされていないように見受けられる。この機能を利用するためにiPadを買い換える、と意気込んでいる人もいるようで、声を大にして「ちょっと待った、落ち着いてくれ」と言いたい。
「iOS 13/iPadOS 13」のマウス対応について、テックレポーターであり自身も身体に不自由を持つことを公表しているSteve Aquino氏がAppleからこの機能に関する説明を受けていたので、その内容を紹介する。
マウスがなければiPadやiPhoneが操作できない人向けの機能であり、「iPadのMac化」ではない
そもそもアクセシビリティとは、何かしらの理由で視覚や聴覚、身体機能などにハンディキャップを持つ人でもデバイスを利用可能にするための機能。Appleはアクセシビリティの公式ページにて「すべてのApple製品が誰にでも最初から使いやすくなるように取り組んでいます」と説明している。
Appleは今回のマウス対応について、「あくまでもアクセシビリティ機能」であることを強調。
So, on mouse support… Apple made clear to me it is an ACCESSIBILITY FEATURE first and foremost. Meant for users who literally cannot access their devices without a mouse, joystick, whatnot. As @stroughtonsmith found, it’s in AssistiveTouch menu.
Thread…
— Steven Aquino (@steven_aquino) June 4, 2019
Appleとしてはアクセシビリティ機能に注目が集まっていることは歓迎しているが、この機能は特定のユーザーを想定して開発およびデザインされたものであること改めて強調していたとのこと。
なお、iPadOS 13およびiOS 13で利用でき、対応するデバイスの一覧は現時点ではないが、USB接続およびBluetooth接続の製品で利用できるように設計されているとのこと。
Appleは「デスクトップでお馴染みのカーソルのようなメインとなる操作手段ではない」とコメント。なぜこのような機能を提供したのかという質問に対し、マウスサポートが無ければデバイスが利用できない特定のユーザーがいる、と説明。マウス対応は、数年前から開発に着手していたそうだ。
実際にiOS 13およびiPadOS 13のベータ版をインストールしたユーザーがマウスで操作している動画が投稿されていたので、載せておく。指先を模倣したような円形のタッチカーソルが出現し、それを指のように使って操作できることが確認できる。
iOS 13 mouse support demo pic.twitter.com/kaLqooweLm
— Sam (@iup_date) June 4, 2019
Et l'iPhone aussi ! https://t.co/4CDCT2bZ1Q pic.twitter.com/vug6QxsQIr
— MacGeneration (@MacGeneration) June 4, 2019
Steve Aquino氏の取材内容からも分かるように、「iOS 13/iPadOS 13」のマウス対応は指先によるタッチ操作が身体的な不自由によってできないユーザーがマウスを接続することによって実現する、という機能である。
逆に言えば、「iPadのMac化」を期待している人は一旦落ち着いた方が良い。iOSから一見独立したように見えるiPad専用のiPadOSが登場したことも合間って「iPad専用OSになってマウスが使えるようになった」と飛躍した認識をしてしまっているかもしれない。
残念ながらそれは間違っている。今回のマウス対応はそのような目的を持つ機能ではないのだ。そして、今後もそのような目的とした機能になることは無いだろう。
現状、「iPadのマウス対応」という言葉だけが独り歩きしているような印象を受ける。AppleはすでにiOSとMacの融合をしないと明確に明言していることも思い出しつつ、アクセシビリティ機能として提供されていることがもう少し認知されること願いたい。
iPadの5世代はマウスに対応していますか❔
アクセシビリティ機能というのは、いわば”一般向け”の機能ではないので、アレが使えない、これが使えない、もっとこうするべきだ、という声を見かけますが、そもそも我々のような人に向けられた機能ではないということは重要です。もともと手先が不自由な人のために用意されている機能なので。何が目的としてある機能であるかを周知するために書きました。
目的・動機が何であれ結果としてマウスがマウスとして使えるのは事実である。
何を言わんとしているのか不明だ。
つまりどういうこと?