MacBook Proを買うなら13インチではなく15インチモデル
僕は15インチ型MacBook Proが大好きだ。MacBook Proを選ぶなら13インチではなく15インチ。過去にも以下のような記事で15インチに対する熱い思いを伝えてきた。
2016年モデルは2015年から大幅に進化し、4年ぶりのメジャーアップデートモデルとして登場。引き続き13インチモデルと15インチモデルが用意されているが、どちらを買うべきか。
僕は13インチ型MacBook Proの2016年モデルは店頭でしか触れたことがないが、それでもやはり新型MacBook Proを買うのであれば15インチ型MacBook Proを買うべきだと思っている。その理由について説明する!
そもそも15インチ型MacBook Pro(2016)の使い勝手が気になる、という人は実際に数ヶ月間使用してから書いたレビュー記事も併せて参考にどうぞ!
スペック・仕様の違い、ベンチマークスコアの比較
まずはMacBook Pro2016年モデルの13インチモデルと15インチモデルのスペック・仕様を比較してみよう。
なお、今回は13インチモデルと15インチモデルで悩んでいるという人を想定して書いているため、基本的にはTouch Bar搭載モデル同士の比較を前提として進めているが、下記比較表には参考にTouch Bar非搭載モデルも載せてある。
13インチモデル(Late 2016) | 15インチモデル(Late 2016) | ||||
---|---|---|---|---|---|
– | 256モデル | 256GBモデル | 512GBモデル | 256GBモデル | 512GBモデル |
Touch Bar | – | Touch IDセンサーが組み込まれたTouch Bar | Touch IDセンサーが組み込まれたTouch Bar | ||
ディスプレイ | 13.3インチRetinaディスプレイ (2,560 x 1,600ピクセル、227 ppi) 500ニトの輝度 広色域(P3) |
15.4インチRetinaディスプレイ(2,880 x 1,800ピクセル、220 ppi) 500ニトの輝度 広色域(P3) |
|||
CPU | 2.0GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.1GHz)、4MB共有L3キャッシュ | 2.9GHzデュアルコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.3GHz)、4MB共有L3キャッシュ | 2.6GHzクアッドコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.5GHz)、6MB共有L3キャッシュ | 2.7GHzクアッドコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)、8MB共有L3キャッシュ | |
RAM | 8GB 1,866MHz LPDDR3オンボードメモリ | 8GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ | 16GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ | ||
ストレージ | 256GB | 256GB | 512GB | 256GB | 512GB |
グラフィック | Intel Iris Graphics 540 | Intel Iris Graphics 550 | Intel HD Graphics 530 Radeon Pro 450(2GB GDDR5メモリとグラフィックス自動切替機能を搭載) |
Intel HD Graphics 530 Radeon Pro 455(2GB GDDR5メモリとグラフィックス自動切替機能を搭載) |
|
電池持ち | 最大10時間 | ||||
ポート | 2つのThunderbolt 3(USB-C)ポート 3.5mmヘッドフォンジャック |
4つのThunderbolt 3(USB-C)ポート 3.5mmヘッドフォンジャック |
4つのThunderbolt 3(USB-C)ポート 3.5mmヘッドフォンジャック |
||
高さ | 1.49 cm | 1.55 cm | |||
幅 | 30.41 cm | 34.93 cm | |||
奥行き | 21.24 cm | 24.07 cm | |||
重量 | 1.37 kg | 1.83 kg | |||
価格 (税別) |
148,800円 | 178,800円 | 198,800円 | 238,800円 | 278,800円 |
特筆するべき項目について黄色く塗りつぶしてあるが、物理的なサイズ以外で大きく異なるのはCPU性能とグラフィック(GPU)性能だ。
CPU:デュアルコアとクアッドコアの性能差は大きい
まずはCPU性能から。13インチモデルは2.9GHzデュアルコア「Intel Core i5」であるのに対し、15インチモデルは2.6/2.7GHzクアッドコア「Intel Core i7」を搭載。13インチモデルは最大3.3GHzデュアルコア「Intel Core i7」に、15インチモデルは2.9GHzクアッドコア「Intel Core i7」までオプションでアップグレードすることができる。
ただ、決定的な差がある。それは「デュアルコア」と「クアッドコア」だ。
「Geekbench 4」のベンチマークスコアによるとシングルコアスコアは13インチモデルが平均して「3786」、15インチモデルが「4147」と言う結果に。一方、マルチコアスコアに関しては13インチモデルが平均して「7614」、15インチモデルが「13376」という結果になり、大きな差が開いている。
