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38GB積んだM3 Maxなのに「足りない」。“4倍高騰”の波を見て、M4 Max 128GBを本気で検討し始めた話

2028年まで続く供給逼迫、Appleの長期契約も2026年1月満了。Camera RAWのクラッシュに耐えられず、95万円の決断へ

14inch M5 MacBook Pro Review GoriMe 33

実は僕は今、真剣にMacBook Proの買い換えを悩んでいる。14コアCPU・30コアGPUを持つM3 Maxチップを搭載した38GBメモリ・4TBストレージという、一般的に見てもスペックはかなり盛っているほうの機種を持っているにもかかわらずだ。

なぜか。メモリ高騰の波が押し寄せているからだ。

「メモリ高騰なんて、買い換えなきゃどうでも良くない?」と思うかもしれない。僕もそう思っていた。しかし、作業によってはメモリ不足の表示が出たり、Camera RAWがクラッシュしたり、「肝心な時に動かない」という、MacBook Proのスペックを持っている意味とは!?と思わざるを得ないような状況になっている。具体的には、Adobe PhotoshopのCamera RAWでEOS R5 Mark IIの45MP写真を100枚近く一気に書き出そうとしたとき、裏で複数タブのブラウザやブログエディタなど、様々なアプリを開いていると、最悪の場合Photoshopが固まってしまい、強制終了するハメになり、編集内容がすべて消える。これが物凄くストレスだ。

14inch M5 MacBook Pro Review GoriMe 14

普段の作業はパワー不足を感じない。しかし最もマシーンとして頑張ってほしいとき、頑張らないといけないときに頑張れないのであれば、それは問題だ。

正直なところ、M6 ProやM6 Maxまで待つ気満々だった。2026年に登場する新モデルは“史上最大の進化”として有機EL&薄型デザインを採用するとされており、M3 Maxからの買い換えは3世代先のM6 Maxになる予定だった。

しかし、メモリ高騰の波が足元まで来ている。いやもう波なんていうレベルじゃない。津波だ。大災害レベルだ。Crucialがコンシューマー向けから撤退するぐらいなのだから、相当だ。

この状況を踏まえると、そこまで待つのは危ない。M5 MacBook Proの性能を知ったからには、M5 Maxも十分期待できる。しかし価格はとんでもないことになる恐れがある。量販店などで扱う吊るしモデルは価格据え置きだとしても、メモリやストレージをカスタマイズしたモデルの価格は一気に引き上げられる恐れがある。

メモリ価格は約4倍に高騰、価格操作の疑念も

PC Watchによると、メモリ価格は2025年9月から12月にかけて劇的に上昇しており、DDR5メモリ(32GB×2枚)は11月から12月で約2.8倍も値上がりした。DDR4メモリも1.5倍以上の価格となり、市場全体では9月時点から2〜4倍に跳ね上がったケースも報告されている。

XDA Developersのアダム・コンウェイ氏によると、2025年初頭に110ドル(約1万7000円)だった32GB Corsair RAMキットが、記事執筆時点では442ドル(約6万9000円)と約4倍に跳ね上がった。この価格高騰について、メーカー各社はAI需要の増加を理由に挙げているが、コンウェイ氏は「メモリ業界には過去に価格を違法に操作したカルテルの歴史がある」と指摘し、現在も価格操作が行われている可能性を示唆している。

実際、OpenAIのStargateインフラプロジェクトはSamsungとSK Hynixと大規模な契約を結び、月間最大90万枚のDRAMウエハー(世界のDRAM生産の約40%に相当)を供給する契約を締結した。AI向けのHBM(High Bandwidth Memory)は、従来のDRAMよりも大幅に高い価格と利益率を実現しており、メーカーにとって極めて魅力的なビジネスとなっている。

そして極めつけは、Micronによる「Crucial(Crucial)」ブランドのコンシューマー向け製品事業からの撤退だ。データセンター向け製品に注力するための経営判断で、販売自体は2026年2月まで継続するというが、29年続いた定番ブランドが一般向け市場から姿を消す。自作PC界隈では「とりあえずCrucial買っとけば」が通用しなくなる時代が来るのだ。

