iOS 13:iPhoneのバッテリー劣化を防ぐ最適化機能が追加
「Optimized Battery Charging」を有効化するとまずは80%まで充電され、起床直前に残り20%が充電される
iOS 13にはiPhone本体に内蔵されている電池性能の劣化を防ぐ「Optimized Battery Charging」という、バッテリー充電を最適化してくれる機能が用意されていることが分かった。
この新機能は、「設定」アプリの中の「バッテリー」項目内にある「バッテリーの状態」に追加されている。有効化した場合、ユーザーがiPhoneを充電するタイミングを認識し、まずは80%まで充電し、残りの20%をユーザーが使うタイミングを見計らって調整してくれるようになる。
例えば、僕の場合、1時過ぎに寝て7時過ぎに起きるような生活をしているのだが、バッテリーの最適化機能を有効化した場合、僕のiPhoneはまず80%まで充電し、そのままストップ。起きる数時間前に再度充電を開始し、起きた頃にはこれまで通り100%になっているはず。
実際にiOS 13をインストールしたユーザーは先に80%まで充電し、起床直前に残りの20%が充電されていることを報告している。
Cool: iOS 13’s new smart charging got my battery to 80% and then wait until I was closer to waking up to go to 100%.
Not cool: My battery is at 38% by 11am. Not ready for public consumption. pic.twitter.com/LYH6OeJYqg
— Matt Birchler (@mattbirchler) June 4, 2019
ところで、なぜ充電を80%で止めておき、直前に100%まで充電することによってバッテリー劣化を防ぐことができるのか。そのヒントがバッテリーのパフォーマンスの最大化に関するページに記載されていた。
Appleいわく、「長期間保管」する場合は電池残量50%がベスト
Appleによると、デバイスを長期保管する場合は50%充電した状態にすることを案内。バッテリーを完全に使い切った状態で保管すると、バッテリーは重放電という状態になり、充電された状態を保てなくなる可能性がある。
一方、完全に充電した状態で長期間保管すると、バッテリーの容量の一部が失われ、駆動時間の短縮につながる場合があるとのこと。
夜通しの充電は「長期間保管」には値しないと考えられるため、満充電のまま放置することに神経質になる必要はないが、iOS 13のバッテリー最適化機能はバッテリーの容量の一部が失われるリスクを低減し、今までよりもバッテリーの健康状態が長持ちになると期待される。
ただ、上記は50%に保つよう言っている。なぜ80%なのか。
80%まではスピード充電、最後の20%はゆっくり充電
これについては、「バッテリー」ページにヒントとなりそうな情報が書かれていた。
Appleのリチウムイオンバッテリーは、バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わる仕組み。
つまり、多くの電力を流して短時間で充電する高速充電という第1段階と、電流を弱めてバッテリーの耐用年数を伸ばすトリクル充電という第2段階が用意されている、ということだ。
このことから、iOS 13のバッテリー最適化機能はAppleのリチウムイオンバッテリーの特性である80%まで高速充電する機能をそのまま活かしつつ、保管する際にバッテリーの容量の一部が失われるリスクを回避するためにそのまま100%まで充電せず、ユーザーの充電習慣を見て直前に残りの20%も充電する仕組みになっている、と考えられる。
ユーザーとしては基本的に有効化しておけばiPhoneを電池交換せずに長く使えるのでメリットが大きい。唯一考えられるデメリットとしては、イレギュラーなタイミングで起きる場合、iPhoneが満充電されていない可能性もありそう。
毎日決まった生活サイクルで過ごしている人は何も気にせず有効化した方が良さそうではあるが、人によっては無効化したまま使った方が良いかもしれない。
iPhoneの売上不振が明らかになる中、AppleはiPhoneの買い替えを促進するどころか、今あるiPhoneが少しでも長く使えるような機能を追加しているようだ。iPhoneのバッテリー交換も以前に比べて安くなっているが、交換せずに長く使えることに越したことはないだろう。