Blackmagic eGPU レビュー
eGPUの導入で4Kディスプレイ出力時の熱が抑えられる
結果の前に、なぜ僕が4Kディスプレイの出力による本体に掛かる負担を気にしているかについて、説明しておきたい。
僕は自宅では4Kディスプレイ「27UK650-W」を2枚出力しているのだが、MacBook Proにとっては常時GPUを使い続けることになるため、マシーンに対する負担が大きのではないかと思っていた。
また、外部キーボードとマウスを使っているとは言え、必要以上に本体が熱くなるのは電子機器として好ましくないとも思っていた。15インチモデルの「Core i9」が排熱機能に問題があると指摘されているが、13インチモデルも従来デュアルコアが入っていた筐体にクアッドコアを載せているので、少々無理をさせている気がしてならなかった。
過去に15インチ型MacBook Pro(2016)から「LG UltraFine 5K Display」を2枚出力し続けた結果、GPUが不調になり、Touch Barも引きずられて動作不良を起こし、Mac本体はボロボロに。
自らこの悲劇を体験した上に、Appleが排熱やパフォーマンスよりも薄さと軽さを追求する傾向にあることを加味すると、MacBook Pro本体に内蔵されたGPUの負担は必要最小限に抑えた方が良いという判断に至った。
そこで、今回は「Blackmagic eGPU」を使用した状態で「Caldigit TS3 Plus」経由で4Kディスプレイを出力した状態の「MacBook Pro(2018)」本体の温度を「FLIR ONE for iOS Personal Thermal Imager」で測定したので、紹介する。
「アクティビティモニタ」、「Intel Power Gadget」、「Chrome」のアプリを起動し、「Core i9」モデルの排熱問題を指摘したDave Lee氏の動画を最初から再生し、本体温度の変化を確認する、という方法で測定した。再生画質は4K。
eGPUを使用せずに4Kディスプレイを出力した場合
eGPUを介さず、「Caldigit TS3 Plus」経由で4Kディスプレイを出力した時の本体温度は非常に高く、動画が再生開始してからしばらくすると49℃にまで達してしまった。
最終的に観測できた最も高かった状態が52.9℃。写真には収められなかったが、53℃を超えた瞬間もあるほど本体は発熱していた。
「Intel Power Gadget」による筐体温度やCPUの遷移は下記の通り。
eGPUを使用して4Kディスプレイを出力した場合
こちらが「Blackmagic eGPU」を入れ、「Caldigit TS3 Plus」経由で4Kディスプレイを出力した際の結果。しばらくして43.5℃を記録。
その後、予想以上に温度が上がらず、eGPUなしの時よりも長く動画を再生して温度の変化を確認していたが、結局観測できた最高温度が46.9℃だった。
「Intel Power Gadget」による測定結果はこちら。
「Intel Power Gadget」の測定結果を比較してみると、確かに「Blackmagic eGPU」を経由して4Kディスプレイを出力した方が結果的に筐体の平均温度が低く遷移していることが確認できる。
YouTube動画を4K画質で再生しているだけでもこのような結果が出ていることから、さらにグラフィック性能に負荷が掛かるような作業を行った場合、結果的にGPUに負担が掛かり、本体はさらに発熱する可能性がありそう。
よって、結論としてはeGPUは本体に掛かる負担を軽減していると言っても過言ではなさそうだ。
まとめ:「Blackmagic eGPU」でMac本体をパワーアップし、Mac本体の負担も軽減できる
「Blackmagic eGPU」の導入によって、アプリケーションのパフォーマンス向上に関してはそれほど期待していなかった。
そもそも僕が行う作業の大半はGPUに依存するような作業内容ではなく、CPUやRAM、そして高速なSSDがあれば快適に動作することが多い。どちらかというと、グラフィック性能を必要としていたのは、作業環境を構築する時。
