WindowsをMac化していた僕が、時代を彩るアイコニックなMacを振り返る
Y'z Dock、FlyakiteOSX、DeviantArt──「もうMacを買え」に至るまでの話と、Macが歩んできた40年の歴史
iPhoneを知っている人は多い。iPadやAirPodsも、もはや一般常識レベルで浸透している。でも「Mac」はどうだろう。名前は知っていても、その歴史や、Appleという会社がどんなドラマを経て今の姿になったのかを知っている人は、意外と少ないのではないだろうか。
僕はMacが大好きだ。仕事という点ではiPhone以上に重要で、欠かせないガジェットナンバーワン。そんな僕が、時代を彩ったアイコニックなMacたちを振り返りながら、自分自身の体験も交えて紹介したい。iPhoneは知ってるけどAppleのことはよく分からない、という人が「へぇ!」となれるような内容を目指したい。
すべてはここから始まった──初代Macintosh(1984年)
今でこそ当たり前の「マウスでカチカチ」「画面上のアイコンをクリック」という操作は、1984年にAppleが発売した初代Macintoshが一般に広めたものだ。それ以前のパソコンは、黒い画面に文字を打ち込んで操作する、いわゆる「コマンドライン」が主流。パソコンは一部の専門家のものだった。
Macintoshの発表は、プレゼンテーションそのものが伝説として語り継がれている。スティーブ・ジョブズがステージ上でバッグからMacintoshを取り出すと、画面にグラフィカルなデスクトップが表示され、会場は大興奮に包まれた。
さらに有名なのが、発売直前の1984年1月22日に全米で放映されたテレビCM「1984」だ。映画『ブレードランナー』のリドリー・スコットが監督を務め、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』の世界観をモチーフにしたたった60秒の映像。全米が注目するスーパーボウルで流されたこのCMに、Appleは900万ドルの予算を投じた。製品の姿すら映さない異例の手法で、広告史に名を刻んでいる。

Super Bowlで放映された伝説の広告
ちなみにこのCM、当時のIBMを”仮想敵”に見立てて、Appleを”解放者”として描いたものだ。僕の父親は当時IBMに勤めていたので、なんとも複雑な気分になる。
倒産寸前のAppleを救った一台──初代iMac(1998年)
iPhoneで世界を席巻しているAppleだが、実は1990年代に倒産寸前まで追い込まれていたことをご存知だろうか。市場シェアは急激に低下し、Windows PCが圧倒的な存在感を誇る中、Appleは方向性を見失っていた。
1997年、かつて自分が追い出された会社にスティーブ・ジョブズが復帰する。真っ先に手をつけたのが、プロダクトラインの一新だった。そして1998年5月、ジョブズは半透明の「ボンダイブルー」をまとった初代iMacを発表する。オーストラリアのボンダイビーチの海の色からインスパイアされたという鮮やかなブルーは、当時のパソコンの常識を完全に覆すものだった。
初代iMacが衝撃的だったのは、デザインだけではない。当時のパソコンには当然のように搭載されていたフロッピーディスクドライブを排除したのだ。「インターネット時代のために設計されたパソコン」とジョブズは語り、USBポートとインターネット接続を前面に押し出した。この「当たり前を捨てる」という判断は、当時は批判も多かったが、結果的にAppleを倒産の淵から救い出すことになる。
封筒から出てきたMac──初代MacBook Air(2008年)
Macの歴史を語るうえで絶対に外せないのが、2008年に登場した初代MacBook Airだ。
このMacが伝説的なのは、製品そのものよりも、発表の仕方にある。ジョブズはプレゼンのステージ上で、茶色い書類封筒を手に取り、そこからスッとノートパソコンを取り出してみせた。薄さを言葉で説明するのではなく、封筒に入るという事実で証明した。
僕はこの発表のとき、まだAppleにどっぷりハマっていなかった。友人から「封筒から出てきたMacがある」と聞いて、「そんなことありえるのか!?」と衝撃を受けながら映像を見た記憶がある。ただ同時に「でもスペックが〜」とゴチャゴチャ言ってたような記憶もある。スペック厨だった当時の僕に、「体験の大事さは後から嫌というほど知ることになるぞ」と教えてやりたい。
あのMacBook Airが生み出したウェッジ型(クサビ型)の筐体デザインは、その後のノートPC業界に一時代を築いた。他メーカーがこぞって薄型ノートPCを発売し、「Ultrabook」というカテゴリまで生まれている。Appleのデザインが持つパワーを証明した一台だ。
「WindowsのMac化」に明け暮れた日々
僕の初Macは、2008年に購入したMacBook Black Early 2008。通称”MacBook Kuro”だ。ただし、Macに辿り着くまでの道のりは、なかなかに遠回りだった。
当時IBMに勤めていた父親の影響で、僕は”赤ポチ”でお馴染みのThinkPadを愛用していた。作業内容に不満はなかったが、Macへの憧れが尋常じゃなかった。そしてその憧れは、「WindowsのMac化」という形で爆発する。
まず手を出したのが「Y’z Dock」。Windowsのタスクバーの代わりに、macOS風のドックを表示できるアプリだ。続いて「RK Launcher」にも手を出し、「FlyakiteOSX」にまで踏み込んだ。FlyakiteOSXは、Windows XPの壁紙、カーソル、サウンド、アイコン、ウィンドウのスタイルをまるごとMac OS X風に書き換えてしまうトランスフォーメーションパックだ。
そしてDeviantArt。カスタムテーマやアイコンパック、壁紙の宝庫であるこのサイトを、気が狂ったように見ていた。本当に見まくっていた。最高だった。メニューバーを画面上部に置き、ドックを配置し、アイコンを差し替え、壁紙を整えて、「ほぼMacじゃん」と自己満足に浸る日々。
