【レビュー】開発者が語る!超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」が彩る自宅の白壁(3/3)【Sponsored by Sony】
壁や床、テーブルにも投影できるソニーの超短焦点小型プロジェクター「LSPX-P1」。
第1回はその手軽すぎるセットアップやコンパクトなボディが実現する新しいプロジェクターの使い方について、第2回は実際に自宅やカフェなどで使ってもらった感想を紹介した。
最終回となる第3回では「LSPX-P1」が生まれるまでの試行錯誤や現在の形に至った理由などの開発秘話を商品企画担当の村澤佑介さん、そして設計プロジェクトリーダーの佐久間康夫さんに取材させてもらったので、どうぞご覧あれ!
自宅でプロトを使っていた時の商品コンセプトについて
まずは2枚の写真を見比べてもらいたい。
一方、こちらの画像はよくあるテレビを設置した状態。
【image via amseaman】
着目してもらいたいのは「設置場所の自由度」。自然とソファーや家具のレイアウトが決まり、その空間における過ごし方が決まってしまう。僕らは従来の家電によって無意識に空間における体験を制限していたという見方ができる。
もちろん、決まった場所に決まったコンテンツを映し出せるということは悪いことではない。ただ、同時に「新しい場所が使えるようになれば、新しいコンテンツが使えるようになるだろうと考えました」と語るのは企画を担当した村澤さん。
今回、「LSPX-P1」に用意されているのが「Poster」という「時計」「天気」や雰囲気を作れるコンテンツ群。「新しい空間 × 新しいコンテンツ = 空間体験」ということを考えた結果、行き着いたそう。
もともと大きく話題になったのは「短焦点」や「サイズ」ではあるが、「機能」や「スペック」だけではなくその先の「世界観」や「体験」を提案したいという思いがあるそうだ。
ワイヤレスユニットにHDMI出力とAVマウスがついている理由について
ここからは少々マニアックな話に入る。「LSPX-P1」には外部機器との連携を可能にするワイヤレスユニットが同梱され、本体には「HDMI出力」と「AVマウス」が搭載されている。
「この2つの機能は使い勝手を事前に考え抜いて入れました」と村澤氏は自信満々に語る。「現状、既にお客様がTVとレコーダーやChromecastなどを使って頂いていること想定しています。そこでプロジェクターを購入して頂いた時に、ワイヤレスユニットを使う度にTVからケーブルを抜いて繋ぎ直して・・・というのが体験的に非常に悪いと思ったので、HDMI出力をつける事で今のお客様のリビングの環境を崩さずに使用して頂けます」と説明する。
一方、AVマウスに関しては、ワイヤレスユニットがリビングのテレビとレコーダーに接続されている時に、寝室で「LSPX-P1」を使って映画を見ようと思ったケースのために設置したという。
家中どこでにも持ち運ぶことができるのが「LSPX-P1」の強み。例えば、寝室にプロジェクターを持って行った際に「CMをスキップしたい」と思っても寝室からリビングにある機器を操作するのは面倒だ。AVマウスを使うことにより、リビングの機器のリモコンを「LSPX-P1」本体に向けて操作することで実は操作できるようになるらしい。なんだそれ、知らなかった!
