【WWDC25現地レポート】初のApple Park取材で見えたApple Intelligenceの真価とAI開発の民主化
松村太郎さんのポッドキャスト「#マツムラボ」特別収録で語った、現地で感じたAppleの未来戦略
初めてのWWDC現地取材、そして憧れのApple Parkへの訪問という長年の夢が遂に叶った。26年ぶりの海外渡航となった今回の体験は、僕にとって忘れられない特別なものとなった。
そんな貴重な機会の中で、松村太郎さんのポッドキャスト「#マツムラボ – 松村太郎研究室」に出演させていただくという、さらなるサプライズが待っていた。しかも収録場所は、現地の限られた人しか入ることができないApple Park内のPodcast Studioだった。
この特別な環境で松村さんと語り合った内容を、(基本的には動画を見ていただくことを前提として)かいつまんでご紹介したい。WWDC25で発表されたApple Intelligenceの革新性から、開発者エコシステムの進化、そして現地だからこそ感じられた熱狂まで、現地取材だからこそ語れる生の声をお届けする。
Apple Intelligence:チャットボットを超えた「寄り添うAI」の理想形
ポッドキャストで最も熱く語ったのは、Apple Intelligenceが示すAIの新しいあり方だった。世間一般に広がるチャットボット型のAIとは根本的に異なるアプローチを取っている。
Apple Intelligenceの真価は、デバイスのスペック競争ではなく、いかにユーザーの日常生活に自然に溶け込むかという点にある。特別なチャットボットに向かってAIを使うのではなく、既存の作業フローの中に自然に寄り添う機能が数多く実装されている。
特に衝撃的だったのは、スクリーンショットの活用方法だ。一般ユーザーが日常的に大量のスクリーンショットを撮影している現状に対し、単なる画像保存を超えた価値を提供する。画面上の日付情報を自動でカレンダーに登録したり、画像検索やChatGPTへの直接質問が可能になるなど、情報管理の概念を根本から変える機能群だ。
人間の限界をサポートする設計思想
松村さんとの対談で特に共感を得たのは、ファイル管理のような「人間が能力的に限界を感じる領域」をAIがサポートするという考え方だった。デスクトップの整理やファイル検索といった、多くの人が諦めがちな作業において、AIが自然な形で手助けをしてくれる。
Spotlightの進化も同様で、ユーザーの行動パターンを学習し、必要な提案を適切なタイミングで行う。初期設定の煩わしさなく、悩むことなく機能にアクセスできる仕組みは、まさにAppleらしい配慮だ。
大規模言語モデル(LLM)とショートカットアプリの連携により、手元のファイルをAIで処理するハードルが劇的に下がった。「最近1週間の写真の中で犬が映っているものをピックアップして」といった自然言語での指示が可能になり、ブロックプログラミングのような直感的な操作でAI機能を組み込める。
開発者エコシステムの革命:AIアプリの「第2のApp Storeモーメント」
ポッドキャストで最も「大きな変化」として語ったのは、開発者向けのFoundation Models Frameworkの提供だ。開発者がAppleのAIモデルを無料で、ネットワークアクセスなしに、わずか数行のコードで自分のアプリから呼び出せるようになった。
これまでコストやインフラの問題でAI開発に参入できなかった趣味のプログラマーやサンデープログラマーたちが、気軽にAIアプリ開発に取り組める環境が整った。この「ノーリスク・ノーコスト」でのAI開発環境は、InstagramやUberがiPhoneの登場で生まれたように、新たなAIアプリの「祭り」を生み出すだろう。
Apple自身がAIの使い方を全て決めるのではなく、開発者のアイデアこそが正しいというスタンスは、かつてのApp Storeの成功をAI分野で再現する戦略だと感じる。AppleはAI普及に対し、世間の熱狂的な競争とは一線を画し、「スローダウンしてじっくりやろう」という長期的視点を持っているように見える。
日常を変える細部へのこだわりと機能進化
AppleはAIだけでなく、既存プロダクトにもユーザーの声を反映した細やかな改善を加えている。長年待ち望んでいた手首のフリックで通知を消す機能は、時計を見たい時に通知が邪魔をするという日常の小さなストレスを解消する。
iPadでの生活を理想とする僕にとって、今回のiPadOS強化は特に意義深いものだった。バックグラウンド書き出し機能などの追加により、これまでMacが必要だった作業がiPadだけで完結できるようになる。
着信スクリーニングや保留機能は、迷惑電話の自動検知・文字起こしを実現し、必要に応じた対応を可能にする。相手が古いiPhoneやAndroidでも機能する点は、ローカル処理の恩恵であり、Appleらしい「寄り添い」機能の典型例だ。
コンテンツ制作の民主化
FaceTimeのローカル録画機能は、オンラインコンテンツ制作における回線状況やアップロード時間の課題を解決する。AirPodsとiPhoneの連携により、高音質マイクとしてAirPodsを活用し、iPhoneで簡単にVlog撮影が可能になる。
高品質な音声とiPhoneの美しいカメラがあれば、誰でも気軽にコンテンツ制作を始められる時代が到来する。Apple TVのカラオケ機能も個人的に非常に楽しみで、ホームカラオケが盛り上がりを見せる中で、Apple Musicとの連携も完璧だ。
WWDC現地体験:最高の刺激と学びの場
発表の瞬間に開発者たちが「フーッ!」と盛り上がり、拍手が鳴り響く会場の空気は、画面越しでは決して味わえない貴重な体験だった。この熱狂こそが、Appleエコシステムの原動力なのだと実感した。
世界中の有名クリエイターたちが普通にその辺にいて、気軽に交流できる環境は非常に刺激的だった。コンテンツ制作の苦労やリアルなフィードバックを共有する中で、自身のクリエイターとしての成長を強く感じられる場となった。
Student Challengeの受賞者たち、特にプログラミング歴が短いながらも成果を出している日本の若手エンジニアの存在は、年齢に関わらず誰もが挑戦できる勇気を与えてくれた。iPhoneをメインカメラとして活用したポッドキャストスタジオの設営など、Appleらしいクリエイティブなアプローチも随所に見られ、非常に参考になった。
今回のWWDC25を通じて感じたのは、Appleが単なる技術競争ではなく、人間の生活に真に寄り添うAIの実現を目指しているということだ。チャットボット型AIの限界を超え、日常の作業フローに自然に溶け込むAI体験の提案は、まさにAppleらしいアプローチだった。
開発者エコシステムの開放により、これから生まれるであろう無数のAIアプリケーションが、僕たちの生活をどのように変えていくのか。その第一歩を現地で目撃できたことは、クリエイターとして、そしてAppleユーザーとして、かけがえのない体験となった。
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ありがとうございます!!!!!
いやぁ本当にこの開発環境の提供、実は普通の人にとっては「ふーん」で通り過ぎてしまう部分なのですが、開発者にとっては「キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!」って感じですよね。もっと話題になっても良い気がするんだけどなあ、もうちょっとそこだけフォーカスした記事書こうかな(・・)
凄く良い記事。特にAIに関して。
私はまさに趣味のプログラマーで「ノーリスク・ノーコスト」でのAI開発環境が手に入るのは本当にうれしい。
GeminiやClaudeのAPIを叩いたアプリを遊びで作ったりはしてるけど、かかる費用が怖くて配布するような気にはなれない。そんな中、AppleのAIに対する姿勢に今回ようやく腹落ちできました。
goriさんもUS出張お疲れ様でした。ご自愛ください。