価格高騰は2028年まで続く見通し

業界専門家の予測は残念ながら明るくない。Wccftechによると、世界最大級のメモリメーカーであるSK Hynixの内部分析では、DRAM供給の逼迫は2028年まで続くと予想されている。供給能力の増強が需要の伸びに追いつかない状態が、少なくとも今後3年間は続く見込みだ。

アナリストの情報によると、DRAM契約価格は2025年第3四半期に前年同期比で171.8%上昇した。TrendForceの予測では、2026年前半にさらに10〜20%の上昇が見込まれており、価格が下がる兆しは全く見えない。

つまり「数カ月待てば安くなる」という展開は期待できないのだ。むしろ、待てば待つほど高くなる可能性が高い。

Appleも価格高騰の影響を受ける

これまで、Appleは大手メモリメーカー(Samsung、SK Hynix)との長期供給契約(LTA)により、短期的な価格変動から保護されてきた。しかしSamMobileIgor’s Labが報じたように、この契約が2025年末に期限切れを迎え、2026年1月からSamsungとSK Hynixの両社がAppleへのメモリ価格を引き上げるとの情報がある。

注目すべきは、Samsungのメモリ部門が同社のモバイル部門に対しても長期契約を廃止し、四半期ごとの契約に切り替えたという点だ。つまり、グループ内取引であっても市場価格を適用する方針を取っており、Appleに対しても特別扱いはしないということだ。

Appleは世界最大級のモバイルDRAM(特にLPDDR)購入者であり、iPhone、iPad、Macに使用している。単価ベースでの価格上昇でも、Appleの全体的なコスト構造に大きな影響を与える可能性がある。つまり、次期モデルは価格が上がる可能性が極めて高い、と考えても無理はない。

38GBメモリでも足りない:僕の作業環境とメモリ不足の実態

常駐アプリだけで18〜29GB消費

冒頭でも述べたが、現在僕はM3 Max 14コアCPU/30コアGPU、38GBメモリの14インチMacBook Proを使用している。ストレージは4TBで、これは大変快適だ。スペック的には申し分ないマシーンのはずだが、たまにメモリ不足に陥る

僕の典型的な作業環境を分析すると、以下のメモリ消費が発生している。

  • 常駐アプリケーション:Fantastical、Google Chrome(10タブ以上)、Safari(複数タブ、AI用)、Cometブラウザ、Spark、LINE、MarsEdit、CotEditor、JPEGmini Proなど、合計で約18〜29GB
  • Photoshop Camera RAW:45MP写真100枚の処理で約20〜35GB
  • Final Cut Pro:軽めの映像編集でも約10〜20GB

合計すると、ピーク時には48〜84GBのメモリが必要という計算になる。どうやら38GBでは不足しているのだ。

スワップが引き起こすパフォーマンス低下

Mac Garageの記事によると、macOSは物理メモリが不足すると、SSDを仮想メモリとして使用する「スワップ」を行うが、これがパフォーマンスの大きなボトルネックとなる。Camera RAWでの書き出し速度が数倍〜10倍以上遅くなり、最悪の場合はアプリのクラッシュに繋がる。

海外のプロフォトグラファーの実例報告によると、Canon R5の45MP RAW画像を扱う場合、64GBのRAMは必須だという。通常のワークフローでRAM使用量は常に55GB前後で推移するそうだ。32GBでは「軽い編集には十分だが、本格的なワークフローには不十分。スワップが発生して動作が遅くなる」とのこと。

64GBか128GBか、それが問題だ

僕の場合、今後写真を扱う仕事は増える一方だ。現在のワークフローを考慮すると、64GBで十分な可能性が高い。しかし将来的にさらに大量の写真(200枚以上)を一度に処理する可能性や、4K/8K動画編集も視野に入れると、128GBを選択する価値は十分にある

特にメモリ価格高騰を考慮すると、将来の拡張性を見越して128GBを選択することは、長期的に賢明な投資だろう。

M4 Max 16コアか14コアか

M4 Maxには、14コアCPU/32コアGPUモデルと16コアCPU/40コアGPUモデルがある。ベンチマークデータによると、CPU性能(マルチコア)で約29%の差、GPU性能で約25%の差がある。

しかし最も重要なのは、メモリ帯域幅の違いだ。14コアモデルは410GB/s、16コアモデルは546GB/sと、約33%も高速になる。Camera RAWでの大量書き出しや、大容量メモリを効率的に活用するためには、この帯域幅の差は無視できない。

写真の大量処理が中心で、今後仕事が増える見込みなら、16コア/40コアの投資価値は十分にあると判断した。

中古市場は活性化しないのか?

