保育園最後の日にすべての思いを込めて。卒園ムービーを作り上げるまでの軌跡
保護者は泣き、園児は大盛り上がり。最高の形で保育園生活を終えた
長女の卒園に向けて、謝恩会で流すための卒園ムービーを担当した。当日までの約2週間、僕はムービーチームの1員として仕事そっちのけで作業にフルコミットを決意。ムービーだけではなく、パンフレットとウェブを当日までに完成させることに成功した。
本記事では当日までの日々を振り返る記録だ。子育ての1ページとして残しておきたい。まずは卒園ムービーを担当するまでに至った経緯から話そう。
リアルで知っている人なら分かってくれると思うが、僕は小さい頃から性格もキャラも変わっていない。生まれ持った図々しさと自己主張の強さ、ママともパパともペラペラ話すおしゃべりゴリラの特性が功を奏し、僕は3年間をかけて「各種イベントには常にガチ機材で本気で挑むパパ」としての地位を確立してしまった。
実は写真を本気で撮るようになったのは理由がある。娘の写真を綺麗に残しておきたいことは大前提として、娘の友達のパパが海外赴任や仕事でイベントに参加できないと知り、少しでもイベントの様子を届けたい、という思いで撮影し始めた。
故スティーブ・ジョブズを始めとした偉人がこの世を去る間際に「もっと家族との時間を大切にすればよかった」と言い残したエピソードに影響され、僕は家族を優先する人生設計を強く意識してきた。しかし世の中には様々な働き方、様々な職業があり、どれほど家族思いでも家庭を優先できない立場の人もいる。同じパパとして子どもの晴れ舞台を写真で楽しんでもらうべく、撮り続けてきた。
もちろん園が手配したカメラ業者もいるが、印刷した写真は安く、デジタル写真は高いという足下を見てくる価格設定だ。購入可能になるまでがあまりにも遅い。「どうせ買うんでしょ?」という姿勢は許しがたく、「業者より絶対良い写真を撮る」と心に決めて毎回のイベントに挑んだ。
2022年の運動会
昨今のインターネットは書いていないことを勝手に解釈して勝手に怒る人がいるので念のために伝えておくが、業者と敵対や邪魔をしたことは当然ながら一度もない。むしろ走り回って頑張っているカメラマンの姿を見ていると「めっちゃ走っている!頑張れ!」と思うことも多々あった(特に運動会)。むしろイベントによっては「何で撮ってるんですか?」と話しかけたこともあり、いがみ合いのは全くないことを強調しておきたい。
話を戻そう。入園当初は「すごい機材ですね」「カメラ大きいですね」「プロカメラマンですか」と声をかけられるような存在だったが、卒園前は「パパ、こちらからお願いします」「パパ、撮って」と言われるまで認められるようになった。
認められることは嬉しかったと同時に、任せられる以上は責任も生じる。各家庭がベストポジションを争うであろう中、「パパはここで撮っていいよ」と言われるのだから、失敗は許されない。
保育園には音楽クラスがあり、最後の授業では保護者に向けて「さよならぼくたちのようちえん」を歌ってくれることになっていた。ベストポジションで撮ってほしいという保護者からの要望に応えるべく、リスクヘッジにリスクヘッジを重ねて挑んだ。持ち込んだ機材は以下のとおり。
- ボディ
- レンズ
- その他周辺機器
- マイク:DM-E1D
- マイク:RODE VideoMic Pro+
- 三脚:Ulanzi ZERO Y
写真撮影はそれなりの現場数を踏んでいるが、動画はハッキリ言って素人同然。自分なりに対策したものの結果的に音が飛んだり、割れたり、トラブルがあったため、数々のリスクヘッジは功を奏し無事1本の動画としてまとめることができた。
このような形で数々のイベントで撮影してきたからこそ、卒園ムービーの制作を依頼されるのは当然だ。機材が豊富→ネットに強い→動画作れそう、という感覚だろう。
しかし問題は、ムービーの制作経験がほとんどないということ。Final Cut Proの「ライブラリ」「プロジェクト」「イベント」の違いさえも分からないまま、YouTubeのチュートリアルを見ながら制作を開始した。
