App Store、デベロッパの2024年売上1.3兆ドル達成を支援。手数料徴収は全体の約10%のみ
日本市場は470億ドル規模、厳格審査で20億ドルの不正取引を防止
App Storeエコシステムが世界中のデベロッパの2024年売上1.3兆ドル達成に貢献したことが、ボストン大学のAndrey Fradkin教授とAnalysis GroupのJessica Burley博士による新しい調査で明らかになった。この売上の90%以上について、デベロッパにはAppleへの手数料が発生していない。
調査によると、デベロッパの収益源は3つのカテゴリに分かれている。デジタル商品・サービスの売上が1,310億ドル、物理商品・サービスの売上が1兆ドル超、アプリ内広告収入が1,500億ドルとなった。
2019年以降、全カテゴリで売上が2倍以上に成長
2019年の5,140億ドルから2024年には1.3兆ドルに達し、過去5年間でApp Storeエコシステムの規模は2倍以上に成長した。この成長は、iOSアプリの日常的な利用増加、テクノロジーの変化、デジタル利用の増加、消費者の行動パターンの変化を反映している。
特に物理商品・サービスは2.6倍以上の成長を記録し、2024年において最も成長率が高く最も大きなカテゴリとなった。過去5年間で消費者支出の最大カテゴリが乗車送迎から食料品の買い物とフードデリバリーへと変化し、食料品の買い物支出額は5年間で4倍以上に増加した。
デジタル商品・サービスは2.1倍の成長を遂げ、ゲームへの継続的な需要と写真・動画編集アプリなどコンテンツ作成支援アプリへの支出増加を反映している。アプリ内広告は多くのアプリを無料または低価格で提供することに貢献し、AIを活用したアプリが日常生活により深く浸透する中、App Storeはイノベーションの世界的拠点であり続けている。
日本市場は世界の4%から7%を占める
App Storeは週平均8億1,300万人以上の訪問者を抱えるグローバル配信プラットフォームを提供している。全世界の総額1.3兆ドルのうち、470億ドル(約7兆円)は日本で発生した課金および売上で、日本市場は世界の4%から7%を占めている。
日本においては、2024年のApp Storeエコシステムの売上の50%強を物理商品・サービスが占めており、一般リテールが最大のカテゴリで、次に旅行が続いている。米国市場が約30%近くを占めるのと比較すると、日本のEコマース市場規模は比較的小さいと言える。
米国ではモバイル決済の普及により、2019年以降デジタル決済支出が7倍以上に増加した。中国では電子商取引市場が大幅拡大し、オンライン食料品支出が2019年以降5倍以上に増えた。欧州では食品配達・テイクアウト支出が3倍以上になり、従来人気の小売・旅行カテゴリの成長を上回った。
クリエイティブアプリが大幅成長
過去5年でデジタルコンテンツ作成支援アプリへのユーザー支出が堅調に伸びている。Adobeのクリエイティブツールなど写真・動画編集アプリが大成功を収め、プロフェッショナル、クリエイター、愛好家の能力を高める新機能導入が増加した。
Adobe Lightroomは高品質な写真編集とAI活用編集の向上が評価され、2024年のベストMacアプリとしてApp Store Awardsで表彰された。今年はiPhone向けの新しいPhotoshopアプリも発表されている。
厳格な審査体制で安全性を確保
AppleはApp Reviewプロセスを通じて、展開前のすべてのアプリケーションを厳しく審査している。アプリの機能性、セキュリティ、プライバシー上のリスク、全般的な基準の適合性を検証し、過去5年間で90億ドル以上の不正取引からユーザーを保護した。
2024年には770万件のアプリ申請が審査対象となり、そのうち190万件のアプリがAppleのセキュリティ、プライバシー、信頼性、UXの基準を満たさないために不合格となった。2024年だけでも20億ドル以上相当の不正な取引が未然に防止されている。
デベロッパ支援体制を強化
Appleは40以上の現地通貨対応、200近い地域でのシームレスな税金処理を提供する商取引システムでデベロッパを支援している。物理商品・サービスの販売とアプリ内広告に関しては、Appleは一切手数料を取っていない。
米国、中国、インド、シンガポールのApple Developer Centerは昨年何万ものデベロッパを迎え入れ、25万以上のAPIを通じてアプリ向上支援環境を提供している。ブラジル、インドネシア、イタリア、サウジアラビア、韓国、米国のApple Developer Academyでは無料カリキュラムを通じて学生のスキル習得をサポートしている。
来週開催のWWDC25では、世界中のデベロッパが100を超える技術セッションに無料でアクセスし、Appleエキスパートから最新テクノロジーやフレームワークについて学ぶことができる。
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