九十九里で家族旅行中、津波注意報が鳴り響く。深夜に子連れ+犬で避難した話

海から徒歩10分の場所に滞在中に訪れた非常事態、4歳+2歳+犬を連れて車で避難するまでの一部始終

Kujuukuri Beach before the Eruption of Volcano 01

トンガの首都から65キロ離れた海底火山の大規模噴火で、関東地方沿岸に津波注意報が発令された。日本時間16日の0時すぎ、寝支度をしていたところ外で警報が鳴り響いた

僕は家族と九十九里浜にいた。4歳と2歳の娘、妻、そして11歳のミニチュアダックスフンドのフルメンバーで、2泊3日の旅行中だった。警報の内容が聞き取れず、「何が起きたんだろうね」と妻と話していたところ、寝ていた長女が起床し号泣しながら僕らを求めてきた。基本的に眠りが浅く寂しがり屋なので、危機感溢れる警報に驚いて起きてしまったのだろう。次女と犬は爆睡していた。

明日は旅行の最終日。朝から広い庭で犬と遊び倒し、海で貝殻を拾って砂遊びをして、チェックアウト後は近くの公園で遊び倒す計画だった。

数時間前まで僕は外でバーベキューをしていた。天気は晴れ予報。窓の外を見ても物騒な様子はない。何が起きているのかさっぱり分からなかった。

「Yahoo!天気」アプリを開いてみると、画面最上部に津波注意報の文字が表示されていた。今すぐに高いところへ逃げろと書いてあるのだ。状況が理解できず、Twitterでリアルタイム情報を検索すると、トンガで噴火が起きて、最大1メートルの津波が到達する可能性があることが分かった。

しかし僕は今まで海際に住んでいたこともなければ、津波警報を受けたこともない。発令しているアラートがどの程度の”温度感”なのか、さっぱり分からなかった。僕の目の前には大音量で恐怖で震えている4歳の長女と、遊び倒して疲れ果てた次女と犬が爆睡している。避難を決めるには、十分な理由が必要だった。

宿泊施設のフロントに電話したが、繋がらない。時刻はすでに0時40分を回っていた。僕と妻にも少しずつ焦りが出ていた

何でも知っている友人に相談してみた。関東は1月18日が満月で、全体的に潮位が上昇傾向。次の満潮は朝の5時06分でまだ上がり切っていないことを教えてもらった。荷物をまとめておき、いつでも避難できる状況を作ること、周りの状況を行動の指針にするな、とアドバイスを受けた。

さらに防災士の資格を持つ別の友人が登場。僕らが滞在していた宿泊施設は、海から徒歩10分の場所にありワンフロア。周囲にある高さのあるビルは、隣にあるホテルのみ。周囲の航空写真を見て「防風林しかなく堤防がなさそう」と判断し、早めに逃げたほうが良いと言われた。

近くのホテルに避難することも考えたが、我が家は小さい子どもと犬がいる。犬の受け入れは確認しなかったが、仮にこのまま避難せず無事だったとしても海の近くで遊ぶのは心配だ。気象庁も状況が把握できておらず、今後何が起きるか分からない。夜明けを待たずにチェックアウトして帰宅を決めた

この頃、ようやくフロントと電話で繋がり、チェックアウトする旨を伝えた。同じ宿泊施設で止まっていた他の客も、前倒しでチェックアウトしているそうだ。

僕と妻は急いで荷造りを進め、車に次々と積み込んだ。昨夜バーベキューで黙々と焼き続けた焼きリンゴとサーモンは持ち帰る方法がなく、泣く泣く処分した。長女はすっかり目が覚めてしまったので、事情をなるべくわかりやすく説明し車に乗り込んでもらった。次女はチャイルドシートに移しても寝てくれて助かった。

車での避難ルートは、防災士の友人の的確な指示に従い、内陸を徹底的に目指してから高速に乗った。1日中遊び倒していた疲労感と眠気、車内の異常なまでの乾燥と戦いながらの運転で、今までの運転で最もハードだった。止まる機会を見つけては目薬を点し、ガムを噛んで凌いだ。