当初はDVDで配布するという話だったが、調べれば調べるほどDVDに焼いたり、チャプターを用意したり、チャプター画面をデザインしたりするのは、到底1人でできる内容ではない。ましてや今の時代、DVDを見る機会は限られている。そこでムービーはYouTubeに限定公開し、ムービーを含む過去の写真などをまとめたLinktreeのようなウェブページを用意し、そのウェブページに飛ぶためのQRコードが記載されたパンフレットを用意することになった。
そのすべてを僕が担当することになった。やべぇ。
しかし僕は自ら望んでこの大役を請け負う決断をした。来年からは娘は私学に通う。今の園ではカメラマンはおらず結果的に保護者のニーズに応えられたが、小学校となれば親が出てくる機会は限られており、イベントの撮影や卒業ムービーなどを手掛ける可能性は限りなく低い。言うならば、保護者として子どものイベントにこれほど密に掛かるのは最後の機会と思い、現時点で自分ができることをすべて出し切ってフルコミットしようと決めたのだ。
パンフレット制作は高校時代の詳しい友人に「余白がめちゃくちゃだ」と罵倒されながら仕上げて無事納品。印刷してくれる業者も探し、3枚折りのパンフレットを仕上げた。友人がいなかったら何に注意して作るべきか分からずに作るところだった。助かった。
ウェブはChatGPTの力を借りてLinktree風のデザインのものを作った。自分なりのこだわりとして、背景にYouTube動画を流す仕様にしてみた。とにかくプロンプトを打ち込み、出力をコピペするの連続だったが、それでもしっかりと理想のデザインが仕上がることには感動した。AIの力に感嘆せずにはいられなかった。
問題は卒園ムービーだ。子どもの成長スライドショーと各学年を振り返るスライドショーが必須条件で、あとは僕に一任された。卒園式後の謝恩会に先生は参加できないことを受けて、担任の先生からビデオメッセージをもらうことを妻と思いつき、Dropboxのファイルリクエスト機能を活用することで個人情報をもらわずに、誰にも気付かれずに、アップロードしてもらった。
さらに年長時の先生方だけではなく、年中、年少時の先生にも同様の形でビデオメッセージをもらうことに成功。これまでの経緯や極秘であること、アップロードの方法なども解説した文章も作成した。
あとはとにかく素材集めだ。保護者からの写真集めはDropboxのファイルリクエストを活用し、僕は娘の送り迎えで園を訪問するたびにカメラを回し動画素材をかき集めた。スライドショーで十分と言われたが、やはり期待は超えていきたい。YouTube界のシネマティック王達の作品を見ながら撮影の仕方を模倣してみた。
ムービーの編集はFinal Cut Proで行った。スライドショーの見せ方、エフェクトのかけ方などはすべてYouTubeで調べた。完全に動画で見るべきコンテンツだ。そりゃあみんなブログなんて読まなくなるわ!アーメン!
BGMの音合わせには本当に苦労した。BGMのリズムにあわせてマーカーを打ち、マーカーに合わせて写真や映像を切り替える作業は気が狂うかと思った。前日の夜には無事完成し、YouTubeにアップロード完了。4K@30fpsで作っており、4K画質が反映するまで数時間かかると表示されていため、早めに完成させてよかった。動画は結果的に30分をギリギリ下回るぐらいの長さに落ち着いた。
今回、この制作を見据えて年明けにM3 Max MacBook Proの購入を決意した。M3 Pro MacBook Proを買っていたが、動画編集ならM3 Maxチップのほうが適している。3nmチップの省電力性能により十分な電池持ちが実現できることを確認した上で買った。
駆け出し動画編集者として非効率に作業している点は多くあったはず。それらをカバーするパワーを持つデバイスを使うことには大きな意味があると感じた。
卒園式当日はそわそわしていた。というのも僕の中で卒園式の写真こそ、カメラマンとして貢献できる最後の場だから。フル装備で挑むために、愛用するShimodaのローラーバッグを購入して挑んだ。業者よりも業者だったのではないだろうか。
卒園式の終了後は先生に記念品を渡し、先生との集合写真とそれぞれの子どもが先生と写真を撮る時間になった。ここでも僕は声をかけてもらい、”学年専属カメラマン”として全員分を撮影させてもらった。