その点に関しては、4Kディスプレイを2枚出力するテストでも分かった通り、効果は確実に発揮できた。また、MacアプリでeGPUを利用可能にするスクリプト「set-eGPU」を導入したことによってeGPUをすべてのアプリで活用できるようになり、外部ディスプレイと組み合わせることによって13インチ型MacBook Pro(2018)が「iMac 5K 2017」に匹敵する性能を持つことになる。
実際、「Blackmagic eGPU」は2つめの「Thunderbolt 3」ポートが用意されているため「LG UltraFine 5K Display」も出力できるので、13インチモデルの携帯性を犠牲にすることなく、自宅や仕事場ではiMacのようなパワフルなデスクトップマシーンとして使うことができる。
僕は、eGPUは「パソコンの詳しい人がゲームするために使うマニア向けのアイテム」というイメージしかなかった。知識も必要で、手間も掛かり、音が大きくて、見た目がメカメカしい、という印象だった。
「Blackmagic eGPU」は面倒なセットアップは一切なく、箱から取り出して電源と「Thunderbolt 3」ケーブルを繋ぐだけで使い始めることができる。4つのUSBポートもありハブとして使うこともでき、USB-Cドックと併用することも可能。動作音も極めて静かなので、よほどMac本体のファンの方がうるさい。
本体は少し大きいが、見た目が格好良いので置く場所には少々困るが、個人的には気にならない。むしろ格好良いのでもっと格好良く配置したいとさえ、思う。
「Blackmagic eGPU」は決して安い買い物ではないが、13インチモデルに切り替えても15インチモデル以上のグラフィック性能が使えるのは非常に心強い。必要とする人は限られているが、僕のように自宅や仕事場の作業環境をパワーアップさせたいという人、13インチモデルの携帯性に惹かれているけどグラフィック性能が欲しいという人にはオススメ。
もちろん、「Thunderbolt 3」を搭載しているMacであれば利用できるため、「MacBook Pro(2016)/2017」でもグラフィック性能が大幅に強化できる。Mac本体を買い換えるよりは遥かに安いので、グラフィック性能を欲している人は購入してみるべし!
Macの公式情報・購入ページ
- ノート型Mac ▶ MacBook Air / MacBook Pro
- デスクトップ型Mac ▶ iMac / Mac Pro / Mac mini
- 各モデル比較 ▶ Macを比較
- Macアクセサリ ▶ Apple公式ストア / Amazon
- 整備済商品(公式の新中古品) ▶ Apple公式ストア(整備済み商品とは?)
- 学割(教員・PTA役員も対象) ▶ 学生・教員向けストア(学生・教職員向けストアとは?)
以前HDMI外付けディスプレイ接続時のスリープ時の発熱でコメントした者です。
BLACK magicから
【お世話になっております。
ブラックマジックデザイン・テクニカルサポートの岡野です。
ご連絡ありがとうございます。
本件について社内で確認をいたしましたが、
同様の事象を確認したことはないようでした。
MacBook Proとの接続でeGPUを日常的に使用しているスタッフもおりますが、
Mac側が熱を帯びるという事象には遭遇したことはないということでした。
eGPUの最新バージョンは1.2となります。
念のため、お手数ですが以下のURLから1.2を入れていただき、
ご利用のeGPUのバージョンアップを試みていただくことは可能でしょうか。】
とコメントがきました。
アップデート後も発熱します。
他にも同様の経験された方いらっしゃいますかねぇ。
質問に回答していただきありがとうございます!
大変助かりました!
外すときは、都度接続を解除する操作をしてから外す必要があります!イメージとしては、外付けドライブと同じですね!安全に外す、みたいな操作が必要になります!
Blackmagic eGPU+MacBook Pro 13インチでの仕様を検討しているのですが,MacBook Proを外出時に持ち出す際は接続しているケーブルを抜くだけでも大丈夫なんでしょうか?それとも,持ち出すたびに接続を解除した状態にした後にケーブルを抜かなければならないのでしょうか?
色々と調べてみたのですがそこまで踏み込んで書かれてる記事が見当たらず気になったので質問させていただきました.よろしくおねがいします.