Posterの天気の動画がなぜあの表現なのかについて
「LSPX-P1」の特徴の1つとして「Poster」機能を挙げた。中でも個人的に気に入っているのが「天気」機能。その日の天気情報を動画で表現してくれるという、非常にアーティスティックな表現を楽しむことができる。
実は、天気の表現についても「LSPX-P1」の特性を生かしたものにフォーカスしているそうだ。
「天気情報」と言えば誰もが思いつくのが「天気予報」。アイコンで今後の空模様を表現する機能をすぐに想起したものの、そのような情報はスマホを見れば十分であることに気付いたという。
「あくまでも空間体験を目指しているので、具体的な数字や天気の表現ではない、自然の風景を窓のイメージをはめて表現しています」と説明する。
また、「Poster」機能を考えた際に、これは自発的に何かアクションを起こす「Active」な機能ではなく、どちらかと言うと情報をひたすら受け身で受け取る「Passive」なコンテンツ表現であることを発見。このことから、「スマートフォンが近づいたらON」という自動再生機能が誕生したそうだ。
スピーカーがモノラルなのは「小さくても迫力のある音」「聞きやすい音」がポイント
「LSPX-P1」は最大80インチの映像を投影することができるが、スピーカーはモノラルだ。「せっかくの大画面なのに音が物足りない」と指摘する人もいるかもしれないが、このような決断を下した理由について開発を担当した佐久間康夫さんはこう説明する。
「設計開始当初、画面サイズを最大80インチまで謳うにあたって、プロジェクターで再生する音についても議論に挙がりました。大画面を謳う以上、その80インチという大画面に見合うサウンドを再生したいわけですが、この筐体のサイズでしかも内容物はプロジェクターモジュールで詰まっていますので、自ずとスピーカーに割り当てられるサイズ・容積も限られます。」
本体のスピーカーはさておき、せめてBluetoothに対応してくれれば十分なのに、と指摘する声も多い。これに関しては、外部スピーカーを接続できるようにすることも検討したものの、プロジェクターにBluetoothスピーカーを接続して再生させようとすると規格上、どうしても音と画像を同期させることが困難で、音と画にずれが生じてしまうという問題が発生し、採用を見送ったという。
なお、当然有線の音声出力を付ける案も出たようだが、「LSPX-P1」はワイヤレスですっきりした空間を作るという商品。これまで育て上げてきた理念や世界観とは相反するものになってしまうことから、却下されたという。
限られたスペースしかなく、外部のワイヤレス音声デバイスへの出力は有線・無線ともに却下。となると、必然的に本体内蔵スピーカーで画面サイズ80インチに見合った音にしようという設計方針になったという。
その中から出てきたのが、「迫力のある音」「聞きやすい音」というポイントだった。
一部ユーザーの間でスピーカーがモノラルであることに対して不満を抱いている人がいるようだ。設計最初は内蔵スピーカーもステレオスピーカーとして進めていたが、本体サイズが幅約80㎜しかないところでステレオ再生をしてもステレオ感が得られないということ、そしてステレオにすることで左右の音が打ち消しあってしまうことがあるという弊害があることが判明。
ではどうしたか。「迫力のある音」を実現するために、思い切ってφ25㎜の二つのスピーカーを敢えてモノラルで使い振動板の面積を稼ぐ設計方針としたそうだ。おっと、一気に内容が難しくなってきたが、気にしない!
スピーカーユニット自体、そしてスピーカーボックスも「LSPX-P1」専用に新規開発。さらに、音声処理用に専用のDSPを搭載しており、電気的、物理的にこのサイズでできる最大限のチューニングをしている。ソニー独自のオーディオ再生レベル強調技術である「xLOUD」を用いてこの小さなサイズながら音割れなどをさせることなく迫力のあるサウンドを実現しているそうだ。
また、映画のようなコンテンツは記録されている映画館の非常にリッチなサウンド再生システム合わせて音のダイナミックレンジ(最小から最大までの音量の幅)が非常に広くなっているため、これを小さなスピーカーで再生すると人のセリフなどが聞き取りにくくなりがち。これは、サウンドチューニングの中で迫力を持たせながらも、人のセリフも聞き取りやすいサウンドを実現したという。
