Apple、日本の「スマホ新法」に重大警告:欧州DMAの失敗を繰り返すな
12月18日施行予定の規制法について「適用方法」への懸念を表明、知的財産権保護の重要性を強調
Appleのワールドワイドマーケティング上級副社長グレッグ・ジョズウィアック氏が、日本で12月18日に施行される「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」について重要な警告を発した。通称「スマホ新法」と呼ばれるこの法律は、欧州デジタル市場法(DMA)の日本版とも言える内容で、公正取引委員会(JFTC)が執行を担当する。

グレッグ・ジョズウィアック氏 = Appleイベントよりキャプチャ
欧州DMAの「実験結果」が示す現実
予想外の問題が次々と発生
Appleによると、欧州は数年前から日本を含む他国に対し、DMAのような規制を採用するよう「奨励しようと」働きかけてきた。しかし欧州で進行中の実験は、予想とは異なる結果をもたらしている。企業が技術や製品を控えざるを得なくなり、イノベーションへの投資が抑制され、ユーザーや開発者に妥協が生じるという問題が発生しているのだ。
9月に明らかになった深刻な対立
実際、9月19日にはEUがAppleの免除申請5件を却下した。対象となったのはiOSの通知機能、近接ペアリング、ファイル転送手段、自動Wi-Fi接続、自動オーディオ切り替えといった、ユーザー体験の核心となる機能だ。これを受けてAppleは「欧州委員会の行為は、欧州のユーザーのプライバシーとセキュリティを損ない、ユーザーの皆様が愛用する高度に統合されたユーザー体験を脅かすもの」と公式声明で強く反発している。
日本の法律への評価と懸念
「より合理的」だが適用方法が鍵
Appleによると、日本の法律の書面上のテキストは、相互運用性の問題に関して、EUと比較して「より合理的なアプローチ」を示唆している。公正取引委員会も「競争上の問題の大きさに比して適切な規制となるように」努め、技術革新のインセンティブを阻害しないよう運用することを明言している。
しかし問題は法律の条文ではなく、その適用方法にある。欧州での経験から、Appleは最終的な決定権者が「どのように法律を適用するか」について深刻な懸念を抱いている。当初Appleは法律にほぼ従っていると考えていたが、規制当局の「過激な解釈」が大きな問題を引き起こした。懸念しているのは、法律が効力を発揮する12月以降、日本が合理的な姿勢を保つのか、あるいはMetaなどの「外部の声」に耳を傾け始めるのかという点だ。
Appleが最も懸念する知的財産権問題
「フリーライド」への強い危機感
Appleが最も懸念しているのは、知的財産権の保護だ。同社は知的財産権によって保護された技術への「フリーライド(ただ乗り)」を防ぐための措置が認められるべきであると強く主張している。
欧州では、Appleによると「初日からイノベーションを引き渡すことを強制される」状況が生まれている。これは「一部のケースで我々をコピーすることを唯一のビジネスモデルとしている企業」に対してであり、決定の結果として「当局や第三者が事実上iPhoneの将来の設計をマイクロマネジメントしている」状態だという。
ライブ翻訳機能に見る技術統合の価値
具体例として、AirPodsとiPhoneの連携で実現されるライブ翻訳機能がある。この機能は両デバイスのマイクからの音声を統合し、iPhone上でApple Intelligenceの力を使って翻訳を行う。しかしAppleによると、「ユーザーのプライバシー、セキュリティ、インテグリティに関する高い保護基準を満たすために必要な技術的対応を行わない限り、アプリに複数のマイクへのアクセスを許可するAPIを提供することはできない」という。
「Apple一社だけ」への不平等な扱い
Appleは、欧州委員会が相互運用性要件をApple一社にのみ適用していることに強い不満を表明している。同じDMAの対象である他の企業は同じルールで競争する必要がない一方で、Appleだけが競合他社に知的財産を無償で提供することを強制されているのが現状だ。
この状況について、Appleは「他のスマートフォンメーカーからデータに飢えた企業まで、我々の競合他社に求められていないことをAppleだけが求められている」と指摘している。
日本の公正取引委員会の配慮
「正当化事由」という救済措置
一方で、公正取引委員会は一定の配慮を示している。法第7条および第8条で禁止される行為であっても、「正当化事由」が認められ、かつ他の行為ではその目的を達成することが困難な場合には、法に違反しないとしている。
正当化事由には、サイバーセキュリティの確保、利用者情報の保護、青少年の保護、犯罪行為の防止、スマートフォンの異常な動作防止が含まれる。さらに、知的財産権の権利行使と認められる行為は、原則として禁止規定に違反しないことを明確化している。
実際にユーザーが感じる変化
スマホ新法の施行により、Appleには具体的な義務が課される。OSまたはブラウザの指定事業者として、ブラウザや検索機能に関して、利用者の初回起動後速やかに複数の選択肢を表示する選択画面を表示することが義務付けられる。選択肢の数は通常4個または5個程度が想定されている。
また、アプリストアの指定事業者として、代替ブラウザエンジンを個別ソフトウェアの構成要素とすることを妨げる行為も禁止される。ただし、サイバーセキュリティ等の観点から正当化事由が認められる場合があるとされている。
規制の「世界ツアー」への警鐘
欧州の規制当局は「世界ツアー」を行い、DMAの概念を他国に「売り込み」を行った。高レベルで「すべてが一緒に機能する」という話は素晴らしく聞こえるが、現実は政府が規定するほど単純ではない。
Appleは、日本のように同様の法律を検討している国々が、欧州の経験から「教訓を得て」、「より広い視野」で全体像を理解することが極めて重要だと強調している。
日本のユーザーに向けた直接的なメッセージ
Appleによると、欧州のユーザーもこれらのルールを要求していたわけではなく、ごく一部の説得力のあるロビイストを持つ開発者たちから発生したものだという。もし欧州で同じことをやり直せるなら、もっと意識向上を図っただろうと振り返る。
重要なのは、ユーザー自身がヨーロッパで現在起きている「仮定ではない現実」を理解することだ。Appleによると、ユーザーは民主主義社会に住んでおり、政治家は市民のために働いているため、自分の政府が自分たちのために行っていることが本当に望ましいことなのかを理解し、その情報に基づいて市民として行動することが望ましいと提言している。
日本のスマホ新法は12月18日に施行される。公正取引委員会は競争促進と利便性・安全確保の両立を掲げ、知的財産権への配慮も示しているが、その適用方法によっては、欧州と同様の問題が発生する可能性がある。法律の条文よりも、それをどう解釈し実行するかが、日本のテクノロジー業界とユーザーの未来を左右することになりそうだ。
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暴利を貪ってたって数字を示してるならともかく、新機能やユーザー体験の方が具体的な話をしてると思いますがね~
独禁法に引っ掛かるようなやり方で暴利を貪ってた報いでしょ
その挙げ句新機能やユーザー体験を人質にして喚くとか……
アプリストアをAppストア以外で提供できるようにすることは、自己責任の範囲でユーザーが使っても構わないと思いますが、それでもAppleからしたら「なんかウイルスに感染しました(泣」といってAppleストアに駆け込む迷惑な客が増えるのは目に見えてますし、Airpodsのような近接ペアリングを他のデバイスでも提供しろなんてかなり無茶苦茶。
そんな不平等を改善しなくても、私はiPhoneでSONYのイヤホンを繋いでますし、多くのサードパーティーアクセサリー使用者がそのように納得して使っていると思います。
一ユーザーとしては、自国メーカーに忖度するあまり、機能制限・Appleの開発インセンティブ低下を招くような真似はしてくれるなと思っちゃいますね・・・。