高速に乗ってからは止まるタイミングが見つからず、パーキングエリアが出てきたときはオアシスに見えた。眠気覚ましに軽くダッシュし、コーヒーを買い、命をつないだ。大袈裟に聞こえると思うが、当時の僕は本気でそう思っていた。とにかくめちゃくちゃ眠かったのだ。

宿泊施設を出発したのは、1時半頃。帰宅したのは、4時前。助手席で話しかけ続けてくれた妻も、帰宅直前に寝落ち。長女は起きたり寝たりで相当疲れているに違いない。次女と犬は終始寝ていたが、睡眠の質は決して良くないだろう。

九十九里浜には、津波は来なかった。居続けても問題なかったかもしれないが、何が起きるか分からない状況で、妻、子ども、犬を連れて夜を過ごすほうが怖かった。長年の付き合いがあり、信頼できる防災士の友人の助言に従ったのは正解だった。友人は避難経路を案内後、「そろそろ寝るけど、何か不安なことがあったら電話で起こしていい」と言いつつも、帰宅するまで起きていた。久しぶりに人の優しさに泣いた。改めてお礼を言いたい。

18日の報道によると、東京ドーム62個分あったトンガの火山島は、陸地の大部分が消失したという。衝撃波が地球1周して再来し、日本各地で気圧に変化が見られるとの情報もある。

僕の家族は無事だったが、トンガは大変な状況だ。現地の方々が、1日も早く元の生活に戻れることを願う。

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更新日2022年01月21日
コメント(8件)

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  1. g.O.R.i(コメントID:620881)
    コメント先:通りすがりの読者(コメントID:620880)
    早めの決断 最悪を想定しての決断 素晴らしいですね!

    ありがとうございます!とは言え何もなかったから本当にラッキーでした。一刻を争う状況であれば、もうすでに手遅れだったかもしれません。

  2. 通りすがりの読者(コメントID:620880)

    早めの決断
    最悪を想定しての決断
    素晴らしいですね!

  3. g.O.R.i(コメントID:620853)
    コメント先:通りすがりの読者(コメントID:620852)
    良い記事ですね。行動と判断、良かったと思います。 自分は海に割と近いところに住んでいますが、今回は通常とは違う予想出来ない津波だったので結構不安でした。 旅行など宿泊する時は、あらかじめ避難するルートなどを想定しておくのが吉ですね。

    本当ですね、避難ルートとか避難場所とか、念のために把握しておくのが良いなと思いました。今回は友人のおかげで助かりましたが、友人も同じく避難しなければならない状況だったとすればアタフタしていたでしょうし……。

  4. 通りすがりの読者(コメントID:620852)

    良い記事ですね。行動と判断、良かったと思います。
    自分は海に割と近いところに住んでいますが、今回は通常とは違う予想出来ない津波だったので結構不安でした。

    旅行など宿泊する時は、あらかじめ避難するルートなどを想定しておくのが吉ですね。

  5. g.O.R.i(コメントID:620849)
    コメント先:たってぃん(コメントID:620847)
    お疲れさまでした。 あのBBQから、そんな展開になるとは想像できなかったですね😅 今まで他人事だったことが、すごくリアルに感じました。 楽しむことメインに置きつつ、できればいろいろな想定をしなければですね🤔

    本当ですよ、あのときリプライ飛ばしていたときは想像もできませんでした……w 海の近くは楽しいですが様々なリスクがあり、それらを常に警戒する必要は無いにせよ、あったときに迅速に対処できるように準備はしておきたいな、と思いました!

  6. g.O.R.i(コメントID:620848)
    コメント先:とんとぅ(コメントID:620846)
    ご苦労様でした。正しい判断であったと思います。

    ありがとうございます!

  7. たってぃん(コメントID:620847)

    お疲れさまでした。
    あのBBQから、そんな展開になるとは想像できなかったですね😅
    今まで他人事だったことが、すごくリアルに感じました。
    楽しむことメインに置きつつ、できればいろいろな想定をしなければですね🤔

  8. とんとぅ(コメントID:620846)

    ご苦労様でした。正しい判断であったと思います。

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