「メモリ価格が高騰すれば、中古Mac市場が活性化し、M3 Maxの価値が上がるのでは?」という疑問も浮かんだ。しかし調査の結果、その可能性は極めて低いという結論に至った。

新品PC価格が上昇しても、中古Mac市場においてM3 Maxの価値が上昇する可能性は極めて低い。理由は、2026年に予定されている新製品ラッシュだ。Appleは2026年に少なくとも15の新製品を投入する見通しで、特にM5 MacBook Pro(2026年3月までに発売予想)と低価格MacBook(2026年前半、約9〜14万円)の登場により、M3 Maxの相対的な魅力は急速に低下する。

Macの買取価格は「発売からの年数」が最も重要な要素だ。過去のデータでは、新型発表前が最も高値で、発表後1〜2カ月で数千円〜1万円以上下落する傾向がある。つまり、「待てば高く売れる」ことはなく、むしろ逆ということらしい。

結論:今買うべきか、待つべきか

14inch M5 MacBook Pro Review GoriMe 28

様々な角度から検討した結果、僕は「今すぐ128GBモデルに買い替える」という決断に至った。

買い替えを決断した理由

  • 現在のストレスが業務上の大きな損失:編集内容がすべて消えるストレスは、クリエイティブワークにおいて生産性と精神衛生の両面で大きな損失だ
  • メモリ価格高騰により、待っても安くならない:SK Hynixの予測では2028年まで供給逼迫が続き、むしろ値上がりする可能性が高い
  • Appleの長期契約が2026年1月に満了:次期モデルは価格が上がる可能性はそれなりに高い
  • M3 Maxの売却価値は今がピーク:2026年3月のM5発売後は価値が下がる。今売却すれば18.5〜23万円程度回収でき、実質的な買い替えコストを抑えられる
  • 今後の仕事増加を考慮:64GBでは数年後に再度同じ問題に直面する可能性がある。128GBなら長期的に安心

購入予定の構成と実質コスト

  • 構成
    • ディスプレイ:14インチ
    • チップ:16コアCPU・40コアGPU M4 Max
    • メモリ:128GB
    • ストレージ:4TB
  • 価格:約95万円

100万円近い出費は確かに大きい。正直、この記事を書いておきながらも購入を悩んでいる自分がいる。しかしこれは仕事道具への投資だ。クリエイティブワークにおいて、ストレスなく確実に作業できる環境は、それ自体が収益を生み出す資産である。

M5を待つという選択肢もある。しかしその3カ月間も現在のストレスは続き、M3 Maxの価値は下がり続ける。長く使えば使うほど「価格÷使っている日数」という意味での”コスパ”は上がる。

今決断することで、2026年以降も安心して仕事に集中できる環境を手に入れられる。それが、僕の最終的な判断だ。さぁ……買うか……。

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公開情報
更新日2025年12月21日
執筆者g.O.R.i
コメント(2件)

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  1. g.O.R.i(コメントID:707060)
    コメント先:通りすがりの読者(コメントID:707059)
    100万って高いですけど仕事で使えなら話は別ですね 仕事に車使ってる人が車買い替えたらそれぐらい普通にかかりますし

    そうそう、仕事道具として効率が上がったり、乗り換えコストが下がる(僕はMacの環境移行が本当に面倒で大嫌いで可能であれば数年買い換えたくないw)のであれば、まあ今後100万円→120万円になるなら全然アリだなぁっていう気持ちですw

  2. 通りすがりの読者(コメントID:707059)

    100万って高いですけど仕事で使えなら話は別ですね
    仕事に車使ってる人が車買い替えたらそれぐらい普通にかかりますし

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