【image via Ars Technica】
比較的ライトな作業を行う場合においてはそれほど大きな差は見られないかもしれないが、高負荷な作業を行う場合はパフォーマンスに顕著に現れる。
GPU:独立GPUの有無は高負荷な作業時に力を発揮する
GPUは名前の通りグラフィック用のプロセッサー。13インチモデルは「Intel Iris Graphics 550」というCPUに統合されたGPUを搭載。一方、15インチモデルは「Intel HD Graphics 530」というCPUに統合されたGPUに加えて「Radeon Pro 450/455」という外部GPUを搭載している。
まずはCPUとセットで内蔵されている統合GPUについての性能差をチェックしておこう。実は、「Iris Graphics」と「HD Graphics」を比較すると、「Iris Graphics」の方が高性能。統合GPUに関しては13インチモデルの方が優位なのだ。
ところが、15インチモデルには独立した外付けGPUが存在する。その結果、「Cinebench R15」を使ったGPUベンチマークテストの結果は下記のような結果に。「Iris Graphics 550」と「Radeon Pro 455」では劇的な差が生まれる。
【image via Ars Technica】
ここで「はい、15インチは圧倒的ですね、ちゃんちゃん」と言いたいところだが、そもそも高いGPU性能を持ち合わせていても普段の作業において使わないのであれば全く役に立たない。
CPUと同様に、Macに負荷の掛かる作業を行う場合に役に立つのが独立GPU。特に写真や映像の編集を行う場合は目に見えてパフォーマンスに差が生まれる。
もちろん、13インチモデルでも高負荷な作業がこなせない訳ではないが、処理に掛かる時間を短縮し、大量の仕事をスピーディにこなしたいのであれば15インチモデルの方が良い選択肢になり得る、ということだ。
高負荷な作業をしない場合でも、ピクセル数の多いディスプレイを出力する際には恩恵を受ける。2016年モデルではないが、過去に13インチモデルを使っていた時は4Kディスプレイの出力はギリギリ。ところが、15インチモデルに変えてからは快適に使うことができるようになった経験がある。
ちなみに、僕は「LG UltraFine 5K Display」にDELLの5Kディスプレイ「UP2715K」とASUSの4Kディスプレイ「PB287Q」を繋いでトリプルディスプレイ環境にしているが、15インチ型MacBook Pro(2016)は静かに仕事をこなしてくれる。非常に快適である。
画面をより高解像度にすることができ、作業効率が上がる
CPUとGPUに関しては上記の通り、それなりの差が生まれているが、性能差以外の魅力も沢山あるのが15インチモデル。
その1つが物理的なディスプレイサイズ。これはRetinaディスプレイモデルが出た当初から気に入っている理由の1つ。
僕の場合は常にmacOSが許す擬似解像度を最高解像度にして使っているが、13インチでは最大が1,680 × 1,050ピクセル。15インチになるとそれが1,920 ✕ 1,200ピクセルにまですることができる。
この解像度の差は比較すると下記のようになる。左右の余白に注目(Beforeが13インチ、Afterが15インチ)。
もちろん、macOSには「Mission Control」というデスクトップのスペースを擬似的に複数表示できる機能が用意されている。小さいディスプレイを搭載していると1つの画面内に複数のアプリがあるとゴチャゴチャするので使い勝手が悪くなるため「Mission Control」を使いこなすと効率的だが、そもそも「Mission Control」を使わなくて済むのであればそれに越したことはない、というのが僕の持論。
1,920 ✕ 1,200ピクセルの画面解像度が利用できることによってわざわざスワイプでデスクトップスペースを切り替えることなく、「Expose」を使って開いているウィンドウを簡単に見つけることができる他、同時に複数のウィンドウを沢山並べることができる。
僕の場合、ブラウザやブログエディタ、テキストエディタや画像圧縮アプリケーションを同時に表示しつつ、背面にTwitterクライアントやLINE、Facebookメッセンジャーアプリを待機。4本指スワイプでウィンドウ一覧を表示させることができ、目的のアプリケーションに素早く切り替えることができる。
バッテリー性能は同じ!13インチも15インチも最大10時間
当然ながら13インチ型MacBook Proにはいくつかの優位点がある。そのうちの1つは電池持ちだった。
2015年モデルは13インチの方が電池持ちが一時間長く、公称値が10時間。2016年モデルはその魅力を引き継ぎ、10時間のままとなっている。
15インチモデルに関しては、2015年モデルが9時間だったのに対し、2016年モデルは1時間伸びて10時間に。実際に公称値通りの数値が出せるかどうかは別として、2016年モデルは紙面のスペック上では電池持ちが良くなっているのだ。
そして、かつて13インチモデルの方が電池持ちが良かったと言われていたものの、今となっては15インチモデルも同じ10時間。つまり、電池持ちを理由で13インチモデルを選ぶ理由がなくなったのだ!
旧15インチモデルよりも軽くなり、コンパクトになった
15インチモデルは大きすぎるという人もいる。確かに物理的なサイズに関しては13インチモデルには敵わない。なにせ、2016年モデルはMacBook Airの13インチモデルとほぼ同じ重さなのだ。
ただ、2016年の15インチモデルも以前に比べて0.25cm薄くなり、幅が0.96cm小さくなり、奥行きが0.64cm小さくなった。重さも0.21kg軽くなっている。実際に両モデルを並べてみると一回り小さくなっていることが分かる。
詳しくは下記記事を参考にどうぞ!