卒園式のあとは、謝恩会だ。謝恩会で卒園ムービーは初披露となる。本来は書きだした動画をそのまま流す予定だったが、どうせならもうサプライズを入れたいと思い、直前に撮影した卒園式の様子を高速で現像し、最後のほうに付け加えてFinal Cut Proのプレビューをそのまま再生した。結果的に驚きの声があり、一手間かけた甲斐があった。
パンフレットは謝恩会の前に保護者の手に渡るため、謝恩会前に映像を見ようとした人が見ないよう、規定時間より前に見た人には僕の鬱陶しい顔に迎えられる仕組みを作った。これもChatGPT。改めて見ると本当にうざい。
懐かしい写真もあり、映像も入れ込み、サプライズもあり、保護者の中には涙を流してくれる人もいた。子ども達は使われているBGMでダンスをしたり、先生のメッセージに興奮したり、とにかく楽しそうで良かった。
僕はゴリミー含めて様々な場所でコンテンツを出してきたが、ここまで人の心を動かしたものを制作したのは初めてだ。自分の作ったコンテンツで誰かが泣いている姿を目の当たりにしたのはおそらく初めて。まさかここまで喜んでもらえるとは思ってなく、改めて得て本気で取り組んで良かったと思う。
謝恩会の次の日には卒園式で撮影した写真を現像し、アップロード。使用していたBGMが間違っているなどのトラブルもあり、その後3度ほど書き出しとアップロードを繰り返し、卒園式の様子なども入れて完成版をアップロードし、僕の卒園ムービー制作は幕を閉じた。その日の夜、死んだように寝た。
卒園ムービーに本気で取り組めたのは、それを受け入れてくれた保護者や園があったからだ。僕自身がやりたいと思ってもできることではなく、自分のようなド素人でもやらせてくれるみんな懐の深さのお陰だ。この場を通じて感謝の意を表したい。
過去に自分が撮影した写真を振り返ったが、僕自身も確実に成長している。やはり何事も本気で挑めば、自分自身の資産として残る。この経験を糧に、自分の人生を全力投球していこう。
ありがとうございます!!!同じような思いで同じように取り組んだ方々がいるということを知れることがとても嬉しいです!幸せですね!
自分にとって、「人生においてもっとも頑張ったこと」として誇って生きていきたいと思います!
私も、長女の時にスライドショー作りました。やるなら期待以上にって気持ち凄く共感。ただ、アマチュアなのである限りの機材やソフトで挑み、当時はDVDが主流だった為、子供プラス先生分までDVD焼きました。一般のPCでは限界がある事にもこの時初めて知りました。
お話読んでとても懐かしく思いました。
とにかく必死だった。私も納品後は死んだように眠った記憶があります。
娘さんも、同学年のお子さん達も幸せですね。
小学校終える頃にもきっとまた頑張るのかと思います。
ご健勝お祈りしています。
ありがとうございます!!嬉しいです!!!!
どうやってここにたどり着いたか不明だが
最後まで読んでしまった。
素晴らしいです本当に。
感動しました。
めちゃくちゃ頑張りました!!!本当に!!!!!みんなの優しい言葉をもらえて本当に超嬉しいですwww
そして、デスク環境の写真が概ね撮り終えたので、頑張って記事書き上げます!!!!
Thank you!!!!!!!!!!!!!
私はこの春から娘が幼稚園に入園、そしてカメラが趣味でガチ目な機材を持っているので、色々と参考になりました
いやー熱量ハンパない!
ゴリさんがいるクラスが羨ましい!
ゴリさんマジはんぱないですね!
自分が子供だったら結婚式の思い出ムービーで流したい。スーパー素敵です。
ありがとうございます!!!!マジで頑張りました!!!
うまくいってよかったですー!!!
歪み合いwww
お疲れ様でした。
上手く行って良かったですね!
ところで、これ実際には機材のこと尋ねてるんだと思いますけど、最初は歪み合い全開のように捉えてしまいました…。
>> むしろイベントによっては「何で撮ってるんですか?」と話しかけたこともあり、いがみ合いのは全くないことを強調しておきたい。
すごいです。
動画や内容はわからないけど、ほぼ保育園の人らにはコレ以上ない記録だったのかと思います。
グッジョブに思います。