【潜入】iPhoneが年々落下に強くなる理由は、この検証ロボットのお陰です
Epson製産業用ロボットが「リアリティロボット」に。超高速カメラで2度目の衝撃まで解析
iPhoneを落としてしまった時の絶望感は、誰もが一度は経験したことがあるだろう。しかし、最新のiPhoneは昔に比べて格段に落下に強くなっている。
その理由を探るべく、Appleの研究施設で実際に行われている落下テストの現場を見せてもらった。そこで目にしたのは、想像を遥かに超える科学的なアプローチだった。
「最高の修理とは、決して必要とされない修理である」
Appleが製品の耐久性にここまでこだわる理由は、同社の根本的な哲学にある。「最高の修理とは、決して必要とされない修理である」という信念のもと、製品の信頼性向上を最優先に考えているのだ。
この考え方は、実際の数字にも表れている。Appleは1つのiPhoneを出荷する前に約1万台のiPhoneでテストを行い、開発期間の約90%を信頼性テストに費やしている。この徹底したテストにより、iPhoneは下取りや売却時にも競合他社製品と比較して40%高い価値を維持しているのだ。
従来の落下テストの限界
従来の落下テストといえば、製品を鋼鉄の床にランダムに落とすタンブラーテストが一般的だった。しかし、Appleはこの手法に疑問を抱いていた。
ランダムに落とすだけでは現実的でなく、衝撃角度も制御できないため、実際の使用環境での故障モードを正確に把握することができない。そこでAppleが開発したのが、革新的な落下テスト専用ロボットだった。
「リアリティロボット」が変えた落下テストの常識
Appleが独自開発した「リアリティロボット」と呼ばれる信頼性ロボットは、従来の落下テストの概念を根本から変えた。テストが行われるラボには、Epson製の本格的な産業用ロボットが設置されており、これを落下テスト用にプログラムしている。
ロボットは、iPhoneを持ち上げて任意の表面に落とすようにプログラムでき、同じ動き、同じ落下、同じ角度で何度も繰り返すことが可能だ。このロボットの最大の特徴は、あらゆる高さから、あらゆる角度での落下を再現できることで、特定の角度でのみ発生する故障モードを特定するのに非常に重要だ。
実際の生活環境を再現した表面テスト
テストは、実際の生活で遭遇する可能性のある様々な表面で行われる。花崗岩のカウンタートップ、大理石、コルクボード、木材など、様々な素材を使って落下テストが行われる。
アスファルトの巨大な塊も用意されており、道路に落とした場合のiPhoneの反応を見ることができる。特にアスファルトのような鋭い凹凸のある表面への耐衝撃性を高めるためのガラス素材の開発に注力していることで、最も過酷な条件下でもiPhoneが生き残る可能性を高めている。
高速ビデオカメラが明かす衝撃の真実
落下テストで特に興味深いのは、超高速カメラを用いた詳細な分析だ。テスト中は、超高輝度ライトと超高速のPhantomカメラが、電話が着地する正確な地点に向けられており、何が起こったかを正確にA/Bテストし、確認することができる。
落下時の1度目の衝撃だけでなく、跳ね返りによる2度目の衝撃も詳細に分析し、設計改善に役立てている。多くの人が見逃しがちだが、実は2度目の衝撃が致命的なダメージを与えることが多い。この発見により、Appleは単純な耐衝撃性だけでなく、跳ね返り後の衝撃にも耐えられる設計を実現している。
ガラスの耐久性への革新的アプローチ
iPhoneの落下テストで最も重要な要素の一つが、ガラスの耐久性だ。Appleはガラスの耐久性を重要視しており、特にアスファルトのような鋭い凹凸のある表面への耐衝撃性を高めるためのガラス素材の開発に注力している。
カメラレンズには、傷が写真のフレアにつながるのを防ぐため、傷に強いサファイアガラスが採用されている。これにより、落下時にカメラ機能が損なわれるリスクを大幅に軽減している。
エンジニアによる実地データ収集
Appleの徹底ぶりは、テスト環境だけにとどまらない。同社のエンジニアは、加速度計で自由落下を検知するアプリを使い、落下回数、高さ、落下した表面などのデータを社内で収集し、テストに反映させている。
この実地データにより、実際のユーザーがどのような状況でiPhoneを落としているかを正確に把握し、より現実的なテスト条件を設定することができている。
曲げテストも落下対策の一環
落下テストと密接に関連するのが曲げテストだ。4点曲げテストを行い、製品が曲がった後でもシールが適切に機能することを保証している。
「iPhoneをお尻ポケットに入れた際の耐久性」をテストする施設もある。重くて恰幅の良い人のほうがiPhoneが割れそうなイメージがあるが、実際は痩せ細った人のほうが折れやすいという。
特にユニークなのが「シッター(Sitter)」テストで、「骨が硬い痩せた人」がポケットに入れた製品に座った場合が最悪のケースであるという知見に基づき、その状況を再現してテストしている。これにより、落下以外の物理的ストレスにも対応できる設計を実現している。
振動テストで見えてきた新たな課題
落下テストと並んで重要なのが振動テストだ。自動車、電車、飛行機、そして特定のエンジン音を持つオートバイなど、様々な乗り物で発生する振動を再現し、全周波数帯域でテストを行っている。
特定の周波数で共振すると、機械的な劣化が急速に進むため、デバイス内部の加速度計やカメラセンサーなど、あらゆる部品が共振しないように設計されている。特定のオートバイの振動がセンサーを早く摩耗させる問題に対応するため、振動吸収マウントの使用を推奨することもある。
Appleの落下テストは、単なる品質管理を超えた、科学的で包括的なアプローチだった。「リアリティロボット」による精密な検証と、実地データに基づく改善により、iPhoneは年々落下に強くなっている。次世代のiPhoneがさらに進化した耐久性を持つことを期待したい。
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