でもある日、気づいてしまう。どれだけカスタマイズしても、本物のMacにはなれないということに。あるところから「もうMacを買え」という気持ちが強くなり、父親に相談してThinkPadを売却。手に入れたのが”MacBook Kuro”だった。
黒い筐体のステータス性
「とにかくスペックは盛っとけ」の時代だったので、当時購入できる最上位モデルを買った。白のポリカーボネートがメインだった当時、黒い筐体は「最上位機種」の象徴だった。それを手にしているステータス性には、相当な憧れがあった。
ただし、マット仕上げの黒い筐体は信じられないぐらい指紋が付く。触るたびに指紋だらけになるのは閉口した。余談だが、Appleは最近のMacBook Airの「ミッドナイト」カラーでも指紋問題に悩まされている。Appleと黒い筐体と指紋の関係は、もはや宿命のようなものかもしれない。
WindowsからMacに乗り換えた当時、すべてが新鮮で、すべてが輝いて見えた。ドックが美しい。フォントが綺麗。アニメーションが魅力的。マウスカーソルを重ねるとドックが拡大する様子には、今でもワクワクしている自分がいる。「WindowsのMac化」を必死こいていた自分にとっては、まるで夢のようなデバイスだった。
何よりもビビッときたのが、こちらの起動画面。macOSになる前の「MacOS X」の時代。Mac OS X Snow Leopardが動作するMacの起動時に表示される動画とその音楽が大好きで、スキップすることなく最後まで眺めていた。この記事を書くにあたり感動の再会を果たすことができ、感無量だ。
m-floのTaku TakahashiさんのMacBook Pro
僕にとって思い出のMacがもう1台ある。m-floのTaku Takahashiさんから譲っていただいたMacBook Proだ。
直接ご本人にお会いしたわけではない。オークションで落札し、マネージャーさん経由で受け取ったものだ。あまりにも貴重なデバイスなので、今でも大切に保管している。(先日Twitterでご挨拶させていただいた)
おはようございます!ゴリミーのg.O.R.iです!大変、大変光栄です!!!!!!
いただいたMacはこちらです!!!!! pic.twitter.com/zBezch8pC0
— g.O.R.i(ゴリミー管理人) (@planetofgori) October 26, 2025
Macは道具であると同時に、使う人の”らしさ”が宿るデバイスでもある。音楽アーティストが実際に使っていたMacを手にするというのは、なんとも言えないロマンがある。
僕が唯一憎んだMac──Touch Bar搭載モデル
逆に「これはイマイチだったな」と思ったMacもある。僕をよく知っている人ならお分かりだろう。Touch Barを搭載したMacBook Proだ。大嫌いだった。

ゴリミーはTouch Barに相当な恨みがある
Touch Barは、キーボード最上段のファンクションキーを有機ELのタッチスクリーンに置き換えた機能で、2016年に登場した。アプリに連動して表示が切り替わる仕組みは、ショートカットを使わない人にとっては便利だったかもしれない。
しかし、ショートカットを多用する僕にとっては、かえって不便だった。物理キーの触感がないため、ブラインドタッチで押せない。しかも不調になった際の修理費用が数十万円。役に立たないのに壊れると修理費用がかさむ。実装されておいてもAppleとしてそれを活かすような機能もなければ、進化もなかった。
Apple自身も、Touch Barの廃止理由として「ユーザーが物理的な感触を好んだから」と説明している。僕に言わせれば「最初から分かってただろ」と言いたいところだが、Appleも試行錯誤の末に到達した結論なのだろう。2023年、Touch Barを搭載した最後のMacBook Proが販売終了となり、この実験的な機能は静かに幕を閉じた。
Macの歴史を塗り替えたチップ──M1 MacBook Air(2020年)
2020年、Appleは約14年間使い続けてきたIntel製プロセッサーとの決別を宣言し、自社設計の「Apple Silicon」への移行を開始した。その最初の製品が、M1チップを搭載したMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniの3機種だ。
M1 MacBook Airが衝撃的だったのは、ファンレス(冷却ファンなし)なのに爆速だったことだ。それまで「高性能=ファンが回る=熱くなる」が常識だったパソコンの世界で、ファンすら搭載しないノートPCが従来モデルを圧倒するパフォーマンスを叩き出した。
この転換は、単なるスペックアップではない。Appleが「半導体すら自分たちで作る」という宣言であり、iPhoneやiPadで培ったチップ設計技術をMacに持ち込んだ歴史的な瞬間だった。Mac史に残る最大にして最高の転換期と言っても過言ではない。
Macは「捨てる」ことで進化してきた
こうして振り返ると、Macの歴史にはある一貫したパターンが見えてくる。Appleは常に、何かを「捨てる」ことで次の時代を切り拓いてきた。
フロッピーディスクを捨てた(iMac)。CD/DVDドライブを捨てた(MacBook Air)。USB-Aポートを捨てた。Intel製チップを捨てた。Touch Barも捨てた。そのたびに批判を浴び、そのたびに時代がAppleに追いついてきた。
あの頃、Y’z DockとFlyakiteOSXとDeviantArtに明け暮れていた日々があるからこそ、今でもiPhoneと同じぐらいMacが好きだし、仕事に欠かせないのはMacだし、憧れの対象はどちらかというとMacなのかもしれない。Macは僕にとって、ただのパソコンではない。「こうありたい」と思わせてくれる存在だ。
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iMac登場時は何かとスケルトンボディが流行っていましたね
私も職場PCでWindowsXPのMac化に勤しんでいたのを思い出しました
WindowBlindsでMac風テーマの適用とObjectDockの組み合わせでした