新幹線のテーブルに置いてみたが、以前は完全にはみ出ていたような記憶があったが、2016年モデルはギリギリ収まるサイズに。「15インチは物理的に大きいので邪魔」と言われることも多いかもしれないが、今回のデザイン刷新で程良くコンパクトになったことを全力でアピールしておきたい。
過去に書いた記事ではカフェのテーブルで作業できるのか検証したものがあるが、現行モデルよりも一回り大きかった2015年モデルがカフェのテーブルで問題なく作業できるので、2016年モデルはハッキリ言って余裕だ。
15インチモデルはみんなが思っているほど大きくないのだ。
13インチのスペックを上げるより15インチの下位モデルがオススメ
最後に予算とのバランスを見ていきましょう。
256GBモデル(Touch Bar搭載の下位モデル)の場合
まずは同じ256GBのストレージモデルを選んだ場合、13インチモデル・15インチモデルいずれも下位モデルを選ぶことになる(Touch Bar搭載モデルのみ)。
2.9GHzデュアルコアIntel Core i5プロセッサ (Turbo Boost使用時最大3.3GHz) |
2.6GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ (Turbo Boost使用時最大3.5GHz) |
8GB 2,133MHzメモリ | 16GB 2,133MHzメモリ |
Intel Iris Graphics 550 | Radeon Pro 450(2GBメモリ搭載) |
178,800円 | 238,800円 |
ここで、13インチモデルのRAMを8GBから16GBにすることによって価格は+20,000円。CPUを2.9GHzから3.3GHzにすることによって+30,000円。合計、228,800円になり、15インチモデルの下位モデルとたった1万円差ということになる。
1万円の差で15インチモデルを選べばCPUがデュアルコアからクアッドコアに、GPUが「Intel Iris Graphics 550」から「Radeon Pro 450」にアップグレードすることができる。
512GBモデル(Touch Bar搭載の上位モデル)の場合
次に512GBモデルをチェックしてみましょう。
2.9GHzデュアルコアIntel Core i5プロセッサ (Turbo Boost使用時最大3.3GHz) |
2.7GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ (Turbo Boost使用時最大3.6GHz) |
8GB 2,133MHzメモリ | 16GB 2,133MHzメモリ |
Intel Iris Graphics 550 | Radeon Pro 455(2GBメモリ搭載) |
198,800円 | 278,800円 |
上位モデルの方が価格差が開いているのは、13インチモデルはSSDの容量以外何も変わっていないのに対し、15インチモデルはCPUのクロック数が向上しているのに加え、GPUの性能が向上していることが挙げられる。
ここでも同じくRAMを16GBに、CPUを3.3GHzにすることによって合計+50,000円となり、248,800円に。15インチモデルとの価格差は3万円となっているが、その代わり2.7GHzクアッドコアCPUと「Radeon Pro 455」の独立した2GBのGPUの恩恵を受けることができる。
これらの差にメリットを感じるのであれば15インチを選ぶべきだ。
デスクトップ並みの性能を発揮できる15インチモデルの勝利
15インチモデルが13インチモデルに絶対に敵わない点が2つだけある。それはサイズと重さだ。
13インチモデルは15インチモデルよりも約460gほど軽い。物理的な大きさも当然ながら敵わない。13インチ型MacBook Airよりも一回り小さいコンパクトサイズに惹かれる人もいるだろう。
ただ、普段からリュックを背負っているという人や、もともと荷物がが重くて数百グラムの差は気にならなうという人など、サイズと重さよりも作業の快適さやパフォーマンスを重要視するのであれば僕は全力で15インチモデルをオススメする。
Macはそう頻繁に買い換えるものではないが、ハードウェアの性能は年々向上している。数年使うことを考えるのであれば、予算を言い訳にしてスペックダウンするよりも、少し背伸びをしてスペックアップした方が長く快適に使い続けることができるはず。
ちなみに僕が購入したモデルは下記の通り。2TBのストレージが気絶するほど高かったが、そのお陰で大量の映像ファイルを取り扱うようになった今でもストレージ不足に陥ることはしばらく無さそうだ。なお、2TBにアップグレードできるのは15インチモデルのみ。
- 2.9GHz Quad-core Intel Core i7
- 16GB 2133MHz LPDDR3 SDRAM
- Radeon Pro 460 with 4GB VRAM
- 2TB PCIe-based SSD
- Four Thunderbolt 3 ports
- Touch Bar and Touch ID
15インチモデルを購入するのであれば、オプションでGPUを「Radeon Pro 460」にアップグレードすることを強くオススメする。独立GPUのメモリを2GBから4GBまで増やすことができるので、コストパフォーマンスが非常に高い。
唯一独立GPUを搭載するノート型Macとして、自宅ではディスプレイに繋いでデスクトップマシーンのようにして使い、出先では高いパフォーマンスを発揮できる。15インチモデル1つあればどこへ行ってもすべての仕事をこなせる。それが最大の魅力なのかもしれない。
パワフルは正義!13インチモデルと15インチモデルで悩んでいるのであれば、迷わず15インチモデルを購入するべし!
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