「サイズの限界でいわゆる”Hi-Fi”を目指してしまうと無理がありますが、そういう方向ではなく大画面に見合った「迫力のある音」かつ「聞きやすい音」という観点で聞いていただくと私たちが目指したところがご理解いただけるかと思います」と佐久間さんは自信を垣間見せた。
ファンの騒音を徹底追求ーー「ささやき声」程度を実現
従来のプロジェクターを使ったことがある人は誰もが感じたことがあることだと思うが、プロジェクターはうるさい。真横にいるとゴーゴーうるさくて映し出されている情報に集中できないレベル。
「生活の中でその存在を意識させずに使っても頂くという商品コンセプトの上で、このファンの音というのは許しがたいものでした」と佐久間さん。
可能であればファンレスを実現したかったものの、いかんせんレーザーの発光に対してそれなりの発熱があり、この商品を実現するためにはどうしてもファンによる強制空冷が必要であると判断。
ただし、そのような状況下でもできる限り騒音を抑えるために、最小限までファンの回転数を落とせるように放熱シミュレーションを繰り返し繰り返し実施。内部のヒートシンクの形状や空気の通り道、その断面積など、ち密な設計を行っているそうだ。
その結果、騒音レベルは約22dB程度を実現。一般的には「木の葉の触れ合う音」「ささやき声」程度と表現される音の大きさだ。生活の中で使っていても、騒音を気にすることなく自然にその中に溶け込めるデバイスを実現している。
ワイヤレスユニットの軽さとサイズには理由がある
「LSPX-P1」には本体以外にワイヤレスユニットが用意されている。見た目はまるで本体と合体しそうな形状で統一感のあるデザインが採用されているが、当初はパソコンを拡張するための「ドングル」のようなものからスタートしたという。
「ワイヤレスユニットは当初設計担当者の間では『HDMIのドングル』というような呼び方をしていました。まさにPCのUSB端子に挿すようなUSBドングルのような形状を想定してそう呼んでいたのですが、これはワイヤレスユニットで必要となる回路の規模として、『ドングル』サイズで実現できる見積もりをしていたから、でした。」
「しかし、このLSPX-P1の世界観やデザインを検討していく中で、この付属品となるワイヤレスユニットの見た目が、いかにもPCガジェット的な『ドングル』の形状をしているというのは違うのではないかという話になりました。」
「LSPX-P1」が実現する世界観に対して異質な印象を持たせることが無いように、また本体とペアで使うのだということが一目で直感で分かるように、ということから本体のデザインとサイズを踏襲した現在のものとなったという。まさにそのイメージ通りだ。
ワイヤレスユニットは見た目よりも驚くほど軽い。逆に言えばドングルサイズで実現可能なものをあえて本体と合わせて作っていることからサイズ的にも余裕があり、重量も軽く感じられるという。「LSPX-P1」が実現する世界観を実現するためにこのようになった、という経緯のようだ。
社内で様々な試練を乗り越え、実現した「LSPX-P1」
商品が実現されるまでの過程を村澤さんや佐久間さんに語ってもらったが、やはり商品化するまでの道のりは険しいものだったという。実物ができるまで反対していた人も多く、試作品ができるまで「それって面白いの?」という意見も多かったという。
それでもここまでやってこれたのは企画担当の村澤さんと設計担当の佐久間さんがとにかく仲良しであるということ。インタビュー中もとにかく笑いと笑顔が途絶えず、生み出した商品に対する愛情が溢れていた。本当に大好きだということがよく分かった。
そんな「LSPX-P1」が今の形になるまでのプロトタイプを一部見させて頂いた。左が実際に発売されたモデルに最も近いプロトタイプ。その右2つがそこに至るまでのプロトタイプ。よりスリム化され、空間に馴染むデザインに進化していることが分かる。
従来の家電のように生活スタイルを制限することなく、すっと溶け込むような製品をコンセプトとした「LSPX-P1」。壁だけではなく床にも投影することでき、壁にピッタリ付けた状態でも22インチ、28センチ離しただけで最大80インチの映像を楽しむことができる。
今後の予定に関しては明言を避けたが、貪欲に改善を重ねてより多くの人に使ってもらいたい、と語っていた村澤さんと佐久間さん。日常にワクワクを求めている皆さんは是非試してみてはいかがだろうか。
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第1回、第2回は以下からどうぞ!