当メディアのリンクにはアフィリエイト広告が含まれています

Macで120FPS動作を実現した「サイバーパンク2077」、ゲーム内にCEOがガチ出演

Metal FXフレーム補間技術でUltra設定も安定動作、開発会社CEOがポーランド語で声優まで担当する驚きの裏話も

Talking to App Developers WWDC25 01

長年「Macはゲームができない」と言われ続けてきたが、その常識が完全に覆される瞬間を目撃することになった。AppleのMetal技術とApple Siliconの進化により、MacBook Pro M4 Maxで「サイバーパンク2077」が120FPSという驚異的なパフォーマンスを実現したのだ。

ゲームをプレイしない人にとって120FPSがどれほどすごいことなのか分からないかもしれないが、これは映画の24FPSの5倍の滑らかさを意味する。つまり、画面の動きが信じられないほど滑らかで、まるで現実を見ているかのような体験ができるということだ。

「サイバーパンク2077」とは何か

「サイバーパンク2077」は、未来の巨大都市「ナイトシティ」を舞台にしたゲームで、プレイヤーは傭兵として危険な世界を生き抜いていく。このゲームが特別なのは、その圧倒的な映像美と複雑さにある。

ゲーム内には50億ものオブジェクトが存在し、ホログラムやネオンサイン、複雑なディスプレイなど、通常のコンピューターでは処理が困難な要素が無数に散りばめられている。これまでハイエンドなゲーミングPCでも安定して動作させるのが困難とされてきた作品だ。

Macゲーミングの歴史的転換点

実は、Appleとゲームの関係は決して浅くない。1977年のApple IIは当時最高のゲーム体験を提供し、1990年代には「Myst」や「Marathon」といった名作がMacで生まれた。しかし、2000年代以降はWindowsの普及により、Macからゲームが姿を消していった。

転機となったのは、MetalAPIの導入とApple Siliconの登場である。特にMetal FXアップスケーリング技術の開発により、Macでの高品質なゲーミング体験が現実のものとなった。

WWDC 2025で起きた「奇跡」

WWDC 2025で披露されたデモンストレーションは、まさに歴史的瞬間だった。MacBook Pro M4 Max上で「サイバーパンク2077」が120 FPSで動作する様子が公開され、会場にいた人々を驚かせた。

これを可能にしているのが、Apple独自のMetal FXフレーム補間技術だ。この技術は、2つの入力フレームから中間フレームを生成することで、最小限の計算負荷でフレームレートを大幅に向上させる。さらに、Ultra設定でも安定した120FPSを実現している点が驚異的だ。

没入感を高める先進機能

Mac版では、フレーム生成技術に加えて内蔵の空間オーディオ機能も搭載される。これにより、音の方向や距離感がリアルに再現され、まるでゲーム世界にいるかのような体験ができる。

Liquid Retina XDRディスプレイを搭載したMacBook Proでは、色彩がより鮮やかに表現され、細部まで美しく描写される。Apple Siliconの統合メモリアーキテクチャにより、従来のGPUでは困難だった高度な処理が可能になっている。

ゲーム内の驚きの「隠し要素」

デモンストレーションでは、ゲーム制作の裏話も明かされた。なんと、CD Projekt RedのCEOであるMichał Nowakowski氏が実際にゲーム内にカメオ出演しているのだ。彼らの顔がスキャンされ、ポーランド語で声優まで務めているという徹底ぶりには驚かされる。

Talking to App Developers WWDC25 03

さらに興味深いのは、彼らが登場するシーンのトラック(バン)が、CD Projekt Redが20年以上前にバンでゲームを販売していたという会社の歴史にちなんだものだということ。こうした細かなディテールからは、開発チームの遊び心と会社への愛着が感じられる。

また、ゲーム内で運転できる「バジリスク」という戦車や、墜落した巨大な核動力のAV(空飛ぶ車)など、SF世界ならではの要素も満載だ。

Talking to App Developers WWDC25 06
細かい描写も多い

CD Projekt RedとAppleの連携

この優れたパフォーマンスは、CD Projekt RedがAppleと連携して実現した成果だ。両社のエンジニアは、ゲームの最適化において協力し、16ビット浮動小数点の活用といったスマートな最適化を実施した。

特に重要なのが、AppleのGame Porting Toolkitの活用である。このツールにより、WindowsゲームのMacへの移植プロセスが大幅に効率化され、開発期間の短縮が実現された。

2025年、ついにMacに登場

「サイバーパンク2077」とスパイスリラー拡張パック「ファントム・リバティ」は、2025年にMacに登場する予定だ。Apple Silicon搭載のMacでプレイ可能で、Mac App StoreにてUltimate Editionがリリースされる。

Ultimate Editionには、基本ゲーム、「ファントム・リバティ」拡張パック、アップデート2.0のすべてのコンテンツ、無料DLCが含まれている。既存のSteamユーザーは、追加購入なしでMac版にアクセスでき、セーブデータの引き継ぎも可能だ。

Macゲーミングの新時代

Talking to App Developers WWDC25 05

今回披露されたのは、Metal 4の新機能「Metal FXフレーム補間」を使った事前ビルド版である。この機能は、Mac版のアップデートにて提供される予定だ。

「サイバーパンク2077」の成功は、Macゲーミングの新時代の到来を象徴している[8][12]。Apple Siliconの32 TOPSのNeural Engine処理能力により、従来では困難だった高度なAI支援レンダリングが可能になった。

今後は「Assassin’s Creed Shadows」や「Resident Evil 4」の拡張版など、さらに多くのAAAタイトルがMacに登場予定だ。「Macはゲームができない」という古いイメージは、もはや完全に過去のものとなりつつある。

ゲームをプレイしない人でも、この技術的進歩の意味は理解できるはずだ。Macが単なる仕事道具から、エンターテインメントの中心へと進化を遂げているのである。

もっと読む

12本の記事を表示する
特集
公開情報
更新日2025年06月16日
執筆者g.O.R.i
コメント(3件)

コメントは承認後に表示されます。良識のあるコメントを心がけ、攻撃的な表現や他人が傷つく発言は避けましょう。なお、コメント投稿時に「利用規約」に同意したとみなします。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

  1. 通りすがりの読者(コメントID:705928)

    Mac用を開発さえしてくれれば、性能は元々悪くない。状況を変えるには、半年遅れで任天堂のゲームはMacで全部出るみたいなサプライズが必要。

  2. 通りすがりの読者(コメントID:705919)

    Macはゲームができないって言われてたのはスペックの問題じゃなくてMetalにネイティブ対応してないゲームが多すぎるからだよ

  3. 通りすがりの読者(コメントID:705918)

    どの解像度で120fpsなのだろう?
    フルHDでウルトラ画質なら4060辺りで超えるし
    4090なら240fps超える
    サイパンはPCだと割と軽くなってきている
    あとフレームレートで映画の24fps出すのはテレシネ等の解説を入れないといけないから不適切だと思う
    ゲームだとアクションゲームで昔から60fps以上が適していると言われている。

「Macアプリ関連情報・ニュース」新着記事
トレンド検索